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DXの基礎知識 2022.03.23  [最終更新日] 2023.07.25

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か?その本質をわかりやすく解説

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近年、ビジネス界のバズワードのひとつといえるものがDXです。そのため「自社でもDXに取り組まなければ……」と思う経営者の方も多いと思います。
しかし、そもそもDXがどのようなものなのか理解していなければ、どこから手をつけるべきなのか、また自社で取り組むべき案件なのかも判断できないでしょう。そこで今回は、DXがどのようなものかわかりやすく解説しつつ、注目されている背景、課題点や必要性、事例などについても紹介します。
DX推進を検討されている経営者や情報システム部門(以下、情シス)の担当者は、自社のDX推進のあり方についてのヒントにしていただければと思います。

【目次】

 

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略語で、日本語では「デジタル革新」や「デジタル変換」という意味の言葉です。

「なぜDigital Transformationの略語がDXなの?」と疑問に思った方もいると思いますが、英語圏では「Trans」を「X」と省略する文化があるため、DXと略されます。

そもそもDXという言葉は、スウェーデンにあるウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱した概念といわれています。同氏によるとDXは「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」ものだということです。

 

DXを分かりやすく説明すると、ITツールやデジタルテクノロジーなどを活用して、まったく新しいビジネスやサービスを創出し、新たな顧客価値を提供するとともに会社の成長を促す活動といえるでしょう。なお、経済産業省(以下、経産省)が「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」の中で展開しているDXの定義も、参考までに紹介しておきます。

 

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

参考:経済産業省「デジタルガバナンス・コード」

 

DXは業務のデジタル化などと勘違いされがちですが、まったく違うという点がポイントです。次章で、デジタル化とDXの違いについて詳しく解説します。

 

DXの3つのステップ

DXを実現するためには「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」「デジタルトランスフォーメーション」という3つのステップを踏む必要があるとされています。経産省のDXレポート2にも、3つのステップについて記載があるので、詳しく知りたい方は、以下の資料をご覧ください。

 

参考:経産省/DXレポート2中間取りまとめ(概要)

 

ただし、これら3つのステップは必ず「デジタイゼーション」→「デジタライゼーション」→「デジタルトランスフォーメーション」の順番で検討する必要はなく、いきなりデジタライゼーションやデジタルトランスフォーメーションから着手するケースもある点が特徴です。

デジタイゼーションとデジタライゼーションは、両方とも「デジタル化」という意味の言葉のため分かりづらいかもしれません。しかし、異なる点があるので、このあたりも踏まえ、進め方についてわかりやすく説明したいと思います。

 

デジタイゼーション

デジタイゼーション(Digitization)とは、アナログ、物理データをデジタルデータに変換することです。DXを実現するための最初のステップが、このデジタイゼーションになります。

例えば、紙やFAXでやり取りしていた請求書をPDFなどのデジタルデータにすることがデジタイゼーションです。また、音楽ソフトがレコードやCDからデータ配信に変わったケース、本や漫画などが電子書籍化したケースなどもデジタイゼーションといえるでしょう。

 

デジタライゼーション

デジタライゼーション(Digitalization)とは、業務や作業そのもの、または業務・開発フローなどをデジタル化することです。

つまり、デジタライゼーションとはデジタルツールやテクノロジーを活用して、業務効率化や自動化を実現したり、業務・生産フローを効率化したりする活動といえます。デジタライゼーションによって業務効率化や生産性向上を果たすことで、企業の競争力向上や、新規事業、サービス開発ができる土台ができあがるため、DX実現のためにはなくてはならないステップといえるでしょう。

デジタライゼーションの事例としては、契約業務のペーパーレス化などが挙げられます。契約書の作成からやり取り、押印をWeb上で実施できるようにすることで、担当者がいつでもどこでも作業を行うことが可能です。また、契約書がデータ化されることで、保管スペースが不要になり家賃軽減につながる点や、過去の契約書を検索するときも簡単に見つかる点も大きなメリットだといえるでしょう。

