定型業務を自動化!RPAが商社に適している理由
商社で発生する業務や課題点を、なぜRPAで改善できるのかご説明します。
商社の業務内容と課題点
商社にはさまざまな業務がありますが、大まかには「営業」、「事務」、「事業企画」の3つに分けられます。
商社における営業は、自社の商品やサービスを拡販する通常の営業に加え、複数の企業同士をつなぐネットワーク構築も重要なミッションです。次に事務ですが、営業マンをサポートしながら問い合わせ対応やデスクワークを行う営業事務と、商材の輸出入時に必要な通関業務や各種手続きを行う貿易事務があります。
そして、新たな商材やサービスなどを立ち上げ、事業化していくのが事業企画です。商社の事業企画では、取引先企業の経営方針を立案するなど、重要な役割を任されることが多い点が特徴といえるでしょう。
商社の業務には、知的労働以外のデスクワークもかなりのウエイトを占めています。しかも、取引先や商材が増えるのに比例して作業量も増えるため、社員の負担が常に多くなっているのが実情です。
よって、定型作業を効率化し社員の負担を減らすとともに、空いた時間を本来行うべき知的労働などに多く割けるようにすることが、商社の重要な課題といえます。
RPAで自動化しやすい業務
「RPA」とは「Robotic Process Automation」の略語で、人がパソコンで行う定型作業を自動化できるツールになります。RPAを導入すれば、普段人が行なっている作業をソフトウェアロボットに任せられるため、大幅な工数削減効果が期待できるのです。
RPAが自動化しやすい業務は、毎回やり方が同じで人の判断が必要ない作業になります。
例えば、毎日同じ時間に実施する定型作業は、RPAで自動化することが可能です。もちろん時間や日にちを設定しておくことで作業の頻度を増やしたり、定期的に作業を実施させたりすることもできます。人が同じ作業を1日中継続するのはかなりの苦痛を伴いますが、ロボットであるRPAであれば、24時間365日でも問題なく作業が継続できます。
また毎回やり方が同じで、操作手順が明確な作業もRPAの得意分野になります。一度設定した作業内容を何度でも正確に繰り返すことが可能です。ただし、毎回やり方が変わる作業や、都度人の判断が必要になる作業の自動化にはRPAは適していません。
そのため、RPAを導入する際には、RPAに任せる仕事とそうでない仕事の棲み分けが必要になります。
商社でRPAを導入するメリットとは?
商社がRPAを導入する代表的なメリットは、以下の通りです。
作業の自動化による業務負荷の軽減
商社のデスクワークをRPAで自動化できれば、大幅な工数の削減が見込まれます。
例えば、1回15分の作業を自動化した場合、単発では15分の工数削減効果しかありません。しかし、この作業を毎日10回実施する場合は、年間換算で、
15分 × 10回 × 20日(稼働日)×12カ月 =360,000分(600時間)
と、かなりの工数削減効果が期待できます。したがって、自動化する作業を増やせば、さらに大幅な工数圧縮につなげることも可能です。
RPAで作業を自動化することで、これまで作業にかかっていた社員の負担がなくなります。したがって、残業削減や社員のQOL上昇という効果もあるのです。
作業スピード・精度の向上
先ほども説明した通りRPAは24時間365日作業を継続することができますので、人が働かない深夜や週末でも作業を進められます。したがって、作業スピードを大幅に上げることも可能でしょう。
また人が定型作業を何度も繰り返した場合は、どうしても凡ミスなどのヒューマンエラーが発生していまいます。しかし、RPAであれば継続的に正確な作業が可能です。したがって、作業の質が向上する効果も期待できます。
生産性向上による収益の増加
RPAの活用による作業効率化によって、商社の社員は本来行うべき知的業務に集中できる時間が増えます。また正確な在庫管理を実現することで、欠品や在庫ロスが減り、ビジネス上の機会損失も少なくなるでしょう。
したがって、RPAを導入することで商社の生産性が上がり、それに伴って収益の増加にもつながるというわけです。
商社でのRPA活用事例を紹介!
