RPAとは何か?
RPAとは「Robotics Process Automation」の頭文字を取った言葉で、日本語に直訳すると「ロボットによる過程の自動化」となります。人が普段パソコン上で行なっている作業の手順をソフトウェアロボットに覚えさせることで自動化を実現する技術です。
主な製品としてよく上げられるのが、世界三大RPAのひとつといわれる「UiPath」、日本シェアNO.1で、自動記録ができる「WinActor」などがその代表格になります。
AI(人工知能)と一緒に説明されることも多いRPAですが、AIが自ら学習を行なって人間の代わりにさまざまな処理を実行していくのに対し、RPAは人間が設定した作業のみを行います。
RPAを導入することで、人がパソコンを使って行う定型作業を自動化することが可能です。
RPAに期待すること
企業側がRPAの導入で期待することは、生産性向上や人手不足解消などが挙げられます。
周知の通り、我が国は少子高齢化の影響により、年々労働人口が減少している状況です。そのため、企業側には社内リソースの有効活用が求められています。
しかし、業務効率化によってスタッフが行う定型業務の量を減らし、クリエイティブな仕事の比重を増やしたいと思う企業が多いものの、なかなかうまくいっていないのが現状です。なぜなら、日本企業はレガシーな仕事の進め方をするところが多く、非効率だとわかっている業務フローでもなかなか変えられないという事情があります。
特に複雑で大規模な社内システムを業務の中核に据える企業では、ちょっとした機能追加を行うだけでも莫大な工数とコストが発生し、影響範囲が大きいため対応しづらいのです。
そこで効果的なのがRPAの活用です。RPAであれば現在人が行なっている作業の多くを自動化できますので、スタッフの負担を下げ、別の業務に割ける時間を増やすこともできるでしょう。また、ある程度の作業が自動化できてリソースに余裕が出てくれば、業務フローを見直す時間に充てられますので、さらに生産性を上げることも可能になります。
レガシーなシステムに縛られて業務を遂行しているうちは、業務改善を行なってもすぐ限界がくるものです。業務フローを見直して、根本的な改善を行うことで、大きな生産性の向上や仕組み化が期待できます。
こうした理由から、近年RPAを導入して生産性向上を目指す企業が増えているのです。
RPAの主な使い方
RPAを有効活用するためには、その活用方法を知って、どのようなメリットがあるのか知っておくことが重要です。代表的な事例や効果を紹介しますので、自社の業務とマッチするものがないか確認してみましょう。
RPAを活用するメリット
RPAが得意なものは、やり方が決まっていて、繰り返し行う作業の自動化です。そのため、主に事務作業の自動化がメインになりますが、業種によって活かせるポイントも若干異なりますので、いくつかの事例を紹介します。
経理部門の事例
経理部門では社内スタッフの交通費や出張費をはじめ、取引先からの請求書や発注書の処理といったさまざまな事務作業があり、月末や月初は残業時間が多くなっているところがほとんどだと思われます。そこで、RPAを導入して、以下のような作業を自動化することで生産性の向上が図れるでしょう。
・社内基幹システムからデータをダウンロードしてExcelなどへ転記する作業
・送付されてきた書類から必要項目を他のソフトやシステムなどへ入力する作業
・Excelでの集計作業
・手書きの請求書の内容をデジタル化してExcelなどへ入力する作業
RPRは、ソフトウェアロボットに人が行う作業内容を覚えさせることで、自動化を実現しています。そのため、上記のようにやり方や入力フォーマットが固定化している作業は、ほとんどが自動化可能です。Excelなどを使う場合、マクロと組み合わせることでより広範囲での業務効率化が実現します。
また、手書きやFAXで送られてきた請求書の内容を読み取って入力する場合は、手間がかかるうえにヒューマンエラーの発生率も高くなります。しかし、RPAとOCR(Optical Character Recognition、直訳:光学文字認識)を組み合わせることで、書面に印刷された文字をテキストデータとして認識できるようになるため、作業の自動化が可能になるのです。
定型作業をどんどん自動化していくことで、スタッフの負担が減り残業時間の削減や、別の業務へのアサインが可能になり、結果的に生産性の向上につながるでしょう。
営業部門の事例
営業部門では経理部門と同じような事務作業の自動化だけでなく、日々のルーチン作業やマーケティング活動の効率化においてもRPAを活用できるシーンがあります。
例えば、以下のような作業をRPAで自動化することが可能です。
・営業先リストの作成と一括メール配信作業
・数値分析資料の集計、作成
・営業の日報・週報のとりまとめ作業