 

デジタルトランスフォーメーション

3つめのステップであるデジタルトランスフォーメーションは、デジタイゼーションやデジタライゼーションといったデジタル化を経て、ビジネスモデルの変革を起こす活動です。

組織体制や業務・開発フローを抜本的に見直し、生産性や市場における競争力を高めることで、顧客に新たな価値を提供できる新規ビジネスを創出して人々の生活を豊かにするだけでなく、企業の収益向上も実現するステップが、DX(デジタルトランスフォーメーション)といえます。

 

ここまでの3ステップについて、映像ソフトを題材にして確認しておきましょう。

 

  • ステップ1:デジタリゼーション

「ビデオ→DVD」といった、映像ソフトのアナログからデジタルへの変革。

 

  • ステップ2:デジタライゼーション

映像データ(AVI、MP4など)のデジタル配信によって、物理的なメディアが消滅。

 

  • ステップ3:デジタルトランスフォーメーション

NetflixやHuluなどのサブスクリプションサービスの普及によって、月額定額で見放題のビジネスモデルが当たり前になる。映像ソフトは所有するものから共有するものへと変革。

 

デジタルトランスフォーメーションの実現によって、ビジネスモデルと顧客体験が大きく変革していることがよく分かる事例だといえるでしょう。

 

なぜDXが注目されているか

経産省がDXレポートの中で提言した「2025年の崖」がきっかけで、多くの日本企業がDXに注目し、推進するようになりました。また、DXを実現することによって企業側がさまざまなメリットを得られる点も、注目を集める理由といえるでしょう。

 

「2025年の崖」

近年、GAFA(Google、Amazon、Facebook※2021年に社名をMetaに変更、Apple)をはじめとする欧米の企業がDXを実現し、新たなビジネスモデルやサービス、新たな市場を作り出していることは周知の事実でしょう。一方、我が国のGDPは減少はしていないものの、横ばい状態が続いています。

少子高齢化による労働人口の減少や、日本企業が抱えるレガシーシステムなどが、その原因であると考えた経産省は、2018年9月に「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」を発表し、DXを推進するべきだという提言を行いました。

 

同レポートで「2025年の崖」は以下のように定義されています。

 

  • 既存システムが、事業部門ごとに構築されて、全社横断的なデータ活用ができなかったり、過剰なカスタマイズがなされているなどにより、複雑化・ブラックボックス化
  • 経営トップがDXを望んでも、データ活用のために上記のような既存システムの問題を解決し、そのためには業務プロセス自体の見直しも求められる中(=経営改革そのもの)、現場サイドの抵抗も大きく、いかにこれを実行するかが課題となっている

→ この課題を克服できない場合、DXが実現できないのみでなく、2025年以降、将来的に最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性(2025年の崖)

出典:経産省/「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」

 

なお、同レポートの中では、既存システムのブラックボックス化を解決できなかった企業は、以下のようなデメリットが生じる可能性があると指摘しています。

 

  • 社内にある膨大なデータを活用、連携できず、DXが実現できなくなる
  • 基幹システムの維持・管理費が高騰するだけでなく、本来不必要な運用・保守費を支払い続けるという意味で負債も増大する
  • 保守・運用スタッフが不足・育成できないことにより、セキュリティリスクが高くなる

 

2025年までそれほど時間もないため、日本企業は既存システムの刷新と、DXを推進できる人材の確保、育成が急務な課題といえるでしょう。また、そのために経産省は、以下DXレポート2を発表し、日本企業をサポートしています。

 

参考:経産省/デジタル産業の創出に向けた研究会の報告書『DXレポート2.1(DXレポート2追補版)』を取りまとめました

 

DX推進によって得られるメリット

DXを推進することによって、日本企業は生産性や競争力の向上、BCP(事業継続計画)対策につながるメリットが得られます。それぞれのメリットについて解説します。

 

