いま話題の「デジタルトランスフォーメーション(DX)」とは?
まず、DXがどのような取り組みなのか、おさらいしておきましょう。社内のメンバーや上司などへ適切な説明ができるよう、ぜひ再確認しておいてください。
なぜ「DX」と略す?
「DX(デジタルトランスフォーメーション)」とは、「Digital Transformation」の略語で、「デジタルへの変革」というような意味になります。
ちなみに、「『Digital Transformation』なら『DT』では?」と疑問に思う方もいると思いますが、英語圏では「Trans」を「X」と省略する文化があることから「DX」と略されているのです。
では、DXがどのような取り組みなのか、もう少し噛み砕いて説明します。
まず、経済産業省が定めるDXの定義は、以下の通りです。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
出典:経済産業省:「DX 推進指標」とそのガイダンス
(https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003-1.pdf)
つまり、企業におけるDXとは、デジタル技術を活用して企業体制や事業を革新することで、生産性や競争力を上げ収益を増加させる取り組みといえるでしょう。
一方、経産省はDXに取り組まない企業は大きなリスクを伴うと警告しており、別途DX推進ガイドライン(https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004.html)も出しています。
しかしながら、我が国においては、未だにDXを推進している企業は少ないのが現状です。
そこで以下では、国内企業が「なぜDXに取り組む必要があるのか」について解説します。
なぜデジタルトランスフォーメーションが必要なのか?
日本企業にとってDX推進が必須な理由は、以下3点になります。
企業の競争力の向上
日本企業にとってDX推進が必要な理由のひとつが、競争力向上のためです。
近年、我が国の経済状況は、一定の成長率で国際収支の黒字をなんとか継続できています。しかし、グローバルに見ると、残念ながら停滞しているといわざるを得ないでしょう。
欧米では、テクノロジーの進化に伴い、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)を中心に最新のデジタル技術を
組み合わせた斬新なサービスやソリューションが次々と生み出され、莫大な収益を上げている状況です。また、彼らが提供するサービスは、我々日本人を含む多くの人々の生活を一変させる便利なものがたくさんあります。
例えば、
・Google:検索エンジン、Android、Google Mapなど
・Amazon:ECサイト(Amazon.com)、Alexa、AWS(レンタルサーバー)、Prime Videoなど
・Facebook:SNS(Facebook、Instagram)、Oculus (VRシステム)など
・Apple:iPhone、iPad、Apple Music、Air Pods(Bluetoothイヤフォン)など
というような、すでに我々の生活にとっても必要不可欠なデバイスやサービスばかりです。
これに対し我が国においては、これまで経済を牽引してきた製造業や銀行までもが、市況変化のあおりを受け変革せざるを得ない状況です。
例えば、自動車業界では、電気自動車や自動運転というような新たな技術革新への取り組みがスタートしています。また、銀行をはじめとする金融業界にもキャッシュレス化の波が押し寄せており、現金を取り扱う機会が減ったことで今後の方向転換が必須の状況です。
したがって、日本企業が生き残っていくために、最新のデジタル技術を活用して企業体制や事業形態の変革を行うDXを推進する必要があります。そして、新たな商品やサービスを提供して収益を上げることが、現在の大きな課題といえるでしょう。
レガシーシステムや既存システムの老朽化対策
日本企業にとってDX推進が必要な理由の2つめが、レガシーシステムや既存システムの老朽化対策です。
これまで日本企業の多くが、事業や部署ごとに個別のシステムを運営することが一般的でした。そのため、全社最適の視点に乏しく、個別最適なシステム構成になっているケースを散見します。