・Webサイトから顧客や競合他社の情報を収集する作業
取引先からの問い合わせや請求書の送付といった作業は、営業が日常的に行う一般的なものです。しかし、社内の商品管理システムとRPAを連携させることで、顧客から注文が入った際、自動で在庫を確認して、その状況をメールにして自動送信することもできます。
また、RPAをSFA(Sales Force Automation:営業支援ツール)と連携させることで、日報や報告書の自動作成や、翌日の業務タスクやアタック先を営業に提示することもできます。さらに、RPAの中には「スクレイピング」と呼ばれる、Webサイトから特定の情報を自動収集する機能が付いているものもありますので、マーケティング作業の効率化にもつながるでしょう。
営業の作業工数を減らすことで、本来の営業活動に専念できる時間を増やすことができますので、企業の生産性を向上する効果が期待できます。
人事・総務部門
経理に次いで事務作業が多い、人事・総務部門でもRPAを活用できるシーンはたくさんあります。
例えば、以下のような作業で自動化が可能です。
・勤怠の管理作業
・社内スタッフ情報の管理
・有給取得などの業務フロー
・株主情報の収集・メール送付作業
・採用活用にかかる各種作業
まず、スタッフの勤怠管理作業はRPAで自動化できます。就業時間や日数の自動集計や、有給取得情報の確認から、スタッフへのアラートといった作業を、人の手で行う必要はなくなるでしょう。また、給与明細の作成などの自動化できますので、大幅に作業工数を減らすことが可能です。
次に、社員のキャリアや配属部門、住所や氏名といった個人情報の更新作業、交通費や年末調整といった、各種書類の発行作業も自動化できます。こうした情報の入力はミスが許されないため、人が行う場合はダブルチェックを行うこともあり、多くの工数が必要ですが、RPAであれば早く正確な作業が実現できるでしょう。さらに、社員の交通費申請や有休取得といった業務フローの自動化や株主情報の自動収集、その情報からのメール送信といった作業も自動化できます。
また、人事部門においては採用活動にかかる、採用試験の採点や就活生とのメール、面接のスケジュール調整といった多くの作業が発生します。これを少ない人数で対応しながら本来の採用活動に注力するのは困難です。しかし、RPAを活用すれば多くの作業を自動化することが可能なため、少ないリソースで効率よく業務を行えるようになるでしょう。
RPAは「間違った使い方」に注意!
RPAを有効活用するためには、正しい使い方を知る必要があります。そのためには、RPAの間違った使い方も理解しておきましょう。
RPAには「できないこと」がある
RPAで自動化できる作業は、あくまでも人がパソコンを使って行う定型化された、繰り返し行うものになります。そのため、都度人の判断や感性が必要になる作業や、毎回やり方が変わる作業は、そもそもRPAでは自動化できません。
この事実を知らずに、アナログな作業が多い企業がRPAを導入してしまうと「自動化できる作業がない……」という悲しい結末を迎える可能性が高くなるでしょう。したがって、RPAの導入を検討する際には、事前にどのような作業を自動化したいのか明確化しておくことが必須になります。
ムダな業務までRPAで自動化してしまう
前述した通り、RPAは人が普段行なっている作業内容をそのまま覚えさせることで、自動化を実現します。そのため、効率が悪い方法で作業を行なっていた場合には、それがそのまま自動化されるため、業務が最適化された状態とはいえません。
したがって、そもそもその業務自体が非効率で不要な場合もあるため、RPA化を進める前に業務自体の必要性を見直すことも重要です。例えば、同じような作業を重複して行なっていたり、明らかに不要だと思われる作業が入っていたりすることがありますので、業務フローを可視化して最適な業務フローに改善した後、RPAを使って作業を自動化しましょう。
RPAをブラックボックス化させてしまう
RPAのメンテナンスが特定のスタッフしかできないような状況の企業は、ブラックボックス化してしまうリスクにつながるため注意が必要です。エラーが出たときにすぐ対処できなくて業務が止まるなど、問題が大きくなるケースも想定されるでしょう。
したがって、RPAを導入する場合には、同時に複数のスタッフが操作できるような環境を作っておくことをおすすめします。また、エンジニアやプログラマーといったIT人材だけでなく、ITリテラシーが低いスタッフでも使えるRPAツールを導入することも大事なポイントです。
RPAを普段もっとも利用するのは現場スタッフになるため、できるだけ設定にプログラミングを必要としない、ノンコードでわかりやすいUI・UXのツールを選ぶようにしましょう。
RPAを正しい使い方で効果的に運用するには?
