RPAとは
「RPA(Robotics Process Automation)直訳:ロボットによる過程の自動化」とは、人がパソコンを使っておこなう定型作業を、ソフトウェアロボットに代替させることで自動化できる業務自動化ツールのことです。
RPAを導入することで、企業側には以下のようなメリットがあります。
- 作業自動化による工数削減
- 現場スタッフの負荷軽減(残業削減にもつながる)
- 空いたスタッフの工数を別の業務にアサインできるようになる
- 人よりも早く確実に作業が実施可能(24時間365日稼働OK)
RPAに対して、「使いこなすのが大変」「難しそう」というイメージを持たれる方も多いですが、近年ではインストールが簡単なもの、ドラッグアンドドロップだけで直感的に操作できるものや、ベンダーによる習得サポートなどによって、誰でも使いこなしやすいという特徴を持つRPAも増えています。
ただし、RPAで自動化できる作業には、
- 都度人の判断が入らないもの
- 毎回作業方法が変わらないもの
という条件があるため、こちらに該当していないか事前に確認することが必須です。さらに、これらは次章で解説するRPAの対象業務を把握する際に重要なポイントなので、覚えておきましょう。
RPAの対象業務を把握しておくべき理由
RPAを導入する際は、以下のような理由のため、自動化・効率化したい業務の内容をしっかりと把握することが重要です。
RPAの導入可否を判断できる
RPAで自動化・効率化できる作業は、パソコンでおこなう定型作業が中心です。そのため、対象になる作業が人の判断を都度必要とするアナログなものが多い企業でRPAを導入しても、生産性が上がる可能性は低いでしょう。
また、RPAツールによっては、社内で使っているソフトやシステムに対応していないケースがあります。したがって、RPA導入前に対象となる業務のフローを可視化していない場合は、導入後に「対応していなかった」と気付くという非常に残念な事態も想定されるでしょう。
ただし、RPAで自動化できそうな作業の場合でも、注意するべき点があります。それは、業務にかけている工数がどの程度なのかという点です。例えば、対象となる作業が1日10~15分程度の作業であれば、自動化しても大きな業務効率化にはつながりません。同じ作業を1日に数十回実施する場合であれば、大幅な工数削減につながります。
RPA導入前に業務フローの洗い出しをおこない、誰がどのようなツールやソフトを使って、どの程度の工数で作業をおこなっているのかを可視化しておきましょう。
現在の業務を見直しできる
RPA導入時に業務の棚卸をおこなっていると、「この作業は本当に必要なの?」「同じような作業を2回もやっている……」というような課題がよく出てきます。これは、業務効率化のチャンスなので、この機会に最適化してしまいましょう。
業務の可視化をおこなわない状態のままRPAを運用し始めてしまうと、無駄な作業も自動化されるため、かえって設定などの時間的コストがかさみ、最適とはいえない状況になります。よって、RPAで自動化する場合は、現在の業務フローを変更し、最適化した状態で実施することがポイントです。
RPA導入前に業務フローを最適化したうえで、自動化・効率化をおこなうことで、さらなる生産性向上効果が期待できるでしょう。
RPAの効果を最大限発揮できる
効率化したい対象業務を把握しておくことで、RPAの効果を最大限発揮することにつながります。例えば、RPAはOCRなどと連携することで、さらに多くの作業の効率化や自動化が見込めます。
「OCR(Optical Character Recognition)直訳:光学文字認識」とは、手書きやFAXの文字を、カメラやスキャナーを使ってデジタル化できるツールです。業界によっては、まだまだFAXや手書きの領収書・請求書を送ってくるケースも多く、月末になると処理が大変という会社も多いでしょう。
RPAとOCRを連携させることで、手書きやFAXの領収書・請求書の文字を自動で社内システムへ入力することができます。
RPAの導入前に業務を棚卸して詳細な内容を把握できれば、自社に最適なRPAのタイプがわかるほか、ベンダーに相談して工数を最大限削減できる方法を検討してもらうことも可能です。
RPAの対象業務になる条件とは?
