DXとは?
DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略称であり、「デジタル変革」という意味です。英語圏では「Trans」を「X」と省略することがあり「DX」と表現しています。
ビジネスにおけるDXは、最新のデジタル技術を活用して事業の在り方やビジネスモデル、組織を変革することです。そして、新たな価値を生み出し、安定した収益につなげる取り組みと定義されます。
企業がDXに取り組む必要性
日本企業がDXに取り組む必要性は、以下の3点があげられます。
- 競争力と収益の向上
- 日本的なレガシーシステムからの脱却の必要性
- BCP対策
以下でそれぞれについてご説明します。
競争力と収益の向上
一時期の日本は、大手メーカーが世界中に商品を提供して国内GDPが向上しました。しかし、近年の世界経済をけん引しているのは、GoogleやApple、Facebook、AmazonのいわゆるGAFAを中心とした欧米企業です。
また、GAFAなどに共通してみられるのが、最新のテクノロジーを使って新サービスを提供していることです。日本企業においてはSoftBankや楽天などが積極的にDXを推進して、世界企業と渡り歩いています。
人々の生活やビジネス環境の変化に柔軟に対応するためには、DXの促進が必須といえます。
日本的なレガシーシステムからの脱却の必要性
日本では特に大企業が、複雑で大規模なシステムを多くの事業で運用しています。ところが、システムが大規模になると、機能追加や改修が難しく、長年使うことになります。
いわゆるレガシーシステムであり、そこから脱却できないと2025年以降に最大12兆円の経済損失が出るといわれています。このレガシーシステムからの脱却としてDXが進められている側面があります。
参考:「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」
BCP対策
BCPとは「Business Continuity Plan」の略称であり、日本語では「事業継続計画」という用語です。災害時に迅速に事業を復旧させて、継続させるための計画を意味します。
近年、大震災や大雨、大雪、感染症などの影響を受ける企業が増えており、特に新型コロナウイルス感染症の影響で多くの企業が廃業しました。
このような状況下において、テレワークの導入やキャッシュレス決済の導入など、BCP対策をしている企業は最小限の影響にとどめています。DXを進めることで、顧客のニーズに合わせやすくなり、事業継続がしやすいということです。
DX推進の現状
前章までは日本企業がDXを推進する必要性などをご説明しました。しかし、日本企業のDX推進には、まだまだ課題があります。総務省が2021年に調査・報告した「DXレポート2」によると、多くの企業がDXに取り組んでいない、もしくは取り組みはじめた段階にとどまることが分かりました。
理由としては、DXを推進しようという危機感の共有や、意識改革の段階に移っていないとされています。また、総務省が2021年7月に発表した「情報通信に関する現状報告(令和3年版情報通信白書)」では、DXを推進するにあたって人手不足であることも分かっています。
そのほかの要因として、既存システムの保守、人材不足からベンダーへの丸投げなどもあげられます。
参考:デジタル産業の創出に向けた研究会の報告書『DXレポート2.1(DXレポート2追補版)』を取りまとめました
DX推進を阻害するものとは?
