業務効率化を進める意義とは?
業務効率化を行う目的は、大きく分けて以下の3点が挙げられます。
1:業務工数と負担の削減
2:スタッフのモチベーション向上
3:コア業務に充てられるリソースの捻出
なお、業務効率化とは端的に説明すると、同じ効果を出すためのリソース投下量を減らす取り組みのことです。
一方、類似の意味で使われる「生産性向上」は、同一リソースまたは削減したリソースの投下によって、従来以上の成果を出すための取り組みといえます。
業務工数と負担の削減
業務効率化を行う目的の1つ目が、従来の作業方法やフローなどを見直すことで、業務工数とスタッフの負担や手間を軽減することです。
社内のリソースは有限であるため、限られたなかでいかに効率よく業務を遂行するかが、生産性の大小に大きな影響を与えます。
例えば経理部門などで、社員が朝から晩まで入力や集計作業を行う場合は、肉体的な負担はもちろん「ミスをしてはいけない」という精神的な負担も大きくなることが予想されます。また、どれだけ注意を払ったとしても、人が対応する限りヒューマンエラーをゼロにすることは困難なため、業務品質の管理という点においても健全ではありません。
そのため、企業における業務効率化は必要不可欠な取り組みといえるのです。
スタッフのモチベーション向上
業務効率化を行う2つ目の目的が、スタッフのモチベーション向上を促すためです。
重労働、長時間労働の職場では、スタッフが疲弊し仕事へのモチベーションがどうしても下がりがちになります。その結果、離職率の増加につながるリスクも高まるでしょう。企業側には、業務効率化の実施によってスタッフの負担や残業時間を削減することが求められます。
スタッフの負担が減り働きやすい職場環境になることで、仕事へのモチベーションが向上し、より高いパフォーマンスを発揮してくれる可能性が高くなるでしょう。また、短い労働時間で成果が出せるようになれば残業が減り、スタッフのワークライフバランスが適正化され、会社へのロイヤリティ向上にもつながる効果が期待できます。社員の定着率の向上にもつながるでしょう。
また、政府が提唱する「働き方改革」を実現するためにも、業務効率化の推進は欠かせません。
コア業務に充てられるリソースの捻出
業務効率化の3つ目の目的が、コア業務に充てられるリソースの捻出です。
少子高齢化の影響で労働人口の減少が進む日本企業においては、スタッフをいかにコア業務に従事させるかが重要なポイントだといえます。したがって、単純作業などに貴重なスタッフのリソースを割くのは非常に勿体ないため、業務効率化によってコア業務にアサインできるリソースを捻出する必要があるのです。
スタッフが単純作業からクリエイティブな業務に従事できるようになることで、企業の生産性向上が期待できるでしょう。
事務作業の効率化を効果的に進めるための手順
事務作業の業務効率化を実施する場合には、以下のステップを意識して進めるようにしましょう。
現状の業務の内容を把握する
事務作業の効率化を実施する際には、事前に業務の棚卸を行って現状の業務内容を理解し、把握しておく必要があります。
業務内容や業務フロー、担当者や関連部門、必要工数、発生頻度などの項目をあらかじめ決めて整理しておきましょう。特に担当者が一人、もしくは数人で行っているなど、属人化した業務は時間をかけて明らかにしていきます。
現状の業務の課題点を見つける
業務の棚卸を実施する際、作業内容や業務フローの課題点も見つけておきましょう。
例えば、ムダな作業や非効率な作業などをピックアップして、どこがボトルネックになっているのかを明確化しておくことが重要です。よく「ムリ・ムダ・ムラ」と言われますが、能力を上回った状況であるムリ、ムリとムダが混在しているムラ、などがどこで発生しているかも明らかにする必要があります。
課題点の改善策を立てる
現状の業務の課題点が明確化できたら、次は具体的な業務改善策を検討します。
例えば、
・業務の優先順位決め(残す業務となくす業務の絞り込み)
・ITツールによる業務の自動化
・業務フローの改善
・業務マニュアルの整備
・担当者・担当部門の変更
など、さまざまなアイディアを出して、複合的に検討していきましょう。また、全体で実行する施策内容が決まったら、優先度に応じた具体的なスケジュールの調整も必要です。
改善策を実践し効果を検証する
スケジュールに沿って実践した改善策が、仮説通りに効果が出たかどうか検証します。もしうまくいかなかった場合は、問題点を改善しさらなる効果検証を行いましょう。
継続したPDCAサイクルを回すことで、より効果の高い改善策へと昇華させることが可能です。
事務作業の効率化でまず行うべきコツ・ポイント
先ほど紹介した業務効率化の検討ステップを進める際には、具体的なアイデアを投入する前に、まず解決に向けて根本的に見直すことがポイントです。
業務フローの把握と見直し
まず、業務フローを可視化し、無駄な手順がないかをチェックしましょう。「惰性的に実施している業務はないか」「同じような作業が重複していないか」「やたらと時間がかかっている作業はないか」といった視点で確認し、問題点がある場合は業務フローの見直しを実施します。
