RPAとは
「RPA」とは「Robotic Process Automation」の略称であり、ロボットによるプロセスの自動化と訳されます。RPAを使うことで、パソコンで行なっているさまざまな定型作業をソフトウェアロボットに代行させ、自動化することが可能です。
例えば、
- Excelへのデータ入力や集計作業
- データベースなどへのデータ入力作業
- ネットから競合他社の情報を自動で抽出する作業
- 定型文メールの自動作成と送信
- OCR(光学的文字認識)技術と組み合わせてPDFの文字をテキストデータに変換
といった作業であればシナリオに沿ってRPAで自動化できるため、大幅に工数を削減しスタッフの負荷を下げることができます。スタッフの残業削減につながるだけでなく、空いた工数で別の仕事を行う余裕が生まれ、企業の生産性向上、業務改善の効果が期待できるでしょう。
また、RPAはソフトウェアロボットが作業を行うので、人に比べて作業が速いだけでなく、24時間365日でも働き続けられます。さらに、ヒューマンエラーの発生も抑制できますので、作業の質も向上するのです。
こうしたメリットから、現在RPAはDXを推進する多くの日本企業に利用されています。人口減少による人手不足が問題視されている日本では、今後ますます必要となるツールではないでしょうか。
ただし、RPAで自動化できるのは作業方法が決まったものに限定されます。AIのように自分で考える力はありません。毎回作業の実施方法が変わる場合や、人間のジャッジが必要になる作業は自動化の対象外です。RPAで業務効率化を行う前に、自社のどのような作業に課題があるのか確認し、RPAが有効活用できるかどうか判断しておくことがポイントです。
RPAの認識方法
RPAはパソコンで行う作業を自動化するツールです。人がデスクトップ上でマウスやキーボードを使って行う動作などを、ソフトウェアロボットに認識させることで、自動化を実現しています。
RPAに人が行う作業を認識させる方法は、
- 画像認識
- オブジェクト認識
- 座標認識
の3種類です。それぞれの認識方法がどのようなものか、以下で解説します。
画像認識
「画像認識」とは、特定の画像がある場所をソフトウェアロボットに覚えさせる認識方法です。
特定の画像を指定し、その画像がデスクトップ上に表示された際にRPAが補足することで、決められた作業を行います。例えば、「検索」や「申請」、「クリック」といったアイコンやボタンなどを、RPAに覚えさせるケースが一般的です。
最近のRPAツールは、アスペクト比や解像度の変化をトレースできるものも多く、アイコンやボタンの大きさや形が多少変わっても認識できる、精度の高い高性能なものとなっています。これにより、RPAが間違えた動作を行うリスクがかなり減少しました。
オブジェクト認識
「オブジェクト認識」とは、対象(オブジェクト)の構造や階層を検出する認識方法です。画像認識や、後述する座標認識のように、オブジェクトの形状や場所だけでなく、属性や構造も含めてどのようなものか認識する方法です。
例えば、Webアプリの場合であれば「テーブルA」にあるHTMLタグの「属性B」のものを認識するように命令することで、ブラウザ上のどの場所にあっても同じ構造のオブジェクトを見つけて認識できます。
コンビニに売っている缶コーヒーのケースに例えると、「コンビニC」の「清涼飲料水コーナー」にある「メーカーA」の缶コーヒーと認識するのがオブジェクト認識です。
オブジェクト認識のRPAであれば、Webアプリだけでなく識別子の構造を指定することで、デスクトップアプリケーションにおける複雑な作業の自動化も行えます。
座標認識
「座標認識」とは、デスクトップなど、指定範囲内の縦軸と横軸の座標のオブジェクトを指定する認識方法です。デスクトップの左上隅を起点にした場合、「横に●●ピクセル、下に〇〇ピクセル」と座標を指定することで、オブジェクトを特定します。座標の範囲は、デスクトップ全体の場合もあれば、アプリケーションのウィンドウ内に限定する場合があるなどさまざまです。
座標認識のメリットは、シンプルな認識方法であることから高速処理が行える点になります。ただし、アプリケーションのUIやディスプレイの解像度が変わり、座標が少しでもずれてしまうと、オブジェクトを認識できなくなる点がデメリットです。
画像認識タイプのRPAのメリット
画像認識タイプのRPAは、以下のようなメリットがあるため、多くの企業に導入されています。
非エンジニア・RPA初心者でも扱いやすい
画像認識タイプのRPAは、人がパソコンで行なっている作業をそのままソフトウェアロボットに覚えさせるだけでよいので、非エンジニアやRPA初心者でも扱いやすい点がメリットです。基本的に画像やアイコンを指定していくだけなので直感的に扱え、ITやプログラムの知識がない方でも比較的簡単に利用できるでしょう。
オブジェクト認識や座標認識のRPAは、非エンジニアやRPA初心者では扱いが困難なケースもありますが、画像認識タイプのPRAであれば、現場スタッフが自発的に業務効率化に取り組むことが可能になります。そのため、現場主義でDXを推進したい企業にとっては、最適なRPAツールといえるでしょう。
また、以前オブジェクト認識や座標認識のRPAを導入して、挫折したという企業にもおすすめです。
どのアプリケーションでも利用できる
画像認識タイプのRPAは、価格も比較的安価なものが多く、どのアプリケーションでも利用できる点がメリットです。
基本的に人がパソコンで作業を行なっているアプリケーションの操作であれば、ほぼすべてソフトウェアロボットに認識させて自動化できます。事務作業が多い部署であれば、大幅な工数削減につながるでしょう。