日本企業のDX推進を阻害するものは、予算やリソースの不足によるところが大きいです。また、導入後に適切な運用をするためのノウハウ不足もあるでしょう。デジタル技術を導入することから、データプライバシーやサイバーセキュリティーへの不安も考えられます。
加えてDX推進についての危機感、意識の低さは前述のとおりです。これらの要因は、デル・テクノロジーズ株式会社が出した「日本企業のデジタル トランスフォーメーション(DX)への取り組みの現状と課題」で報告されています。
- 予算およびリソース不足:32.5%
- スキルおよびノウハウの不足:27.5%
- データプライバシーおよびサイバーセキュリティーに関する不安:27%
以上のように、調査された企業は予算やリソースなどの問題を抱えている割合が高いです。
参考:日本企業のデジタル トランスフォーメーション(DX)への取り組みの現状と課題
DX推進のよくある失敗例
DX推進では、失敗してしまう企業も存在します。ここでは、DX推進のよくある失敗例を5つご紹介します。これからDXを推進していく企業は、失敗例から学んで活かしていきましょう。
DXに対する理解不足
「DX=AIを導入すればOK」などDXに対する理解不足から、失敗する例があります。
もちろん、AIが搭載されたシステムやツールを導入することは、DX推進において有効です。しかし、一言でAIといっても種類があり、何が自社に最適であるかは課題や現状に応じて異なります。自社に不要な機能を備えたシステムやツールを導入しても、期待したレベルの効果がないのです。こうしたツールやテクノロジーだけではなく、そもそもDXを単なるデジタル化と勘違いするなど、DXが何かを理解していない場合はDX推進がうまく進みません。
組織がDXに向けて団結できていない
前述のとおり、会社全体でDXに向けて意識改革をして団結しないとDX化プロジェクトが頓挫してしまうケースが多いです。例えば「ウチの部署は●●を導入してほしい!」「ウチの部署は現状のままがいい!」と社内で意見が食い違っていたらどうでしょうか。
業務は部署間の連携をすることが多く、一部の部署だけが先行して施策を実施する進め方ではDXを推進しても効果が得にくいものです。そもそも社内でDXに対する意識が違っていては、導入に至らないケースもあるでしょう。
経営陣がDXの必要性を感じていない場合は、現場からボトムアップで経営陣に理解を求めるなど、その重要性について全社員が理解し、団結することが求められます。
ゴール設定の誤り
日本企業のDXに対する誤った理解で多いのが「デジタルツール導入=DX実現」というものです。AIやRPAなどを導入すれば業務効率化につながり、生産性が上がるだろうと間違えた目的では成果が見込めません。
デジタルソリューションの導入を目的とせず、手段のひとつとして捉え、それによって何を実現したいのかゴールを具体的にすることが大事です。
DXを進められる人材がいない
すでにご説明したように、日本企業はDX推進のための人材不足が課題とされています。少子高齢化によって労働人口が減少しており、IT人材の不足は大きな課題です。
企業においても「DXに踏み切りたいが任せる人材がいない」と頭を抱える経営者は少なくありません。人材の育成や採用をするにも、予算が確保できなければDX化が進まないわけです。
目的なくシステムやツールの導入をすすめる
DX推進に目的がないままシステムなどを導入することは、失敗例の中でもありがちな内容です。例えば、経営者が「世間でDXが流行しているから、ウチも導入しよう!」と、軽い気持ちで導入すると失敗する可能性が高いです。
DXによって何を実現するのか、はっきりさせておかないと自社の課題が解決されません。ここで重要なのが、DX推進を一部の部署に任せきりにすることです。経営陣も含めて全社的に取り組むという意識と理解がないと、DX推進がうまく進みません。
DXを成功させるポイントとは?
前章で取り上げたように、さまざまな要因からDX推進に失敗することがあります。DX推進で成功させるには、以下の3つのポイントがあります。それぞれの内容を理解して、DX化に活かしてください。
DX人材を育成する
DXを成功させるのは、高性能なシステムやツールではなく人です。DXの本質は顧客に提供する価値を見直すことであり「このままではいけない」という向上心などが、DXに取り組む絶好の機会です。
前向きな姿勢こそがDXの成功に大きな影響を与えます。そこでDX人材の育成も大事であり、スキルと場所の提供が求められます。スキルはDXに関する知識や技術です。場所は組織上のポジションだけではなく、適性を見極めた配置がポイントとなります。
そして、スキルの習得のためのサポートも行いましょう。外部講師による研修やEラーニングなど、スキルを習得する方法は多岐にわたります。
トップのコミットと組織文化の変革