業務そのものの見直し
業務フローを可視化するなかで、そもそも不要な業務が見つかる場合もあるでしょう。そのような場合は、業務そのものをカットしてしまうことも選択肢のひとつです。
業務をカットすることは、無駄をなくすことと同義なため、生産的な取り組みといえるでしょう。生産性を上げるためには、貴重なスタッフのリソースを必要のない業務にアサインしている場合ではありません。
「そもそもこの業務は必要なのか?」という、業務そのものを見直す視点が重要です。
タスク管理と優先順位付け
事務作業の効率化を進める際には、タスク管理と優先順位付けが大切です。自分に依頼されているタスクや納期を明確にすることで、実施するべき作業が明確になります。また、作業の順番も明確になるため、効率よく業務を進められるようになるでしょう。
担当割り振りの再考
業務を担当するスタッフのスキルを考慮し、割り振りを変更することも効果的です。
例えば、似たような作業が同じ組織で別々のスタッフに割り振られている場合など、非効率な割り振りの是正を実施しましょう。また、担当スタッフの適正も考慮し、スキルや素養に合うよう担当を変更することも重要です。
事務作業を効率化する具体的なアイデア
ここでは、事務作業を効率化するために有効な改善策の事例をいくつか紹介していきます。ぜひ試してみてください。
データや物品の整理整頓を行う
整理整頓は業務効率化の基本です。データや物品の格納場所がバラバラな場合、スタッフが検索に使う時間と労力が無駄に多く発生します。
業務効率化を行ううえで、作業時間の短縮化は非常に重要なポイントになるため、必要な資料のデータや物品の検索にかかる時間は最小限に減らすことが必須です。
ワークフローや作業内容などを確認し、スタッフがもっとも効率よくデータや物品を利用できる環境を整えることが、業務効率化実現の第一歩といえるでしょう。
高頻度の作業の自動化
取引先からメールで届く発注書の数値や社内で上がってくるエクセルの数値を集計し、結果を社内システムへ入力する作業が1日に10回発生するなどといった場合、このような高頻度の作業は自動化することをおすすめします。
例えば、1回5分の作業を1日10回行う場合は、自動化できれば1日に50分の工数削減につながり、1週間(5営業日)では250分、1ヶ月(20営業日)では1,000分といった大きな効果が見込めるでしょう。
同様の作業が複数ある場合はさらに大きな効率化につながるため、空いた時間をコア業務に充てることで生産性が上がる確率が高まります。
PCのショートカットやエクセルの機能を活用
PCで作業をする際「Ctrl + C」や「Ctrl + V」などのショートカットをよく使うと思いますが、実はそれ以外にも便利なショートカットがたくさん存在します。それらを有効活用することで工数削減につなげることが可能です。
また、業務でExcelを使用するケースも多いと思いますが、Excelの機能や関数、マクロを使用することで少しでも入力作業を楽にすることができないか、検討することが大切です。
特にPCで行う定型作業が多い事務処理においては、大きな工数削減効果を発揮するでしょう。効果が高そうなショートカットキーやよく活用されるExcel関数の一覧表を作成して、スタッフに配布して利用を励行するだけで工数の削減が期待できます。
業務のマニュアルを作成する
業務マニュアルの作成と定期的な内容の更新も、事務作業の業務効率化には必要不可欠です。
業務内容がスタッフ間の口頭伝承になっている現場では、正しい作業方法が伝わらず非効率になっているケースが散見します。スタッフによって作業方法が違ったり、最悪の場合、間違った工程で作業が行われたりするケースもあり、生産性が低下する原因になりうるでしょう。
業務マニュアルを作成することで、特に複数名で行うような業務の品質向上やスピード向上につながります。作業を行うスタッフがすぐに参照できるように、クラウドストレージや掲示板などを活用すると効果的でしょう。
PCの処理能力を上げる
古いPCを長期間使っている場合は、処理能力の高いPCに乗り換えるだけで業務効率化につながります。
処理能力が低いPCを使っていると、何をするにも長い待ち時間が発生し、その間スタッフは何も作業ができなくなり非常に非効率です。しかし、処理能力が早く、サクサク作業ができるPCに乗り換えることで、作業効率が上がり従来よりも多くの作業をこなせるようになるでしょう。
PCの導入にはコストが発生しますが、長期的な業務効率化の効果と比較すれば、費用対効果も高くなります。導入判断もしやすくなるため、まずは費用対効果の試算をおすすめします。
アウトソーシングを活用する
事務作業の中には単純作業も多いため、アウトソーシングサービスの活用も視野に入れましょう。
スタッフをコア業務にアサインさせたくても、やらなくてはいけない作業が山積みの場合、実現するのは困難でしょう。そこで、単純な事務作業は外注し、スタッフがコア業務に集中できる時間を捻出する方法が有効です。
業務の棚卸の際に作業の優先順位を可視化しておけば、アウトソーシング化できる業務の選別もしやすいでしょう。
事務作業を効率化する便利なツールとは?