生産性の向上

DXを実現した企業は、生産性の向上が期待できます。

DXを推進して業務フローの抜本的な見直しを行うことで、業務効率化や自動化が実現できます。例えば、RPAを利用することで定型業務を自動化できれば、人手による作業工数を大幅に減らし、残業削減にもつながるでしょう。これにより、空いたスタッフのリソースをコア業務にアサインできるようになるため、仕事へのやりがいが創出され離職率の低下が期待できます。

また、業務がデジタル化することによって、正確に作業ができるようになり、ヒューマンエラーの抑制にもつながるため、ミスが許されない経理業務を担当するスタッフなどの精神的なストレスを緩和するメリットも大きいでしょう。

DX推進による業務のデジタライゼーションを進めることで、企業全体の生産性向上につながるので、まずは定型業務の自動化といったスモールスタートではじめることもおすすめです。

 

企業の競争力を高められる

DXを推進することで、企業の競争力強化を加速します。

DXを推進してデジタライゼーションによる生産性向上を実現できれば、新規事業やサービスの創出や、既存ビジネスモデルを変革するために多くの社内リソースを割くことが可能です。その結果、多くの顧客ニーズを満たす商品やサービスが提供できれば、企業の競争力を大幅に高められるでしょう。

近年はVUCA(Volatility【変動性】・Uncertainty【不確実性】・Complexity【複雑性】・Ambiguity【曖昧性】)と呼ばれる、市場の先が読みづらい時代になりました。VUCA時代で企業が生き残っていくためには、市場の変化に合わせた柔軟な対応を迅速に行う必要があります。

そのためには、客観的な事実や顧客のデータなどを分析・活用し、適切な判断を行うことが大切です。DXを推進して、社内外のデータをマーケティングに活用できるようにすることで、市場のニーズに合わせた柔軟な意思決定および施策展開がしやすくなるでしょう。

 

BCP(事業継続計画)対策となる

DXの推進はBCP対策にもつながります。

2020年以降の新型コロナウイルスによる影響で、テレワークを導入する企業が増えたことは記憶に新しいところでしょう。しかし、DXを推進していなかった企業においては、テレワークの導入が遅れ、事業活動や収益に大きなダメージを負うケースが散見されました。

また、自然災害の多い我が国では、地震や台風などの影響で事務所やインフラが崩壊する可能性も孕んでいます。有事の際に備え、ペーパーレス化や業務フローのデジタル化、クラウドサービスの活用などを進めていない企業は、非常にリスキーといえるでしょう。

しかし、DXを推進して業務・開発フローを見直し、デジタル化、クラウド化、ペーパーレス化などが実現されれば、企業のBCP対策にもつなげることが可能です。

 

 

国内のDX推進状況

一般社団法人日本能率協会が2021年7月20日~8月20日に実施した「経営課題調査」におけるDX関連の調査結果のサマリーによると、国内のDX推進状況は以下の通りです。

 

  • DXに取り組む企業が45.3%と昨年より大幅に増加。大企業では6割超に

 取り組みの成果が出ている企業は6割。ただし「ある程度の成果」が4割と多数

  • DXで重視することは「既存の商品・サービス・事業の付加価値向上」が91.4%と最多

 「抜本的な事業構造の変革」は74.4%とやや低めに

  • 推進の課題として、「DX推進に関わる人材が不足」を挙げる企業が9割

 「ビジョンや経営戦略、ロードマップが明確に描けていない」「事業への展開が進まない」も多数

出典:PRTIMES日本能率協会/『日本企業の経営課題2021』調査結果速報【第3弾】DX(デジタルトランスフォーメーション)の取組状況や課題

 

上記の結果から、新型コロナウイルスの影響によって、DX推進への意識が高まっていることが見て取れます。しかしながら、日本企業のDXはビジネスモデルの変革ではなく、業務フローの改善やコスト削減、既存商品・サービスへのテコ入れを目的にしているケースが多い点は課題といえるでしょう。また、DXを推進できる人材が不足していることも大きな課題です。