DX推進は、各事業部門の現場の協力だけではなく、経営陣のコミットメントも必要です。人材の採用や育成においても、マインドセットを醸成する組織文化が不可欠となります。そこで、経営陣がDXでどのような価値を生み出したいのかを明確にして、全社員に伝えることが重要です。
さらに、DX推進の予算の割り当て、人員配置、現場との意思疎通を通じて社内全体の意識を変えることが必要です。DXはすぐに構築できるものではなく、数年がかりのプロジェクトです。
大きなプロジェクトこそ経営陣がフルコミットして、組織文化を変えていくことが求められます。
一貫性のあるシステム構築
日本企業ではレガシーシステムと呼ばれる、長年使ってきたシステムやツールが残っていることが多いです。長年使われているITシステムは老朽化や複雑化、ブラックボックス化された個別のシステムが多く、連携がしにくいことが問題点です。
レガシーシステムの課題を解消するためにDXの推進を検討する企業もあるでしょう。しかし、部署やチームごとにシステムを選定・運用をすると、全体として活用できるデータを持つシステムが構築できません。
DXを成功させるには、全体像をとらえて一貫性のあるシステム構築がポイントです。一貫性のあるシステムであれば、部署間を横断するシームレスなデータ活用が可能となります。企業の競争力も向上して、新たな価値の創出にもつながるでしょう。
失敗しないDXの鍵は「スモールスタート」
ここまで日本企業におけるDX推進は失敗する可能性が高いと、ネガティブな話ばかりしてきました。しかし、成功率を上げる方法もあります。それはDXのスモールスタートです。
そして、DXのスモールスタートにおすすめのツールがRPAになります。
おすすめは「RPA」の活用
「RPA」とは「Robotic Process Automation」の略語で、ロボットによる過程の自動化という意味になります。簡単に説明すると、RPAとは人が行っている作業をロボットに代行してもらうツールです。
ただし、RPAで自動化が可能な作業は、人がパソコンで行う定型作業になります。
例えば、
- Excelの集計作業
- 社内システムからのデータダウンロード、
- システムへのデータ入力
- ダウンロードしたデータをメールにコピペ
- 定型文メールの自動送信
などの作業であればRPAで自動化が可能です。
しかし、
- やり方が毎回変わる作業
- 都度、人の判断が必要な作業
に関してはRPAで自動化できません。
したがって、RPAを導入する際には、人が行う作業とRPAに任せる作業を切り分けておく必要があります。
RPAの導入メリットはたくさんあります。
まず、人が行う作業をロボットに代行してもらうことで、工数や残業の大幅な削減につながる点がメリットです。これにより、現場スタッフの負荷が減るだけでなく、空いたリソースを別の業務に振り分けることもできます。
そのため、企業の生産性向上につながる結果になるのです。
また、RPAはデジタルソリューションでありながら、ITやプログラム知識をそれほど持たない非エンジニアのスタッフでも十分に使いこなせます。よって、現場スタッフが自発的にDXを推進することができるため、デジタル人材不足の日本企業にはうってつけのソリューションといえるでしょう。
RPA導入の際、一部の部署で限定的に進めることが成功の鍵です。なぜなら、いきなり大掛かりな作業や多くの部署が関わる作業の自動化を行うと、失敗したときのリスクが大きくなるからです。
そのため、RPAを導入する際は、まず簡単な作業の自動化からスタートして、徐々に適応範囲を広げていくようにします。そして、一定の成果が上がりはじめた段階で、社内の別部署へ展開していくのがポイントです。
こうすることで、PRAの成功事例とそのノウハウが社内で共有され、DXの成功イメージが明確になります。
つまり、RPAでスモールスタートすることが、結果としてDXのスモールスタートにつながり、より成功の確度が高まるというわけです。
参考:RPAを使用した身近な活用事例(RPAの対象業務例15選)
まとめ
今回は、DXに失敗する要因と、失敗しないためのヒントを紹介しました。
日本企業には、以下4つの要因でDXが失敗しやすい状況です。
- DXに対する理解不足
- 組織がDXに向けて団結できていない
- ゴール設定の誤り
- DXを進められる人材がいない
そのため、日本企業でDXに成功しているところは非常に少なくなっています。
しかし、RPAを導入してDXをスモールスタートすれば、成功の確率を上げることが可能です。
RPAはデジタル人材が少ない日本企業でも比較的導入しやすいデジタルソリューションなので、ぜひ前向きに検討してみてください。
中でも「ロボパットDX」は、非エンジニアのためのRPAツールなので、現場のスタッフが能動的にDXを推進することが可能です。
RPAツールを選ぶ際には、ぜひ「ロボパットDX」をチェックしてみてください。
本記事でRPA「ロボパットDX」に興味が湧いた方は、ぜひこちら(http://fce-pat.co.jp/)から詳細をご確認ください。