業務の棚卸をおこない作業の全容が把握できたら、以下のポイントを確認し、RPAで自動化をおこなう業務として適しているかチェックしましょう。
単純な繰り返しの業務
RPAが得意としている作業の1つが、手順が決まっていて、何度も同じことを繰り返す作業です。定型的な入力作業や集計、Webサイトからの情報収集や定型文によるメール返信など、1日に何度も同じことを繰り返す必要がある作業を自動化できれば、大幅な工数削減につながります。
人間は単純作業を1日に何度も繰り返すと、ミスが発生する確率が高くなります。しかし、RPAは同じ作業を着実に再現できるので、作業品質の向上効果が期待できます。また、人が働けない深夜や休日なども構わずに作業を続けられるので、業務スピードが向上します。
ルール化された業務
RPAは人がパソコン上で実施している作業を、ソフトウェアロボットに覚えさせることで効率化や自動化を実現する仕組みになっています。つまり、人がおこなう動作をプログラムがそのまま真似しておこなうというわけです。
したがって、ルール化された業務であれば自動化できますが、ルールが決まっておらず毎回やり方が変わるものや、都度人の判断が必要になる作業の自動化はできません。
データ化されている業務
RPAで自動化できる作業はデータ化、つまりデジタル化された作業に限定されます。したがって、人が手を動かすことや、微妙な調整をおこなう必要があるアナログな作業は、自動化の対象外です。また、すべてリアルな書面が必要という業務に関しても、自動化は難しいでしょう。
ただし、逆をいえばデジタル化されたデータを準備できれば、RPAで自動化できます。例えば、先ほど紹介したOCRなどを活用して「アナログ→データ化」を実施した後であれば、作業の自動化が可能です。
RPAの対象業務例15選
実際にRPAを利用して自動化を実現した作業例を、部門ごとに具体的にご紹介します。
経理部門のRPA対象業務例
定型作業が多い経理部門は、RPAで自動化できる作業の宝庫といえるでしょう。
売掛・入金業務
RPAツールを導入することで、売掛金の処理業務や消込処理をはじめ、Excelの内容を会計ソフトへ仕訳入力する作業などの自動化が可能です。また、入金確認後、担当者への一斉メール送信などの自動化にも対応できます。
買掛・支払業務
買掛金の処理業務、Excelの内容を会計ソフトへ仕訳入力する作業などの自動化が可能です。また、ルーチンで取引している顧客を中心とした、支払作業の効率化も期待できます。
資産管理業務
固定資産などの償却期間を設定すれば、償却開始・終了期間を担当部門にアラートメールを配信できます。また、棚卸状況を確認し、規定値を超えているパラメーターを検出した際、自動アラートを出すことで管理を徹底化できるでしょう。
交通費確認業務
経費精算のためのデータ突合や仕訳入力をはじめ、支払先のチェックや社内マスタへの登録作業は自動化が可能です。また、経費データ入力用Excelシートの加工や、交通費精算ツールがWeb上のものならば、その内容確認と精算業務も自動化できるでしょう。
参考:経理部門のRPA導入事例や運用のポイント(【経理部門向け】RPAの活用事例)
人事部門のRPA対象業務例
ヒューマンエラーの発生が許されないセンシティブな内容を扱う人事部門も、RPAで業務効率化がおこなえます。
過重労働管理業務
RPAを活用して日々の勤怠情報を収集・管理可能です。そのため、年次有給休暇付与率や社保管理・届出状況を全社的に把握し、該当部門およびスタッフに自動アラートを出すことで過重労働の抑制につなげられます。
人事考課業務
期末に実施する人事考課業務においては、評価実施案内・管理を自動化することで、各部門のスタッフおよび人事部門のスタッフが、忘れることなく期日内に作業できるでしょう。
また、複数の管理職のスケジュールを調整し、評価会議を実施する作業も、RPAで自動化できる分野です。評価結果の集計作業はもちろん、結果の資料化なども自動化できます。
経営層向け報告書作成業務
定期的なログレポートを報告書に自動で添付する仕組みを構築することで、経営層への状況報告が簡単に実施できるでしょう。毎月抽出したものを集計し、グラフ化する作業を自動化できれば、大きな業務効率化につながります。
参考:人事・総務でのRPA活用事例やRPAの導入ポイント(【人事・総務向け】RPAの活用事例)
営業部門のRPA対象業務例
作業を極力減らして営業活動に割ける時間を増やすためにも、RPAの有効活用がおすすめです。
