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事例紹介(部門/業種別) 2021.06.11  [最終更新日] 2023.07.25

物流DXの実践事例を紹介!物流業界が抱えている課題とは?

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物流業界は荷物の配送を担うドライバーが主役となる「労働集約型産業」です。

近年では、インターネットショッピングやフリマアプリなどの利用者が増えているため、ロジスティクスの配送量は増える一方です。その反面、生産年齢人口の減少でドライバーは減り、運送の担い手は減少傾向にあります。

その結果、ドライバー1人あたりの業務量も増えてきており、人手不足の解決が急務となっています。このような物流現場の課題は、DXを推進することによって解消できます。まだまだアナログ業務が多く残っている物流業界には、迅速なDX推進が求められています。

本記事では、物流のビジネス環境を変革するDXについて、成功事例を紹介しながら解説していきます。

【目次】

 

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」とは、デジタル技術の導入により、業務プロセスやビジネスモデルの改善を目指す取り組みのことです。スウェーデンのエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱した概念で、元々の定義は「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面で良い方向へ変化させる」というものでした。

日本においては、経済産業省が「DX推進ガイドライン」で、DXの概念を以下のように定義しています。

 

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

 

経済産業省は2018年に、「DXを推進しなければ、2025年以降に毎年最大12兆円の経済損失が生じる可能性がある」というレポートを発表しました。この「2025年の崖」を契機として、DX推進の重要性が日本企業にも広く伝わるようになりました。

2020年12月には、中間取りまとめとして「DXレポート2」も公表されています。そこには「95%の企業はDXを推進していない」と書かれており、日本企業のDX推進は途上段階にあるといえます。

 

参考:「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」

https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html

参考:「DXレポート2(中間取りまとめ)」

https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004.html

 

物流DXとは?

物流DXとは、「ロジスティックデジタルトランスフォーメーション」とも呼ばれており、機械化やデジタル化によって物流のあり方を変革することです。「総合物流施策大網(2021年度〜2025年度)」が閣議決定され、今後の物流の施策や方向性、取り組みが判明しました。

また、総合物流施策大網では今後に取り組むべき施策の第1項目として、「物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化(簡素で滑らかな物流)」と示されています。

参考:国土交通省|総合物流施策大網(2021年度〜2025年度)

 

後述しますが、物流業界ではさまざまな課題を抱えているため、速やかな物流DX推進の必要性が総合物流施策大網で示唆されています。

 

物流業界が抱える現状と課題

物流業界におけるDX化は他業種に比べると進んでいません。労働力不足や長時間労働の常態化に悩む物流業界においては、業界を挙げたDX化が急務となっています。

 

コロナ禍でEC需要は急増

物流需要は近年増加の一途を辿っていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大による「巣ごもり消費」の増加によって、インターネットショッピングやフリマアプリなどの取引がさらに急増しています。それに伴って個人消費者向けの小口配送が増え、物流業外の市場規模はさらなる拡大が見込まれます。

EC需要が急増している反面、デジタル化が遅れている物流業界の現状により、「仕事がキツい」「収入が低い」といわれ人手不足を招き、長時間労働の常態化にもつながっています。

このような状況を打破するためには、DX推進による業務効率化の実現が急務です。

 

深刻な労働力不足

物流業界に限りませんが、少子高齢化による労働生産人口の減少が、ドライバーの確保にも影響してきています。

2010年の日本では15~64歳の生産年齢人口が80%を超えていましたが、2030年には68%へと低下、2045年頃には50%を割り込むと予測されています。

2019年5月に鉄道貨物協会が発表した「本部委員会報告書」では、営業用トラックドライバーが2025年に約20万8000人、2028年には27万8000人と、深刻な人員不足を予測しています。

このように深刻な労働力不足に陥っている理由の1つとして、「仕事がキツいにもかかわらず収入はあまり高くない」といった物流業界の労働環境の悪さが挙げられます。そのため、新規人員の確保が難航しているうえに、現場が多忙を極めていて十分な教育を行うことも難しいのが現状です。国を挙げて働き方改革に取り組んではいますが、なかなか思うように進んでいないのが現状です。

参考:「平成30年度 本部委員会報告書」

https://rfa.or.jp/wp/pdf/guide/activity/30report.pdf

 

小口化による効率悪化

インターネットショッピングやフリマアプリなどの取引増加による個人向け配送の増加は、業務効率を悪化させる要因となっています。かつての物流業界ではBtoB向けの大口配送が多い状況でした。BtoC向けの小口配送が増えると、仕分けや配送の手間が増え、業務の増加につながります。

三井住友銀行が2018年6月に発表した「物流業界の動向」というレポートによると、2000年に1.37トンだった出荷1件あたりの貨物量が、2015年には0.75トンにまで減少しています。

また、小口配送が増加することで配送1件あたりの単価も下がるため、物流業界の生産性の低下につながっていることも問題です。

参考:「物流業界の動向」

https://www.smbc.co.jp/hojin/report/investigationlecture/resources/pdf/3_00_CRSDReport064.pdf

 