 

そして、この傾向は首都圏においても同様だといえます。

株式会社エイトレッドが2021年11月に実施した「東京都の中小企業におけるDX実態」に関する実態調査によると、25.4%の企業がDXは「進んでいる」と回答しており、23.2%の企業が予算を「増加する」と回答したそうです。

DXが「進んでいない」と回答した企業では、そのおもな理由を以下のように回答しています。

 

  • DX推進のための予算が割けないから:28.3%
  • DX推進のための人材が不足しているから:21.7%
  • 何から手をつけて良いか分からないから:21.7%

 

DXを推進するための予算に続き、人材が不足している点が浮き彫りになっている状況です。

さらに、DXに期待する効果を質問したところ、以下のような回答結果となっています。

 

  • 業務効率化:87.2%
  • 生産性向上:72.3%
  • 社内の情報共有の円滑化:42.6%
  • テレワークなど柔軟な働き方の実現:29.8%
  • 商圏の拡大:21.3%

 

商圏の拡大をDXで実現したいと答えた企業もいますが、上位トップ3が業務効率化や生産性向上ということで、既存事業からの脱却やビジネスモデルの変革などをDXで実現しようとする企業は皆無という状況です。

現状、日本企業のDXは業務効率化や生産性の向上といった「守りのDX」に終始している傾向にありますが、今後はビジネスモデルの変革や新規事業、サービスを生み出す「攻めのDX」への注力が求められるでしょう。

 

参考:株式会社エイトレッド/「東京都の中小企業におけるDX実態」に関する調査

 

DX推進を阻む課題とは?

日本企業でDXが推進しづらい背景には、大きく3つの課題があるからです。それぞれの課題について解説します。

 

老朽化したITシステム

日本企業の多くが抱える老朽化したITシステム、いわゆる「レガシーシステム」はDX推進を阻む原因のひとつです。

長期間にわたってアップデートを繰り返した結果、システムが大規模で複雑なものになり、ちょっとした改修や機能追加を行う場合でも、甚大な工数と費用が発生します。そのため、多くの企業がDXを推進したくても、推進できないというジレンマに陥っているのです。

DXを推進するためには、レガシーシステムから移行し、システム刷新をしなくてはいけない可能性もあるため、大きな決断が必要になる場合もあるでしょう。

 

DX戦略が不透明

DXで実現したい目標や解決したい課題が不明瞭であることも、日本企業に多いケースです。

DXを推進する際には、まず達成したい目標をできるだけ具体的に決定し、それを実現するための戦略を立案する必要があります。必要な技術やITツール、DX推進に必要な組織や人材の確保・育成などの戦略を練った後、ヒト、モノ、カネのリソース分配を決定しなくてはいけません。

また、DXを推進し、目標を必達するというビジョンを経営層自身が全社員に発信することも非常に重要です。ビジョンの事例については、後程紹介します。

 

人材不足

周知の通り、我が国は少子高齢化社会に突入し、年々労働人口が減少傾向です。そのため、プログラマーやエンジニアといった優秀なIT人材の獲得が非常に難しく、日本企業の多くが慢性的なIT人材不足に陥っているといえるでしょう。そのため、DXを推進する担い手が不在であることが大きな課題とされています。

また日本企業の多くは、これまでシステム開発やメンテナンスを外部のベンダーへ委託していたため、社内にノウハウが貯まらずIT人材が育成されづらかった点も課題です。

 

なお「DX白書2021 第3部デジタル時代の人材」に掲載されているIPA(情報処理推進機構)の調査によると、事業戦略上の変革を担う人材の「量」と「質」の確保に関する回答結果は、以下のようになっています。

