DXとは?
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタルツールやAIなどの最新のテクノロジーを活用して業務効率化を推進し、企業の生産性を上げることで競争力を高める活動のことです。また、新たな商品やサービスを生み出すだけでなく、既存のビジネスモデルや市場を大きく転換するイノベーションを起こすことで、人々の生活をより豊かなものに変え、収益を上げることが、企業にとってのDXにおける最終的な目的といわれています。
つまりDXは、単なるデジタルツールの活用によるアナログな作業の効率化といった範疇に留まらない活動だということを覚えておきましょう。
実際にDX推進に成功した事例
DXをより深く理解するために、我々の身の回りにあるDXにおける成功事例をいくつか紹介します。
まずDXといったら外せない企業が、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)でしょう。Googleの検索エンジンは、今や「ググる」という言葉が生まれるほどに我々の生活に密着しています。また、YouTubeは今やTV以上のメディアになり、YouTuberと呼ばれる新たな職業まで生まれている状況です。
Amazonが「Amazon.com」を始めた頃は、ECがこれほどまでに我々の生活に必要不可欠なものに成長するとは誰も思っていませんでした。しかし、今や「ECがなくなったら」と考えると、我々の生活は非常に不便なものになるでしょう。また、FacebookやInstagramの躍進によって、SNSは新たなコミュニケーション手段として当たり前のサービスになりました。
そして、AppleがリリースしたiPhoneによって世界的に普及したスマートフォンについては、もはや説明不要といえるほど、我々の生活を大きく変え便利なものにしてくれました。
また、シェアリングエコノミーというビジネスモデルを世界中に浸透させたUberや、映画やアニメ、ドラマを月額見放題にするサブスクリプションサービスをお茶の間レベルまで浸透させたNetflixといった企業も、DXを実現して大成功した事例といえるでしょう。
日本においてもメルカリが、それまでも存在したネットオークションをフリマアプリという形で大衆化することに成功し、新しい経済圏を作ったこともDXの好例といえます。
日本国内のDX推進の状況
政府は働き方改革実現のために、DX推進を励行するための活動を行っており、多くの日本企業がDX推進に取り組んでいる状況です。
経済産業省の「DX推進ガイドライン」とは
経済産業省が定めるDXの定義は、以下の通りです。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
また、経済産業省は「DX推進ガイドライン」において、DX実現のためには以下のような取り組みが必要だと提言しています。
DX推進のための経営のあり方、仕組み
・経営戦略・ビジョンの提示
・経営トップのコミットメント
・DX推進のための体制整備
・投資等の意思決定のあり方
・DXにより実現すべきもの:スピーディーな変化への対応力
経済産業省のDX推進ガイドラインには、製品やサービスだけでなく、企業文化を含めて変革することがDXと定義されています。つまり、DXを実現するためには、経営層自らが意志を持って積極的にアクションを起こす必要があるということです。
次に、DXを実現するうえで基盤となるITシステムの構築する必要があると、以下のようなガイドラインが定められています。
体制・仕組み
・全体的なITシステムの構築のための体制
・全社的なITシステムの構築に向けたガバナンス
・事業部門のオーナーシップと要件定義能力
実行プロセス
・IT資産の分析・評価
・IT資産の仕分けとプランニング
・刷新後のITシステム:変化への追従力
以上のことから、実際にDXを推進する人材の育成と確保が急務な課題だということがわかると思います。
出典:経済産業省
備えるべき「2025年の崖」問題
経済産業省は「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」というレポート上で、「2025年の壁」と呼ばれる提言をしました。
「2025年の壁」とは、日本企業がレガシーシステム(詳細は次章)の呪縛から解放されなかった場合、2025年以降で最大12兆円の経済損失の可能性があるという提言です。しかし、裏を返せばレガシーシステムから脱却できた日本企業は、収益拡大のチャンスがあるとも捉えることができます。
そのため、多くの日本企業がDXを推進して、レガシーシステムからの脱却を図ろうとしているのです。
出典:経済産業省
「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」
DX実現を阻む課題点
日本企業のDX実現に対する障壁となっているものが、レガシーシステムの存在とIT人材不足です。
日本企業のシステムは関連する部署や事業が多く、大規模な点が特徴です。ちょっとした改修を行うだけでも影響範囲が広くなるため、多額の費用や工数が発生します。これが日本企業特有のレガシーシステムと呼ばれるものです。
業務改善やデジタル化を推進しようにも、システム改修が容易に行えず、業務フローの変更や新しいシステムへの移行につながらない点が課題といえます。その結果、非効率だとわかっていても、従来の業務フローを簡単に変えられない企業が多いのです。
