注目が集まる「RPA」とは?
RPAとは、ロボティック・プロセス・オートメーション/Robotic Process Automationの略称で、主にホワイトカラーがパソコン上で行う定型業務を自動化するソフトウェアロボットです。少子高齢化の影響もあり、多くの業種で人手不足が慢性化している現在、多くの仕事を自動化するRPAは人手不足解消や働き方改革推進を実現するとして大きな注目を集めています。
また、RPAが大きな注目を集める理由は、新型コロナウイルス感染防止対策として導入する企業が急増しているテレワークにも高い効果を発揮している点が挙げられます。
例えば、在宅勤務を行なっている社員に、給与明細を渡すためにわざわざ出社してもらうのは現実的ではありません。しかし、それぞれの自宅に郵送するとなると、経理担当者はそのために出社しなければならなくなるうえ、余計な業務が増えてしまいます。
そこで、RPAを導入すれば、経理担当者が自宅から給与明細をPDFにし、それぞれの社員にメール送信をするといった業務の自動化が可能です。これにより、経理担当者もテレワークが可能になり、新型コロナウイルス感染対策の徹底が実現します。こうした面からも今、RPAが大きな注目を集めているのです。
RPAで実現できること
RPAは業務効率化や生産性向上に効果を発揮するとしましたが、実際に導入すると何を実現できるのでしょう。主なものとしては次の4点が挙げられます。
定型業務の自動化
RPAが実現することで代表的なものが、この定型業務の自動化です。RPAはAIとは違って人の判断を伴う業務はできません。定型業務とは、「ルールが決まっている」「突発的ではない」「都度、人間の判断をが必要としない」といった業務で、転記作業のように同じ手順で繰り返されるようなものを指します。
例えば、「メールで送られてくる資料をダウンロードして、決まったフォルダに入れる」「各地の小売店から集めた販売データを集計してグラフ化する」「競合先の株価を特定のWebサイトから抜き出し、Excelで表を作成する」などの自動化を行います。
作業ミスの抑制と負荷軽減
毎回、決まった定型業務とはいえ、人の手で行えばミスが生まれてしまう可能性はゼロではありません。特に繁忙期や人手が少ないときには、簡単な単純作業でもミスをしてしまうケースが多いでしょう。
また、「資材部で部品を発注する」「経理業務で請求書を作成する」といった業務で数字を間違えてしまうと、大きな損害につながってしまうリスクも考えられます。
しかし、RPAは機械が業務を行うため正確で、設定さえ間違えなければ基本的にミスを起こす可能性はゼロです。これにより、社員にかかる負担軽減も実現します。
残業代削減など、人件費の抑制につながることもあります。
生産性の向上
RPAを導入し、業務効率化が進めば、定型業務にかかわっていた時間をより生産性の高い業務に使えるようになります。その結果、生産性向上が実現するでしょう。
また、定型業務の自動化により、例えば「営業社員が日報を提出するだけのためにオフィスに帰社する必要がなくなる」「テレワーク中の経理担当者が給与明細配布のためだけにオフィスに出社し、郵送作業をする必要がなくなる」など、定型業務に関連して発生する工数削減も実現。これらにかかる時間をほかの業務に回せるため、結果として生産性向上に大きく貢献します。
現場主導での効率化
一般的にITツールを活用した業務効率化を行うには、設定の際にプログラミングやITツールを活用するための専門知識を有するケースが少なくありません。そのため、現場でITツールを活用するにもプログラマや外部の人材が必要となり、現場主導での効率化は困難です。
しかし、RPAのなかにはプログラミング知識がさほど要らないものもあり、これを活用すれば、外部人材を必要としません。その結果、現場で活用を回していけるようになり、スピード感・実情に沿った活用が実現します。
RPAの導入を3ステップに分けて解説
RPAを導入し、効果的な活用を実現するには、「事前準備」「導入前(ツールの選択)」「本格導入(運用)」の3ステップで、それぞれ最適な選択をしていかなければなりません。そこで、それぞれのステップで欠かせないことやツール選択、運用のポイントなどについて、順を追って説明していきます。