販売状況調査業務
営業目標を達成するためには、自社商品やサービスの販売状況を適宜確認し、打ち手を講じる必要があります。状況把握のためには、営業部門のスタッフは毎日販売状況をアップデートし、状況を営業部門全員にメール送信するなどの作業が必要です。
RPAを導入すれば、販売状況の集計からスタッフへのメール送信まで自動でおこなえるので、大幅な工数削減につながるでしょう。
定期的に発生する見積作成業務
取引先が多い企業の営業部門は、毎月膨大な数の見積書を作成しなくてはいけません。Excelなどのテンプレートを活用して作成しているところが多いと思いますが、数が多いとミスが発生する可能性も高くなります。
そこで、RPAを活用し、取引先への見積金額が入ったシステムから自動でデータをダウンロードしてExcelに入力し、取引先の担当者へメール送信できれば、早く正確な作業が可能になることでしょう。
受注管理業務
受注管理システムに顧客からの注文が入った場合は、受注情報を自動でデータベースに取り込み、関連部門へのメール送信や、在庫や納期の確認作業などもRPAで自動化することが可能です。
購買・倉庫部門のRPA対象業務例
多くの顧客に商品の発注をおこなう購買・倉庫部門も、早く正確に同じ作業を繰り返すことが得意なRPAを有効活用できます。
メール発注業務
RPAで注文データを取り込み(紙の場合はOCRを活用)、受注管理システムに入力して、ブラウザでメーカーの注文サイトに注文情報を入力します。注文番号をコピーし保管後、購買部の責任者へ確認依頼がメール送付されるというような自動オペレーションの構築が可能です。
発注管理業務
注文書と在庫管理システムの内容突合をRPAで自動化することで、正確な発注管理業務が実施できます。その結果、過剰在庫や機会損出が減れば、生産性を上げることができるでしょう。
総務部門のRPA対象業務例
総務部門でのRPA活用は、社内コンプライアンス強化にもつながります。
反社チェック業務
新しい取引先と契約や業務をおこなう際は、反社チェック作業を実施する必要があります。ただし、反社チェックは一度実施するだけでは不十分で、定期的に実施しなくてはなりません。
RPAツールの中にはスクレイピング機能(Webサイトから欲しい情報を収集する機能)を持つものがあります。これを使えば、取引先企業名や担当者などの情報が更新されていないか、自動でチェックすることが可能です。
定期的な書類作成
総務部門では定期的に報告書を作成する必要がありますが、定型的な内容も多いため、資料作成を自動化することで工数を削減できます。
全部門向けRPA対象業務例
RPAはスタッフが毎日作成する日報作成の効率化も可能です。
日報作成・提出
RPAとチャットボットなどを連携させると、日報が自動で作成できる仕組みを構築できます。これは、スタッフがチャットの質問に答えるだけで日々の業務内容の報告になり、その内容がクラウド上にアップされる仕組みです。
この仕組みならスタッフのスマホ上のアプリケーションで操作可能なので、日報を書くためにわざわざ事務所に戻る必要がありません。そのうえ、PCで入力する手間も減らせます。
また、自動でクラウドにアップされるため、提出の手間もかかりません。
諦める前にRPAツールのベンダーに相談
RPAを導入することで社内のさまざまな作業を自動化・効率化できるので、ぜひ前向きに導入を検討してみてください。
RPAは思っている以上に多くの作業の自動化や効率化が可能です。「うちの業務は無理かも……」と思っている方も、諦めずにRPAツールのベンダーに相談してみることをおすすめします。
また、RPAツールを選定する際には、無料お試し期間などを活用し、実際にそのRPAツールを使って自社内の業務をいくつか自動化してみることをおすすめします。
各種RPAツールの中でも、FCEプロセス&テクノロジーが提供するRPA「ロボパットDX」は、プログラミング知識を必要としない現場自立型のRPAツールです。
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導入したもののうまく使いこなせなかった、という事態にならないためにも、定着に向けて万全のサポート体制を提供しています。
本記事でご紹介したもの以外にも、業界・業種・部門ごとのRPA導入事例をたくさんご紹介できますので、まずはお気軽にご相談ください。
ロボパットDXの詳細はこちらにてご紹介しておりますので、ぜひチェックしてみてください。