では、実際に商社でRPAをどのように活用するのか、いくつか事例を紹介したいと思います。
企業合併時のシステム統合をRPAで実現
RPAは複数のシステムやソフトをまたがる作業の自動化が行えます。商社では企業同士が合併するケースも多く、その都度両社のシステム連携による業務効率化が課題として挙がるものです。
また別々のシステム同士を連携させようと思うと、通常は大規模なシステム改修が必要になります。そのため、及び腰になりなかなか取り掛かれないのが現状です。しかも、企業間で連携する場合は商流などが変化するケースもあり、非常に複雑で大規模なシステム改修になる傾向があります。
しかし、RPAであれば基本的な業務フローは変えず作業のみを自動化できますので、大規模なシステム改修や開発は不要です。作業を自動化することで、両社の工数を大幅に圧縮することが可能になるでしょう。
さらに、RPAの導入効果は「年間〇〇時間の工数削減を実現」といった具合に、数字で効果を表せます。したがって、KPI管理が厳しい商社においては、経営層へRPAの導入効果をきちんと明示できる点も大きなメリットです。
受発注業務の自動化
商社では、多くの取引先との受発注業務が発生します。そのため、受発注業務を自動化することで、かなりの工数削減効果が期待できるでしょう。もちろん受発注業務自体の自動化もRPAで実現はできますが、意外に厄介なのが取引先からの在庫問い合わせ業務です。
例えば、取引先からの問い合わせ対応業務を行う場合は、電話やメールで受けた内容を人が確認し、在庫管理部門の社員にその都度問い合わせなくてはなりません。そして、その内容をメールなどに記載して、連絡するという作業が必要になります。
もちろん、1日に1回や2回であれば問題ありませんが、商社では1日に数百件もの問い合わせが来ることも普通です。そのため、人が捌いていたら1日中対応業務で終わってしまうケースも珍しくありません。
しかし、RPAを有効活用すれば、
・取引先から来た問い合わせメールの内容をコピー
・在庫管理システムにアクセスして、参照結果をコピー
・メーラーを立ち上げ、参照結果をペーストして取引先および担当社員のメール送信
といった一連の作業も自動化できます。またRPAで自動化すれば作業スピードも飛躍的にアップし返答までの時間が短くなるため、取引先の満足度向上にもつながるでしょう。
さらに、RPAとOCRを連携させることで、紙やFAXの問い合わせでも自動化することができます。なお「OCR」とは「Optical Character Recognition」の略語で、手書きや印刷された文字をスキャナやカメラなどで読み取ってデジタル化できるツールです。
したがって、取引先からの在庫問い合わせ対応は、商社がRPAで効率化するべき作業の代表例といえるでしょう。
マーケティング業務の自動化
新商品やサービスを検討するためには、市場や競合の調査も欠かせません。最近はネットを活用して情報収集を行うことが一般的ですが、この作業をRPAで自動化することも可能です。
RPAの中にはスクレイピングという機能を備えたツールもあります。スクレイピングとは、Webサイト上から特定の情報を収集して、加工や編集を可能にする作業です。
RPAのスクレイピング機能を使うことで、
・競合商品の価格情報
・参入しようとしている市場の情報
・SNSやWebサイト上の自社製品やサービスの口コミ情報
などを自動で収集することができます。
これによりマーケターがブラウザで情報を検索する手間がなくなり、本来の企画や戦略立案に専念できる時間が増えるのです。
営業結果の集計と報告の自動化
商社では各拠点の営業マンの成果を日時で集計し、本部へ送る作業を行うことがあります。営業マンが多い拠点においては、毎日膨大な作業量になることが想像できるでしょう。
しかし、RPAを有効活用することで、
・営業マンがWebやメールの規定フォーマットに営業結果を記述してメール送信
・拠点ごとの営業管理ツールで集計して、結果をメールに記載
・本部に送信