一方、少子高齢化の影響で労働人口が減少傾向にあるなか、エンジニアやプログラマーといったDX推進には欠かせないIT人材の確保や育成が課題となっています。IT人材にとって現在は完全な売り手市場になっており、大企業などに人材が集中しがちな点も問題といえるでしょう。
DXを実現するために必要な4つのステップ
それではDXを実現するために必要な以下4つのステップについて解説します。
①業務のデジタル化
DXを実現するための最初のステップが業務のデジタル化です。つまり、人手で行っている業務をITツールなどの活用によって効率化・自動化し、業務効率化につなげるステップといえます。
さらに、このステップは「アナログ作業のデジタル化」と「業務フローのデジタル化」の2つに分けられます。
アナログ作業のデジタル化
アナログ作業のデジタル化とは、ITツールの活用によって、ヒトが行っている作業を効率化・自動化することを意味します。
例えば、
・Excelへのデータ入力や集計作業をRPAで自動化
・電子契約、電子押印ツールを活用して、契約書の締結作業のWEB上完結
・電子承認システム導入による業務フローのペーパーレス化
・自社サーバーをクラウドストレージなどに変更
・手書きやFAXの請求書に書かれた社内システムへのデータ入力を、RPAとOCRを活用して自動化
など、アナログな作業を効率化・自動化して業務効率化を実施することで、スタッフの負荷や工数の削減を実現でき、生産性の向上につながります。
このステップにおいては、RPA(Robotics Process Automation)ツールの有効活用がポイントです。
RPAはヒトがパソコンで行っている定型作業を、効率化・自動化するITツールです。「DXといわれてもリソースが足りない……」といった企業においては、まずRPAで作業を自動化して、DX推進に割けるリソースを創出することが大切でしょう。
業務プロセス・業務フローのデジタル化
現場スタッフが実施していた作業の効率化や自動化が実現できたら、次は一連の業務プロセスのデジタル化を行いましょう。業務プロセスのデジタル化とは、複数担当者や部署をまたいだ連携が必要な業務の効率化・自動化を意味します。
例えば、顧客先から商品の注文が入ったときの業務フローをデジタル化すると、以下のようなパターンが想定できるでしょう。
1:顧客からFAXで注文書が届く
2:スタッフがOCR(手書きやFAXの文字や画像をカメラやスキャナで読み込み、デジタル化するITツール)で手書きの文字をデジタル化
3:RPAを活用して、デジタル化した文字を社内システムへ自動でアップロード
4:電子承認システムを活用して、上長がWEB上で顧客からの受注を承認
5:承認をトリガーにして、RPAがメーラーでメールを作成して顧客へ自動送信
業務フローをデジタル化する際には、セキュリティを担保しながらできる限りヒトが関わるプロセスを減らすことが重要です。また、オフィスに出向くことなくWEB上で作業を完結できるようにすることで、テレワークや出張中のスタッフが対応できるようにすることも、今の時代には必要不可欠でしょう。
②デジタル化の効果を活かした効率化
業務のデジタル化が実現できたら、業務効率化などに成功した事例のデータを他の業務へ活用し、さらなる効率化につなげるステップへと移行します。
業務のデジタル化を実施する際に行う業務フローの棚卸しの中で、無駄や非効率な作業、慣例化した業務、最悪の場合には重複作業などが発見されることがあるでしょう。
ひとつの部門でこうした事例がみつかった場合には、他の部門でもみつかる可能性が高いため、業務効率化を行うことで、さらなる工数や負担削減につなげる必要があるのです。
③全社的なデータ活用
業務のデジタル化によって得られたデータを全社的に活用するのが、次のステップです。
業務のデジタル化で得られたデータを活用してPDCAサイクルを回せる基盤を作ることで、全社的な業務効率化へつなげる仕組みを構築します。
そのためには、データサイエンティストなどのメンバーを揃えた、独立した組織を立ち上げることが望ましいでしょう。特定の部署の場合、どうしても自部門の業務に特化してしまう傾向があることや、他部門業務の詳細がわからずフラットな視点で業務効率化が実施できなくなる可能性があるためです。
ちなみに、Uberは車のシェリングエコノミーで得たデータを活用して、UberEatsを立ち上げました。業務のデジタル化で得られたデータを全社的に活用した好例といえるでしょう。
④新たな価値の創出
業務のデジタル化によって蓄積されたデータを十分に活用できる段階までくれば、いよいよ新たな価値を創出する最終ステップに突入します。
これまでのサービス内容やビジネスモデル、対象市場、顧客などを大きく転換し、まったく新しいビジネスやサービスを生み出すイノベーションを起こすことが目的です。また、業務フローはもちろん、会社の組織や評価制度なども、従来の形にとらわれない形で最適化することが求められます。
イノベーションを実現できれば、企業の競争力を上げ収益拡大につながるだけでなく、人々の生活をより豊かなものへと変えていけることでしょう。ただし、イノベーションを実現するためには、DX推進によって得られたデータや知見から、未来の予測を行い、綿密な事業計画を策定することが必要不可欠です。
DXのファーストステップに最適なRPA
DXを実現するためには、
①業務のデジタル化
②デジタル化の効果を活かした効率化
③全社的なデータ活用
④新たな価値の創出
という4つのステップを踏む必要があります。また、DXの実現までには、最低でも5年程度は必要だといわれており、1日も早く取り組むべきでしょう。
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