【事前準備】RPA適用に向けた業務の定型化
先述したようにRPAが実現するのは、ホワイトカラーが主にパソコンを使って行う定型業務です。そのため、「単純に人手が足りない」「一人当たりの業務が多過ぎる」といった理由だけでRPAを導入しても、まったく活用できないケースも少なくありません。
そこで、RPA導入の検討をする際、まずやるべきは現状業務の棚卸しです。現状の業務を洗い出し、業務プロセスを可視化させていきますが、これにより得られるメリットは次の2点です。
ボトルネックの明確化
業務を可視化させると、これまで気づかなかったような「業務を滞らせているボトルネック」が明確になります。その結果、ボトルネックの解消にRPAが活用できるかどうかの判断が可能になります。
業務フローの見直し・改善
ボトルネックは場合によっては、RPAを導入しなくてもやり方を変えるだけで解消できるケースがあります。また、これまでは属人化していた業務フローも、やり方の改善により定型業務に落とし込めば、RPA導入でさらなる効率化が実現する場合もあるでしょう。
このように、現状業務の棚卸しは、RPA導入の判断ができるようになるのはもちろん、「従来業務の見直し」「属人化した業務の定型化」など多くのメリットを実現します。
【RPA導入前】自社に合ったRPAを選ぶ
事前の準備段階で自社業務の棚卸しを行い、RPA導入を決めたら次は自社に合ったRPAの選択です。ひと口にRPAといってもその種類は多様で、何を選択するかでできることも大きく異なります。
そこで、自社に合ったRPAを選択するうえで注意すべき3つのポイントを見ていきましょう。
実際に対象業務を実現できるか?
RPA選択のポイント、1つ目は実際に対象となる業務の自動化が行えるかどうかです。RPAにはさまざまな種類があり、それぞれでできる業務も異なります。
業務の棚卸しで見つけたボトルネックや業務フローの改善で定型業務化させたものを実際に自動化できるかどうかを選択のポイントとしましょう。
具体的にはサーバー型やデスクトップ型、クラウド型などRPAのタイプの違いなどに伴う「対応可能範囲」に照らし合わせて選定するのがおすすめです。
*こちらの記事もオススメ
【RPAの種類】サーバー型・デスクトップ型・クラウド型の違いとは?
http://fce-pat.co.jp/magazine/978/
現場で使いこなせるか
RPAを選択するうえで、現場で不自由なく使いこなせるかどうかも重要なポイントでしょう。ここで気をつけたいのは、多機能なRPAを選択すれば間違いないと思ってしまうことです。
確かに導入してから必要な機能が備わっていないとなれば、効果的な活用は実現しません。しかし、不要な機能が多過ぎて現場で使いこなせないとなれば、やはり効果的な活用はできないでしょう。ここで、事前準備で行う業務の棚卸しが活きてきます。
業務の棚卸しをしっかりと行えば、自社にとってどの業務を自動化すべきか、そして、現場で使いこなせるRPAはどれなのかが自ずと見極められるでしょう。
サポート体制は整っているか
3つ目のポイントは、サポート体制が整備されているかどうかです。どれだけ扱いやすいRPAを導入したとしても、運用を始めれば何かしらの問題点は生まれてきます。単純に故障してしまうこともあれば、使い方がわからない点が出てくるケースもあるでしょう。その際、重要となるのがサポートです。
RPAは日本よりも欧米でより普及が進んでいるツールのため、海外製のRPAも多く利用されています。ただ、「日本語でのサポートがない」「問い合わせはメールのみ」といったケースも少なくありません。また、日本製であっても、「サポートはオンラインマニュアルのみ」「デモ操作がわかりにくい」「電話サポートがあるが、いつもつながらない」などでは、効果的な運用も難しくなるでしょう。
ツールの選択をする際は、どうしても価格や機能にばかり目がいきがちです。しかし、どんなに価格が安くてもサポート体制が悪ければ、自社で運用できずに代行などの外部委託に依存するなど余計なコストがかかってしまいます。そうした意味で、費用が高くてもサポート体制が整備されたツールを選択するのが、結果的にはコスト削減につながるでしょう。
【RPA導入】運用開始時のポイントとは?