日本企業では、事業戦略上の変革を担う人材の「量」が不足していると回答した割合が76%だったことに対し、米国企業は43.1%でした。

一方、事業戦略上の変革を担う人材の「量」と「質」に過不足ないと答えた日本企業は「量」が15.6%「質」が14.8%と低水準だったことに対し、米国企業は「量」が43.6%「質」が47.2%と、大幅に乖離がある点が特徴です。

 

したがって、世界と比べて日本企業におけるDXの担い手は、量、質ともに不足しているといわざるを得ないでしょう。

 

参考:情報処理推進機構/DX白書2021

 

DX推進に必要となる3つの要素

DXを推進するためには、明確なビジョンと推進組織、そして人材という3つの要素が不可欠です。それぞれが必要な理由について解説します。

 

DXの明確なビジョン

DXを実現するためには、ビジネスモデルや企業自体の抜本的な変革が不可欠です。

そのため、経営層がDXによって実現したいビジョンを明確に示し、全社的に注力することをコミットしなければ、大きな結果につなげることは難しいでしょう。「DX進めたいから、あとよろしく!」といった具合に、経営層が情シス部門などへ丸投げするケースが、DXに失敗する企業の典型的な事例といえるでしょう。

しかしながら、DXのビジョンを効果的に示すことが必要といわれても、具体的にどうすれば良いのか分からない方も多いと思います。

そこで、DX推進ビジョンを明確化した企業の事例を紹介するので、参考にしてみてください。

 

コマツ

大手重機メーカーのコマツは、2019年の中期経営計画(2019〜2021年度)上で「イノベーションによる価値創造」「事業改革による成長戦略」「成長のための構造改革」という3つの戦略ビジョンを打ち出しました。

同社は、3つの成長戦略のベースとなる分野への重点投資を決定。市場における需要変動の影響を受けず、収益向上とESGの課題解決を実現し持続的成長を目指すそうです。

 

参考:コマツ/新たな中期経営計画(2019-2021年度) 「DANTOTSU Value - FORWARD Together for Sustainable Growth」をスタート

 

ヤマトホールディングス

2019年で創立100周年を迎えたヤマトホールディングスは、中期経営計画「YAMATO NEXT 100」の中で、DX推進戦略を明言しています。

具体的には「宅急便のデジタルトランスフォーメーション(DX)」「ECエコシステムの確立」「法人向け物流事業の強化」の実現に向けた3つの事業構造改革の実施。また「グループ経営体制の刷新」「データ・ドリブン経営への転換」「サステナビリティの取り組み」という3つの基盤構造改革実現を目指すそうです。

 

参考:ヤマトホールディングス/経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」を策定

 

富士通

富士通は「For Growth」というDX推進ビジョンを掲げ、DXによる顧客の事業変革と成長に貢献する意思を示しました。一方、従来のシステム開発、運用のビジョンを「For Stability」と掲げ、新たな価値創出と企業変革をサポートする活動に取り組んでいます。

同社は経産省が提唱する「2025年の崖」を解決するために、富士通Japanとジャパン・グローバルゲートウェイという2つの組織を立ち上げ、顧客のDX実現に向けて邁進している状況です。

 

参考:富士通/「For Growth」「For Stability」による価値創造

 

DXを推進する組織

前述した富士通の事例にもみられるように、DXを推進するためには最適な組織の構築も不可欠です。DXを推進する明確なビジョンがあっても、それを実現するための組織がなければ絵に描いた餅に過ぎません。DXを推進するヒト、モノ、カネを備えた組織が不可欠です。

DX推進のために専用の体制を作った企業の事例を3つ紹介します。

 

住友商事

住友商事は「IoT & AIワーキンググループ」と呼ばれる、全社横断的なDX推進組織を構築しました。また「DXセンター」と呼ばれる組織も設立し、同社の投資先であるコンサル企業が相談に乗ってくれる体制を準備することで、DXを強力に推進しています。

 

参考:住友商事/デジタルトランスフォーメーションにおける資本業務提携について

 