また、大企業においては、ひとつのシステムに関連する部署や事業が多く見られる点が特徴です。つまり、ひとつ改修を行うだけでも影響範囲が広くなってしまい、多大な費用や工数が発生します。よって、システム改修を行うのが容易ではなく、業務フローの変更や新しいシステムへの移行がなかなか進みづらい状況なのです。
しかし、こうしたレガシーシステムに日本企業ががんじがらめになっている間に、先述した欧米企業はDXを推進して、どんどん生産力を上げている状況です。そして、この状況を鑑みた経済産業省は、「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html)というレポートにおいて、日本企業に対してレガシーシステムからの脱却を促しました。
本レポートで特に注目されたのが、「2025年の崖」と呼ばれる課題です。「2025年の崖」とは、日本企業がレガシーシステムから脱却できなかった場合、2025年以降最大12兆円の経済損失の可能性があるという提言になります。
現在、DXを推進している企業の多くが「2025年の崖」に影響を受けており、DX推進を自分ごととして捉えるようになりました。
これまでシステム改修が行えないという理由から、非効率だと分かっていても業務フローを変えられなかった企業は多いと思います。しかし、レガシーシステムから脱却するためには、従来のシステムや業務フローの根本改革が必須です。
そのため、最新のデジタル技術やソリューションを有効活用し、業務フロー自体をの分析し、最適化や大幅な業務効率化を行わねばなりません。これにより、これまで必要だった管理コストを削減したり、作業を自動化することで空いたリソースを別の重要な業務にアサインしたりすることが可能になります。
裏を返せば、DXを推進してレガシーシステムから脱却できなければ、日本企業が生産性向上を達成するのは困難でしょう。
非常時のBCP(事業継続計画)対策としても
日本企業にDX推進が必要な理由の3つめが、非常時のBCP対策のためです。
近年、我が国では、大雨や台風などの自然災害によって被害を受けた企業が増えています。さらに、2020年は新型コロナウイルスの影響で、多くの企業が大きなダメージを受けました。そのため、有事の際のダメージを最大限に抑えて事業を復旧させ、継続するための手段や方法などを決めるBCP対策が日本企業の重要な課題となっています。
ちなみに、「BCP」とは「Business Continuity Plan」の略語で、「事業継続計画」という意味です。
新型コロナウイルスの影響を受け、多くの企業がその事業形態の変革を迫られました。
例えば、
・エンタメ業界:会場でのライブ → リモートによる無観客ライブ
・飲食業界:店内での飲食 → テイクアウト
・営業会社:対面営業 → リモート営業
・フィットネスクラブ:ジムでのエクササイズ → オンラインエクササイズ
というような変革を短期間で実現した企業もたくさんあります。事業の変革に柔軟に対応できていた企業はもともとデジタル化が推進されていたところが多く、それがBCPにつながったというわけです。
しかし、DXが進んでいない企業においては、なかなか事業を変革できず生き残れなかったところも多数ありました。また、今や多くの企業で導入されているテレワークに関しても、機材やインフラの準備をしていなかった企業では、導入が遅れ事業が停滞した事例もあります。
したがって、DX推進はBCP対策にもつながるため、日本企業がやらない理由はないでしょう。
参考:企業がDXに取り組む必要性(DXに失敗する要因とは?成功のカギも)
なぜDXはなかなか進まない?推進における課題
日本企業でなかなかDXが進まない理由は、レガシーシステム以外にも課題があるからです。その中で、特に大きな課題を3つ紹介します。
IT人材の不足
日本企業でDXが推進しない大きな理由のひとつに、IT人材が不足している点が挙げられます。
周知の通り、日本は少子高齢化の影響で労働人口の減少に歯止めがかからない状況です。それに加え、もともと日本企業はエンジニアなどのIT人材が少ないという特徴があります。
そのため、現在ではIT人材の確保が日本企業の課題となっており、完全な売り手市場といえるでしょう。したがって、IT人材の確保が困難なだけでなく、賃金も高くなっていることから、DXを推進したくてもなかなかできない状況なのです。
また、日本企業においては、IT人材の育成も重要な課題になっています。社内でITやプログラミングなどの知識を高められる環境を準備し、DXを推進できる人材を育成することは急務です。