という具合で自動化できれば、大幅な工数圧縮が可能になるのです。
経理処理の自動化
取引先とのお金のやり取りが頻発する商社の経理部門では、伝票の入力作業や帳票作成作業などの自動化で大幅に工数を削減できます。また人が作業を行うと、ヒューマンエラーを避けられない点も課題といえるでしょう。
特に取引先が多い商社では、作業量が膨大かつスピードが求められるだけでなく、ミスも許されません。そのため、早く正確に作業できるRPAは、商社の経理処理を自動化するにはうってつけのツールといえるでしょう。
また、社員の交通費や経費の精算処理も、もちろんRPAで自動化できます。対象範囲が全社員になるため、こちらも大幅な工数の削減が期待できておすすめです。
商社においてRPAを浸透させるポイント
商社がRPAの導入を成功させるためには、以下のポイントを押さえるようにしましょう。
現場の社員が利用しやすいRPAツールの選択
商社に限らずRPAを導入する場合は、まず情報システム部門などが主導になって進めるケースもあります。しかし、運用に入った後、実際にRPAを使うのは現場の社員です。
したがって、できるだけ現場の社員が使いやすいRPAツールを選ぶことが重要になってきます。特に、現場の社員はITやプログラムの知識を持たないスタッフが多いので、非エンジニアでも利用できるUI・UXが簡単なRPAツールを選ぶと安心でしょう。
またRPAを導入する際には、達成したい目的を決める必要があります。よって、そもそも目標達成に必要な機能が実装されていないRPAを選んでしまっては本末転倒なので注意が必要です。
利用者が多い場合は費用面も重要
RPAは比較的安価な利用料のツールが多い点がメリットです。しかし、利用者が多くなれば、その分ランニングコストも多くなります。よって、できるだけ費用対効果の高いRPAツールを選ぶことがおすすめです。
またRPAのランニング以外にも、作成済のロボを定期的にメンテナンスする必要もありますので、長期的な人件費やサポート費用が発生することも
想定しておきましょう。特にRPAのプロジェクトで予算計上するときには、この点に要注意です。
ただ、安いだけで使いにくいものであれば意味がありません。費用対効果は重要視するものの、使いやすく、サポートが利用しやすいRPAを選ぶことが最も重要です。
最初はスモールスタートから
ここまで紹介した通り、商社にはRPAで自動化できる作業がたくさんあります。また会社間や部署間をまたいだ業務の効率化にも、RPAは非常に有効でしょう。
ただし、RPAを導入する際には、まずは一部の部署に絞って限定的にスタートするべきです。いきなり複数の会社や部署をまたいだ業務の自動化を行うと、不具合時のリスクが大きくなってしまいます。
まずは発注業務の一部入力業務の自動化から実施して、うまく効果が出たら次はメール作成を自動化するといった具合に、徐々に対象範囲を広げていくことが成功の秘訣です。
逆に大規模なシステムの自動化に失敗して大きなダメージを被ってしまうと、「RPA使えない……」というネガティブなイメージが社内に残り、RPAの浸透が困難になる可能性が高くなります。
よって、RPAを導入する場合は、スモールスタートで実施するようにしましょう。
まとめ
今回は、商社におけるRPA活用事例や導入メリット、成功のポイントを紹介しました。
定型業務が多い商社ではRPAの活用シーンが非常に多く、前向きに導入を検討してもらえれば幸いです。定型作業を自動化することで、空いた社員のリソースをより重要な業務にアサインできるようにもなります。それにより、残業の削減はもちろん、生産性がアップによる収益拡大も期待できるでしょう。
ちなみに、商社におすすめのRPAツールとして「ロボパットDX」というツールがあります。ロボパットDXは非エンジニアでも使えるUI/UXのRPAツールなので、商社で業務効率化を行うには最適です。またサポートも無料で充実していますので、導入企業の定着率が高いことも特徴です。興味が湧いた方は、こちら(http://fce-pat.co.jp/)からチェックしてみてください。