業務の棚卸しにより自社の課題を抽出し、それに適応したRPAツールを選択する。ここまできたら、次は実際に導入し、運用を始めていきます。ここで、運用を失敗に終わらせないポイントは、スモールスタートで改善を重ね、少しずつ成功体験をつくっていくことです。
RPAを始めて導入してすぐに全社、全部署で運用しようとすると、多くの場合、失敗に終わってしまいます。RPAが実現するのは、「データを集計してグラフ化する」「請求書をPDF化しメールで取引先に送る」といった単一業務の自動化だけではありません。
例えば、「営業管理ツールから営業社員の残業時間を給与計算ツールで読み込み給与計算を行う」「小売店から来る売上データをもとに、資材部で来月分の資材発注を行う」など、部署や本社・支店をまたがった業務の自動化も行います。そのため、一つの部署で導入を失敗すると、ほかの部署に影響が及んでしまうケースもありえるでしょう。
そうしたリスクを避けるために、まず、1つの部署だけで試験的に導入し、小さな成功体験を重ねていきます。そして、細かい修正・改善を重ねながら少しずつ拡大していく方法が、リスクを抑え高い効果を発揮させるポイントとなるのです。
【RPA導入後】運用における課題と対策とは?
次にRPAを導入し、運用を進めていくうえで、起こりがちな課題とその対策について説明します。
継続的にメンテナンスできる人材の確保
RPAは業務の進め方が1つでも変われば、修正・改善が必要です。例えばRPAで自動化を行なっているシステムがバージョンアップし、操作するためのボタンが1つ減る、もしくは増えた場合、それに合わせて設定を変える必要があります。また、エラーが起きた際の対処も欠かせません。
そのため、継続的にRPAのメンテナンスを行える人材の確保が必須ですが、新たに雇用するとなれば、その分コストも増えてしまいます。そこで、教育サポート体制の良いRPAを選んでおくのがおすすめです。社内人材でセミナー参加や人材育成などに備えておけるため、新たな人材雇用、教育コストの削減にもつながるでしょう。
運用のブラックボックス化を防ぐ
先述したようにRPAは業務手順が一つ変われば、それに合わせて設定を修正・改善しなければなりません。しかし、もともとその業務を担当していた社員が異動や退職をしてしまうと、誰も修正・改善ができなくなり、RPAのブラックボックス化が進んでしまうリスクがあります。
対策としては、「自動化処理の設定を行う際、手作業でのフローをしっかりと文書化しておく」「業務手順の変更があっても、スクリプトが理解しやすく簡単に修正・改善ができるRPAを選択する」などが挙げられます。
セキュリティ面の問題も
RPAは自動化する業務内容のなかに、IDやパスワード入力が求められるシステムへのログインが含まれるケースも少なくありません。そうした業務の自動化を行う場合、社員の誰もがRPAの設定内容を確認できる状態では、情報漏えいリスクが高まります。
そこで、RPAのセキュリティリスク対策としては、RPAの管理権限の徹底が欠かせません。管理者、設計者、実行者の持つ権限を厳重に管理し、限られた社員しか設定やメンテナンスができないようにすることが求められるでしょう。
まとめ
ホワイトカラーのパソコンを使った定型業務の自動化を行い、効率化、生産性向上を実現するRPA。上手に運用すれば高い効果を発揮します。しかし、自社業務の課題点、RPAが実現すること、RPAの機能などをしっかりと把握していないと、導入は失敗してしまうでしょう。
RPA導入を成功させるには、「事前準備」「導入前(ツールの選択)」「本格導入(運用)」の3ステップで注意を怠らないことが重要です。そして、導入後はスモールスタートで小さな成功体験を重ねていけば、自ずと成功につながっていくでしょう。
RPAを選ぶ際は「専門知識を必要とせず現場主導での運用が可能」「サポート体制が充実している」「勉強会や研修を実施している」などが重要なポイントです。これらの要素を満たすRPAとして、ぜひ「ロボパットDX」をご検討ください。
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