RPAの間違った使い方を理解したところで、次は効果的に運用するためのポイントを紹介します。
RPAの活用を推進するメンバーの確保
RPAを導入する企業の多くが、情報システム部門などが中心になってプロジェクトを進めるケースが多いです。
もちろん、ITリテラシーの高いスタッフがプロジェクトをけん引して、現場のスタッフにRPAの使い方を落とし込む方法もひとつだと思います。しかし、このとき注意してほしいポイントが2つあります。
・専任のプロジェクトメンバーがいること
・現場で実際にRPAを活用するスタッフがいること
まずRPAの導入プロジェクトは、業務の棚卸やフローの可視化、導入効果の見積もりやRPAツールの選定など、さまざまな業務が発生するため、業務の片手間に行うとうまくいかない可能性が高いでしょう。そのため、RPA導入プロジェクトに参加するメンバーは、専任であることが好ましいです。
次にプロジェクトメンバーには、必ず現場でRPAを活用するスタッフを入れる必要があります。情報システム部門のスタッフはITリテラシーが高いため、RPAツールの使い方は理解できると思いますが、その反面で現場の業務に関する知識には乏しい可能性が高いです。
したがって、現場スタッフとともに業務プロセスを明確化し、業務のどのあたりがボトルネックになっているかを理解することが大切です。
導入後の効果を肌感覚で理解できる現場スタッフが不在の場合は、RPAを導入しても高い効果が期待できない可能性が高くなるので注意しましょう。
スモールスタートで成果を出す
RPAを導入する際には、まず部署を限定して、できるだけ簡単作業の自動化から始めるようにしましょう。部分的な業務の自動化でも構いません。いきなり複雑な作業を自動化したり、複数の部署にまたがる作業の自動化を行なったりすると、失敗した場合のリスクが大きくなることに加え、失敗という結果が足かせになり、その後の社内におけるRPAプロジェクト推進に悪影響を与える可能性があるからです。
したがって、RPAを導入する際には、まず特定の部門に絞って作業の自動化を繰り返すことで、一定の成果を出すようにしましょう。ある程度、RPAの使い方に慣れて、作業工数が削減できた実績とノウハウが溜まった段階で、他の部署への導入を進めましょう。つまり、スモールスタートで成果を積み上げていくことが、社内でRPAの推進を成功させるポイントです。
ベンダーのサポートを有効活用する
通常RPAベンダーは、導入時に使い方をサポートしてくれることが一般的です。そのため、IT人材が少ない企業がRPAを導入する場合には、ベンダーのサポートを有効活用しましょう。
このとき、導入時だけでなく、実際に運用が始まった後も継続的にサポートしてくれるベンダーを選んでおくと安心です。RPAツールを選択する際は、サポートが有料か無料か、無料サポートがどの程度手厚いかなども重要なポイントになるということを覚えておきましょう。
正しい使い方を知ることで生産性を向上しよう
RPAを導入する際には、以下3つのポイントを押さえることで、生産性が上がる可能性が高くなるでしょう。
・RPAの活用を推進するメンバーの確保
・スモールスタートで成果を出す
・ベンダーのサポートを有効活用する
ただし、
・RPAには「できないこと」がある
・ムダな業務までRPAで自動化する可能性がある
・RPAをブラックボックス化させてしまう
という注意点もあるので、こちらも忘れてはいけません。
また、IT人材が少ない企業の場合は、ベンダーのサポートを有効活用することも重要です。
ちなみに、RPAツール「ロボパットDX」は無料のサポート体制が非常に手厚い点が特長となっています。
無料のトライアル期間中に、作業の自動化を行なって効果を実感してもらい、導入後はもっとも生産性が向上するための自動化対象業務の選別をサポートするなど、現場の生産性向上に全力で取り組みます。
こちらでは最新のRPAの情報や導入事例も公開しています。
是非お気軽にご相談ください。