とはいえ、DXが推進できるレベルの人材を育成するといっても、一朝一夕にはいきません。そのため、IT人材でなくてもDXを推進できるPRAのようなデジタルサービスの導入も、前向きに検討する必要があるでしょう。
DX推進のビジョンが不明瞭
次に、DX推進における企業内や経営層のビジョンが不明瞭なケースが多い点も、日本企業でDXを進めづらい理由といえます。
DXを推進するためには、既成概念にとらわれることなく、新しい発想で事業構造や業務のあり方自体を見つめ直すことが必須です。そのために、「どの事業分野で、どのような方法で、新たな事業やサービスを構築するのか」という経営ビジョンがなくてはなりません。
しかし、DXに取り組もうとする企業に多いのが、経営者が部下にDX推進を丸投げするケースです。結論から言えば、この方法でのDX推進はかなりの確率で失敗に終わるでしょう。
なぜなら、部下が上司に報告する際に、どうしても一定の成功が約束されたものになりがちです。そのため、DX推進においても無難な施策に留まることが多くなります。
したがって、従来の事業スタイルやビジネスモデルから大きく逸脱することができず、結果として大きな成果が見込めない可能性が高いのです。こうなると、DX推進も尻つぼみとなり、徐々にプロジェクト自体が消滅する場合がほとんどでしょう。
とはいえ、「DXのビジョンを示してほしい」と言われても、多くの経営者にとってそれは困難だと思います。なぜなら、DXの重要性は理解しながらも、デジタル技術を活用して具体的にどうしたらよいのかが分からないからです。
しかし、経営者自身がデジタルに深い造詣を持つことは、必要条件ではありません。それよりも、DXを推進することで「会社をどうしたいのか」「事業で何を達成したいのか」というビジョンを明確に打ち出し、そのための議論を社内メンバーに促すことのほうが重要です。
DXを推進するために、自社のビジネスや組織、企業文化や評価制度などの根本的な改革を行う必要があります。そのため、経営者自身が強い覚悟を持って、DXを推進するとコミットすることが不可欠なのです。
社内で改革への足並みが揃わない
日本企業でDXが推進しない理由の中に、社内メンバーの改革への足並みが揃わないことも挙げられます。
DX推進を行う際に、企業の情報システム部門のメンバーなどが主導になって進めるケースが多いです。しかし、情報システム部門のメンバーは、ITやデジタルに関する知識は深いのですが、業務に関する知識は低いことも多いでしょう。そのため、現場のスタッフから反発を受け、なかなかDXが進まないケースも散見します。
また、新たなデジタルソリューションを導入することによって、複数の部署が影響を受ける場合は、声が大きな部署によってストップがかかるケースもあるでしょう。先述したDX推進のビジョンが不明瞭な場合は、なおさらです。
したがって、DXを推進するために、DX推進ビジョンを明確に打ち出すことで社内のプライオリティを上げておく必要があります。
また、デジタルソリューションなどを導入する際、事前にどのような目的で、どのような効果があり、現場にどのようなメリットがあるのかについて説明会を開催するというような工夫も必要でしょう。
DX推進におすすめのRPA
今回は、日本企業がDXに取り組まなくてはいけない理由をご紹介しました。
先行きが見えない昨今の経済状況においては、あらゆる状況に柔軟に対応できる社内・事業体制にしておくことが必須です。そのために、企業内でDXを推進し、臨機応変に対応できるように備えましょう。
なお、「DX推進と言われても、何からやったらいいか分からない……」という企業も多いと思います。そこで、おすすめしたいのが「RPA」というサービスです。
RPAとは、人がパソコンで行なっている定型作業をソフトウェアロボットに代替させることで、作業を自動化できるサービスになります。
また、PRAツールの中には、ITやプログラムの知識を持たない非エンジニアでも十分に使えるサービスもあり、IT人材不足に悩む日本企業にも最適です。
RPAツールを選ぶ際、ぜひ「ロボパットDX」をチェックしてみてください。
ロボパットDXは、非エンジニアのためのRPAツールなので、現場のスタッフが能動的にDXを推進することが可能です。
本記事でRPA「ロボパットDX」に興味が湧いた方は、ぜひこちら(http://fce-pat.co.jp/)から詳細をご確認ください。