ECサイトの利用急増による物流市場の複雑化

ECサイトの利用者が急速に増えたことで、物流市場が複雑化しています。経済産業省が2022年に発表したデータによると、個人向けの物販系EC市場規模は、2021年時点で13兆2,865億円となっており、前年比9%近く拡大しました。

これは、輸送効率の悪化だけではなく、倉庫における商品管理業務の複雑化の原因にもなります。棚卸業務のデジタル化などによる、在庫管理業務の効率化の必要性も急激に高まっているのです。

 

参考:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました

https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220812005/20220812005.html

 

トラック積載効率が低下している

前述したように、近年では小口配送が増えたことから、トラックの積載効率が低下しています。国土交通省が2021年に発表した「最近の物流政策について」によると、営業用トラックによる積載効率は4割を割り込んでいます。つまり、トラックの積載能力の6割前後が有効活用できていないということです。3Dセンサーカメラなどのデジタル技術を活用による、積載率の可視化と効率化の重要性が高まっています。

 

参考:最近の物流政策について

https://www.mlit.go.jp/common/001388194.pdf

物流業界におけるDX推進の課題と対策

物流業界でDXが思うように進まない背景として、特有の事情があります。現在の物流業界では、荷主の多くが状況に応じた臨機応変な対応を求めており、物流業者側も対応力の高さをアピールしています。デジタルを取り入れて標準化するよりも、アナログ対応の方が都合の良いケースが多いため、DX推進に踏み切れないのです。

また、物流業界の従業員の中には、ITツールに対して苦手意識を持つ人も少なくありません。そのため、「誰もが使いやすいITシステム・ツール」を導入することが、物流業界におけるDX推進の肝となっています。

 

 

物流DXで実現できることとは?

物流DXの実現により、以下の内容を実現できます。

 

物流の自動化

物流を取り巻く環境では、すでに自動化が進んでいます。幹線輸送の自動化や機械化が実現すると、これまでよりも省力化が可能になります。

例えば、トラックの隊列走行の自動化では、リアルタイムの車間通信を行って車間距離を自動的にキープできます。AIやIoT(Internet of Things) などの技術を活用して、海上輸送の自動化を実現する自動運搬船などの技術も開発されています。

 

配送ルートの最適化

物流DXでは、配送ルートの最適化も可能です。従来までの配送ルートは、ドライバーの経験や勘などにより最適な配送ルートを見つけていました。

しかし、AIなどの技術を取り入れると、経験や勘に頼らない配送ルートを作成できます。具体的には、天候や事故状況、混雑状況などのデータを集積してAIが最適な配送ルートを割り出す流れです。

配送ルートの最適化が保たれると、トラックの燃料費削減や積載量の効率化につながるうえに、ドライバーの負担軽減や安全確保にも役立ちます。

 

再配達の削減

配送ルートの最適化とともに再配達の削減ができると、さらなる業務効率の向上が可能です。物流DXの導入により、顧客の配送状況や注文内容などのデータを蓄積・分析し、在宅率が高い時間帯を割り出すことができます。

その結果、再配達の稼働が少なくなり、業務効率化にもつながります。在宅時に配達されるため、顧客満足度も向上するでしょう。

 

倉庫システムの効率化

倉庫管理システムでは、商品の在庫や入出荷などの管理ができます。さまざまな視点からDX導入を進めると、データ連携などができて業務効率の向上が実現するでしょう。

倉庫管理システムにAIを活用すれば、ピッキング作業指示の最適化などができます。ピッキング作業指示では、倉庫内の動線を意識して的確な内容を示すことが大事です。それらのことがAIならばより効率的にできます。

結果として、省人化につながりコスト削減も実現できるでしょう。

 

労働環境の改善

さまざまなシステムを活用して従業員の勤務状況を可視化すると、労働環境の改善につながります。従来までのタイムカードの打刻や勤務時間の提出は、現場での状況を把握しづらいことが課題でした。

そこでシステムやツールを活用すると、さまざまなデータから従業員の稼働状況を把握すれば労働環境が改善できます。過重労働の検知や運行管理者の負担状況などを可視化して、効率的な人員配置や休暇取得などにつなげることができます。

場合によってはコンプライアンス対策にも効果が期待できるでしょう。

 

 

物流DXを推進するために重要なポイント

物流DXを推進するときは、以下の3つのポイントを意識しましょう。

  • 全社的にシステムを統一する
  • DX人材を確保・育成する
  • 現場と経営陣が共にコミットする

 

全社的にシステムを統一する

物流DXの推進をスムーズに行うためには、全社的にシステムを刷新・統一することが重要です。多くの企業では、部門ごとに異なるシステムを運用していることや、システムが老朽化しているケースが見られます。

しかし、システム構成が統一されていなければ部門間でのデータ共有が困難になり、老朽化したシステムは運用のブラックボックス化につながります。物流DXの目的である「デジタル化による物流の変革」を実現するためには、統一されたシステム構成による全社的なデータ活用が欠かせません。

 

DX人材を確保・育成する

物流DXの実現には、システムの導入や運用に関する専門的な知識を有する、DX人材の確保・育成が欠かせません。現在では、あらゆる業界でDX人材の需要が高まっているため、自社のビジョンや魅力をアピールしてDX人材を呼び込むことが重要です。