事務作業の効率化を成功させるためには、ズバリITツールの活用が効果的です。おすすめのITツールをいくつか紹介しますので、自社の課題にあったツールを選定ください。
RPA
RPAはスタッフがパソコンで行う定型的な事務作業を、ソフトウェアロボットに覚えさせることで自動化できるITツールです。繰り返し行う事務作業を自動化できれば、大幅な工数削減効果が期待できるでしょう。
また、RPAは製品によっては、IT知識やプログラミングスキルがないスタッフでも簡単に扱いやすく、現場主導で業務効率化が進められる点がメリットです。
タスク管理ツール
業務の棚卸や優先順位の決定、実施スケジュールを一元管理できるタスク管理ツールの活用も、業務効率化には欠かせません。業務の進捗状況が可視化できるため、スタッフ間での情報共有が容易になり、フォローアップもしやすくなります。
また、改善策の実施とPDCAサイクルの検証を実施するうえでも、必要不可欠なITツールです。
ビジネスチャット
ビジネスチャットはスタッフ間の効率的なコミュニケーションを実現するITツールです。最近では、顧客など社外とのやりとりで使われることも増えてきています。
メールや電話のような1対1のコミュニケーションではなく、タスクやプロジェクトごとにアサインされた複数メンバー間でのコミュニケーションが可能になります。メールのように複数のメッセージの中に重要な情報が埋もれることが少なく、即時的にアクションが取りやすくなり業務効率化につながりやすくなるでしょう。
また、テレワークやリモートワークを導入している企業においても、業務をスムーズに進められる点がメリットです。
オンラインストレージ
チャットツールを導入する際は、スタッフ間でファイルの共有や編集が可能になるオンラインストレージの導入も同時に進めたいところです。こちらもテレワークを行う企業には不可欠なITツールといえるでしょう。
自社で共有サーバーを準備すると、導入およびランニングコストが肥大化する傾向があります。しかし、オンラインストレージであれば必要に応じて容量を追加・削除できるため安価に運用でき、導入までのリードタイムも短いため非常に便利です。
電子承認ツール
電子承認ツールとは、紙や印鑑を使って行っていた稟議・承認フローをWEB上で実施できるようにするITツールです。業務の電子化・ペーパーレス化が実現し、承認スピードの高速化や書類の管理コスト削減といった効果が期待できるでしょう。
「〇〇さんの印鑑が必要だけど、出張でいない」といった状況でも、WEB上で承認がもらえるようになるため、業務がスムーズに進みます。また、電子契約や電子押印などのITツールを活用することで、取引先との契約書締結作業をWEB上で完結させることも可能です。
事務作業の効率化をはじめるならRPAがおすすめ
現在の業務内容やフローを可視化して棚卸を行い、課題点を明確化した後、
・データや物品の整理整頓を行う
・高頻度の作業の自動化
・PCのショートカットを活用
・業務のマニュアルを作成する
・PCの処理能力を上げる
・アウトソーシングを活用する
といった改善策やITツールの活用によって、業務効率化が進められるため、できるところから試してみましょう。
なお、事務作業の効率化を行う際には、RPAの活用がおすすめです。
RPAを導入して事務作業を自動化して、人材のリソースを確保できれば、その他の改善策も実施しやすくなるでしょう。事務作業の効率化をこれからはじめる担当者様は、ぜひRPAの導入をご検討ください。
なお、RPA「ロボパットDX」はITスキルの高くない現場向けに開発されたRPAで、多くの現場部門でご活用いただいています。
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