花王

大手一般消費財メーカーである花王は「先端技術戦略室(SIT)」と呼ばれる組織を専務執行役員直下に発足させ、DX推進に注力させていました。しかしその後、DXが社内に浸透したことで、現在では以下3つの組織の下、DXを継続的に推進している状況です。

 

  • コーポレート戦略部門(常務執行役員が統括)傘下の先端技術経営改革部およびデジタル事業創造部
  • コンシューマープロダクツ事業統括部門(代表取締役常務執行役員が統括)傘下のDX 戦略推進センター(常務執行役員がセンター長を兼務)
  • 情報システム部門(執行役員が統括)

 

参考:花王/花王サステナビリティ データブック 2021

 

NEC

NECは2019年10月にDXの専任組織である「Digital Business Office」を発足。2021年からは、リソースを増大した「デジタルビジネスオファリング事業部」を新たに立ち上げ、DXオファリング(サービス)を中心としたDXビジネスに注力している状況です。

 

参考:NEC/2028 DX ビジネスセールス&クリエーター【デジタルビジネスプラットフォーム/デジタルビジネスオファリング】

 

DX人材の確保・育成

前述した通り、DXを推進するためには、プロジェクトを推進できるIT人材の確保・育成が不可欠です。IT人材の確保は大手企業以外、厳しい状況を強いられるため、やはり注力すべきなのはIT人材の育成でしょう。

DX人材の育成に成功した企業の事例を3つ紹介します。

 

ダイキン工業

ダイキン工業は2017年に社内講座『ダイキン情報技術大学(DICT)』を創設。大阪大学のサポートの下、2023年までに約1,500人のDX人材の育成を目標にしているそうです。

 

参考:ダイキン工業/AI分野の技術開発や事業開発を担う人材を育成する社内講座『ダイキン情報技術大学』を開講

 

日清食品ホールディングス

日清食品ホールディングスでは「DIGITIZE YOUR ARMS(デジタルを武装せよ)」というDX戦略を掲げ、「ローコード開発ツール」を活用したDX人材の育成に力を入れています。これにより、システム開発などをベンダーへ外注する必要が減り、内部にノウハウが貯まりDX人材を育成しやすくなったそうです。

 

参考:日清食品HD 成田敏博が語る全社DX活動のマイルストーン

 

ソフトバンク

ソフトバンクはDX本部を2017年に設立して以降、全社から選りすぐった120名のDX人材候補者を育成するために、研修を提供。また「事業プロデューサー制度」と呼ばれる、事業推進に必要なスキルセットを明確化し、OJT、OFF-JTによって理想とする人材を積極的に育成しているそうです。

 

参考:DX(デジタルトランスフォーメーション)時代、日本企業が打つべき「次なる一手」は? | SoftBank World 2019

 

DX推進に成功した事例

DX推進に成功した企業の事例を5つ紹介します。

 

メルカリ

最初にご紹介するのは、今や国民的フリマアプリといえるメルカリのDX成功事例です。

メルカリの登場以前にも、ヤフオクなどのネットオークションのサービスはたくさんありました。しかし、当時はパソコン主体のサービスがメインだったため、今のようにスマートフォンで気軽に利用できるものではありませんでした。

また、実名で取引をしなければいけなかったサービスが多く、個人間の取引に対して拒否感を示すユーザーが多かったことも課題だったといえるでしょう。

 

メルカリは、スマホによる匿名性のアプリサービスで、個人間取引を気軽なものへ転換し、多くのユーザーから支持を得ました。取引を全てスマホ内で完結できるようにしたことで、これまで個人間取引をしていなかった多くのユーザーを取り込めたことが、メルカリがDXに成功した理由でしょう。

 

参考:DXの推進事例20選から見えた、成功のための4つのポイント

 

富士通

先ほど、ビジョンの事例でも紹介した富士通は、経産省による「DX注目企業2021」に選出されています。

受賞した理由は、顧客と従業員のインサイトを効率よく収集する仕組みである「VOICEプログラム」実施と「株式会社DUCNET」と呼ばれる、多くの製造業やものづくり企業がDXを実現できるクラウドツールを提供する会社を設立したことです。

社内と社外、両方のDXを効率的に推進できる体制を構築し、実践できたことが同社におけるDX成功の秘訣といえるでしょう。

 

参考:経産省/「DX銘柄2021」「DX注目企業2021」を選定しました!