また、DX人材には自社製品やサービスに関する知識や、全社を巻き込んでDXを推進できるようなリーダーシップも要求されます。そのため、社内の人材をDX人材として育成することも効果的です。

 

現場と経営陣が共にコミットする

物流DXは、現場と経営陣が共同で進める必要があります。物流業界は「現場主義」の傾向が強いため、現場の協力がなければ十分な効果が得られません。そのため、物流DXの推進で得られるメリットや、自社がDXで実現したいビジョンについて、現場と緊密に共有することが重要です。現場と経営陣のバランスをDX人材が調整し、全社的に一体となって進めることで、物流DXが成功しやすくなるでしょう。

 

物流DXの実践事例

ここでは物流DXの実践事例をご紹介します。すでにDX導入を進めている企業から具体的な手法を理解してみましょう。

 

日本通運株式会社

日本通運株式会社は、作業ロボットやRPAを導入して業務効率化を実現しました。同社はコンテナ輸送会社の発注から支払い、作業計画の作成・完了報告という単純作業を自動化しています。結果として大幅に作業時間を削減して、業務効率化を実現しました。

なお、同社は500台以上のロボットを導入して、100万時間単位の作業時間の削減を目標としているとのことです。また、各種書類の発行も自動化しており、経理部門の作業時間の削減も達成しています。

 

日本航空株式会社

日本航空株式会社は、ドローンを活用した配送サービスの提供に取り組んでいます。過疎化した集落や離島、交通渋滞が発生しやすいエリアへの物資の運搬に期待がかかります。

医薬品や災害時の食料などの緊急物資の配達は、ドローンの活用が特に期待されている分野です。同社では2023年の事業化を目指しているようであり、物流業界の人材不足だけではなく、非接触による配達に向けて実証実験を行っています。

 

株式会社オプティマインド

株式会社オプティマインドは、名古屋大学発の物流ベンチャーで、「Loogia」というドライバーアプリを提供しています。

Loogiaは、ラストワンマイル(顧客との最終接点)配送のルート最適化を行うアプリです。同社は研究実績が豊富であり、アルゴリズムも保有しています。それらを活用して、精度の高い配送ルートを算出することを実現しました。

 

物流業務のDXにはRPAがおすすめ!事例をもとに紹介

前述したさまざまな理由から、物流業界におけるDX推進の重要性が高まっています。しかし、「どこから手を付ければいいか分からない」ことも多いでしょう。物流DXの推進は、RPAの導入から始めるのがおすすめです。ここでは、RPAが物流DXに向いている理由や、導入事例について解説します。

 

RPAで物流業界の定型作業を自動化できる

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」とは、人がパソコンで行う定型的な作業を、ロボットに覚えさせることで単純業務の自動化を実現するITツールです。定型的な作業が多い物流業務の生産性向上においては、大きな効果を発揮するソリューションとなりえるでしょう。

例えば、会社の基幹システムから配送データをダウンロードして、Excelで集計した結果を、関係者にメール送信するといった業務も、RPAで自動化できます。また、人が同じ作業を実施する場合に比べ、ロボットがより早く正確に処理を行うため、大幅な業務効率化にもつながります。

 

RPA導入によりDXを推進する取り組み事例

茨城県に本社がある株式会社梅里物流サービスは、東北から九州にかけて8つの拠点を持ち、物流に関する幅広い事業を展開しています。まだまだアナログな業務が多い物流業界において、同社では2019年9月からRPAツール「ロボパットDX」を導入しました。

前述の「2025年の崖」に備えて導入した「ロボパットDX」は、給与の振込用データを加工する業務や運送業システムに運送データを入力する業務など、バックオフィス業務を担当する管理部門で活用されています。RPAの導入によって作業時間の大幅短縮を実現でき、従業員が定時で帰宅できるようになり、意識改革にもつながっています。

また、「ロボパットDX」の活躍によって時間が生まれたことで、上司が部下と積極的にコミュニケーションを取れるようになりました。アイデアが飛び交う環境になることで、業務改善もしやすくなるといった好循環も生まれています。

本事例でもわかる通り、物流業界ならではの各種システムを導入してDXを推進していくことも大事ですが、より汎用的なDX手段としてRPAを導入することもおすすめします。現場で工夫しやすいRPAなら応用が可能であり、物流業界全体をデジタル技術で支えていくことができます。

 

まとめ

今回の記事では、物流業界が抱える現状と課題、それらを今後解決してくれるDXについてご紹介しました。

物流業界における日本型DXの推進には、本事例でもご紹介したRPAが第1歩としておすすめです。RPAツールはさまざまな種類がありますが、中でも「ロボパットDX」は「現場が自分で作業を自動化する」をコンセプトに開発され、多くの物流企業に導入されています。

オンラインでの無料セミナー「RPAロボパット活用による日本型DX推進セミナー」も定期的に実施しています。是非お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いたコンサルタント

ロボパット編集部

広報部・編集長

ロボパットDX編集部です。
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