また、現在の業務フローをできるだけ変えずにDX推進を行いたい企業にとっても、うってつけの方法です。
画像認識タイプのRPAのデメリット
画像認識タイプのRPAは、画像を正確に認識できない場合は正しく動作しません。そのため、画像の表示状態に左右される点がデメリットとなります。画像認識タイプのRPA導入を検討する場合、無料のトライアルサービスを利用し、実際に自動化できるか確かめてから導入することをおすすめします。
対象の見た目やPC解像度の変更があると機能しない
画像認識タイプのRPAは、画像を認識しなくては動作しない性質上、オブジェクトの見た目やディスプレイの解像度が変わった場合は、正しく機能しなくなる可能性があります。
例えば、
- 同じようなアイコンやボタンが複数あるアプリケーションやWEBサイト
- 画面のUIやレイアウトが頻繁に変更するアプリケーションやWEBサイト
の場合は、RPAがオブジェクトを認識できなくなるリスクが高くなるでしょう。ある日突然、作業がストップしたり誤作動が起こったりする場合があります。
また、デスクトップのテーマを何気なく変更したら、RPAが正しく動作しなくなる可能性もあるでしょう。画像認識タイプのRPAで作業するパソコンに関しては、むやみにアプリケーションをバージョンアップしたり、デスクトップのテーマを変更するのは控えたほうが無難です。
対象物が非表示・隠れている状態だと機能しない
画像認識のRPAは、オブジェクト自体が非表示になると認識できないため動作しません。また、他のアプリケーションのウィンドウが立ち上がり、オブジェクトが隠れてしまった場合も同様です。
基本的にRPAが作業している最中は、そのパソコンで人が他の作業を行うことはできません。そのため、作業が終了する時間を見計らって結果を確認するのですが、何らかのエラーやトラブルでポップアップなどが表示され、途中で作業が止まっていたというケースも考えられるでしょう。
画像認識タイプのRPAで作業している間は、極力別のアプリケーションは閉じて、不要なウィンドウやポップアップが出ないようにしておく必要があります。
再登録や修正の手間がかかる
アプリケーションがバージョンアップしてUIが変更になり、アイコンやボタンの色、形状が変わった場合は、再度RPAに認識させなくてはいけません。そのままの状態ではRPAが画像を認識できないため、変更の度に再登録や修正の手間が発生する点は、画像認識タイプのRPA特有のデメリットといえるでしょう。
そのため、自動化しているソフトウェアがバージョンアップしたタイミングでは、アイコンやボタン、レイアウトなどのUIが変更になっていないか確認する必要があります。もし変更があった場合は、再度オブジェクトのキャプチャー画像を保存する作業を行いましょう。
どの認識方法のRPAを選ぶべきか
画像認識、オブジェクト認識、座標認識という3つのタイプのRPAがありますが、どのRPAを選べばよいのか分からない方もいるでしょう。そのような場合は、以下の視点で決めるのがおすすめです。
利用する人のスキルに合わせる
前述した通り、画像認識タイプのRPAは非エンジニアやRPA初心者でも扱いやすいという特徴があります。一方、オブジェクト認識タイプと座標認識タイプのRPAは、エンジニアやRPAの扱いに長けた方でないと有効活用するのは難しいでしょう。
社内に情報システム部門があり、RPAの活用方法を現場レベルまで落とし込んで運用できる企業であれば、オブジェクト認識タイプと座標認識タイプのRPAでも問題ありません。しかし、ITリテラシーの低いスタッフが多い企業や、現場でRPAを活用したい場合は、画像認識タイプのRPAを選ぶべきでしょう。
対象業務の内容に合わせる
自動化したい業務内容によっても、選択するべきRPAは異なります。
単純にソフトウェアやアプリケーションの操作を自動化したいだけであれば、画像認識や座標指定タイプのRPAでも充分活用できるでしょう。
しかし、複雑な処理や画面上には見えないような作業を自動化したい場合は、オブジェクト認識タイプのRPAでなければ対応できません。
一方、オブジェクト認識タイプのRPAでは対応できないアプリケーションの場合でも、画像認識タイプのRPAであれば対応できるといったケースも想定されます。
したがって、RPAを導入する際は社内の業務フローを可視化し、どのような作業を効率化したいのか明確にしておきましょう。そのうえで、どのタイプのRPAが最適なのか判断する必要があるのです。
現場主体でDXを推進する場合は画像認識タイプのRPAがおすすめ
画像認識タイプのRPAのメリットは、非エンジニア・RPA初心者でも扱いやすい点と、どのようなアプリケーションでも利用できる点です。
一方、デメリットとしては、対象の見た目やPC解像度の変更があると機能しない点や、対象物が非表示・隠れている状態だと機能しない、再登録や修正の手間がかかる点が挙げられます。
また、自社に合ったRPAを選ぶ際は、利用する人のスキルと対象業務の内容に合わせることが大切です。
エンジニアやプログラマーが多数在籍する企業であれば、オブジェクト認識タイプや座標認識タイプのRPAでも問題ないでしょう。
しかし、非エンジニアが多い企業の場合は、現場手動で業務効率化が行える画像認識タイプのRPAをおすすめします。
現場手動でDXを推進するために、この機会にぜひRPAの導入を検討してみてはいかがでしょう。
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