参考:富士通/富士通のデジタルトランスフォーメーション社内実践事例 エクスペリエンス・マネジメント ソリューションQualtrics(クアルトリクス)を活用した、全員参加型DX

 

株式会社セブン&アイ・ホールディングス

株式会社セブン&アイ・ホールディングスは、経産省による「DX銘柄2021」に選出されています。「DX銘柄2021」とは、デジタル技術を活用してビジネスモデルを変革し、市場における競争力を高めた企業が選ばれるものです。

同社は「グループDX戦略本部」を中心に、グループ共通の「DXプラットフォーム」を構築することや、エンジニア採用に特化した人事担当のアサイン、AIを学習できる「AI人材育成プログラム」などを実施したことで、社内におけるDX推進に力を入れています。また「グループDX戦略マップ」に基づき「新たなお客様体験価値の創造」を目的とした「攻めのDX」と「セキュリティと効率化」をテーマとした「守りのDX」の両方を実現することを目的に活動している状況です。

 

参考:経産省/「DX銘柄2021」「DX注目企業2021」を選定しました!

 

日本郵便

日本郵便は2018年から日本初のドローンによる荷物輸送の実証実験をスタートしています。2020年には小型ドローンを使い、奥多摩郵便局の配達区で3日間にわたって配送の試行を実施。

その結果、従来20分程度かけて配送する業務を、半分程度の時間で配送できるようになったそうです。山間部への配送業務はスタッフの負荷が高いので、今後ドローンの活用による業務効率化に期待が集まっています。

同社は配達をするスタッフ不足が課題であり、今後ドローンの実証実験を繰り返すことで、解決を目指すそうです。

 

参考:日本郵政グループ/小型無人航空機を用いた配送試行の実施

 

Walmart

欧米の小売業界大手Walmartは、2018年に117億ドルもの資金をDX実現のためのテクノロジーへ投資しました。また、同社は1,700人のDX人材も雇用し、CTO兼CDOとしてAmazonやGoogleで活躍したSuresh Kumarを起用。

同社はECの強化だけでなく、全社的なプラットフォーム化を目的に、ビジネスのあらゆる部分に変革戦略を展開しました。例えば、350店舗にスキャンロボットを導入し、在庫管理の効率化を図りました。また、在庫のデータ管理を徹底し、需要予測にも活用しています。

さらに、同社は市況に合わせた商品のダイナミックプライシングを自動でできる仕組みを構築し、収益向上を実現しました。

 

参考:【日本国内·海外企業10選】デジタルトランスフォーメーション(DX)の成功事例

 

 

まとめ

DXは単なるデジタル化ではなく、ビジネスモデルや企業自体の革新を実現するための取り組みです。そのため、明確なビジョンの下、長期間にわたってヒト、モノ、カネのリソースをかけて取り組む必要があります。

日本企業がDXを実現することは、多くの課題があるため、たやすいことではありません。しかし、市場の先が見えづらくなった現在、企業が生き残っていくためにはDXの実現が不可欠です。今回紹介した内容を参考に、ぜひ今すぐにでもDX推進に取り組むことをおすすめします。

 

DXを実現するためにはITツールの活用も重要です。各社の状況に合わせて最適なツールは変わりますが、多くの企業におすすめなのが「RPA」です。

当社では特別なITスキルがなくとも現場の従業員を中心に活用できるRPAツール「ロボパットDX」を提供し、顧客のDX推進を支援しています。

興味を持たれた方は、以下よりお気軽にご相談ください。

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この記事を書いたコンサルタント

ロボパット編集部

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