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事例紹介(部門/業種別) 2021.07.13  [最終更新日] 2023.07.25

なぜテレワークの導入は難しい? 実現に向けたDX推進ポイント

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2020年、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、多くの企業でテレワークの導入が急速に進みました。しかし、緊急事態宣言が解除されると元に戻り、また発令されるとテレワークを始めるといった形でなかなか定着していないのが現状です。
なぜ、日本ではテレワークが定着しないのでしょう。
今回はその理由を考えつつ、ニューノーマル時代のテレワーク導入を実現するうえで欠かせないデジタル化、そしてその先にあるDX(デジタルトランスフォーメーション)についても解説いたします。

【目次】

 

テレワークの必要性

新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、テレワークやリモートワークというと在宅勤務を指すものといったイメージがあるかもしれません。しかし、本来、テレワークは「外出先」「サテライトオフィス」「コワーキングスペース」など自宅を含むオフィス以外の場所で仕事をすることを指すものです。

そもそも、テレワークは新型コロナウイルス以前より、働き方改革として国が主導となり推し進めていました。その理由はさまざまですが、なかでも大きいのは少子高齢化による人手不足解消です。これまで、育児や介護などによりオフィスで働くことが難しい社員がテレワークで退職せずに働けるようになれば、企業・社員双方にとって大きなメリットとなります。

また、地震大国といわれる日本では、いつどこで何があっても不思議ではありません。その際、全社員が社内にいる状態では企業として事業を継続することが困難になる可能性があります。そうした意味でBCP対策としても、テレワークは重要な施策の一つなのです。

もちろん、テレワークが一気に普及した最大の要因は新型コロナウイルス感染防止対策としてでしょう。働き方改革や生活様式の変化によるワークライフバランスの実現、BCP対策、少子高齢化による人手不足の解消、そしてコロナウイルス。これらの要因が重なったこともあり、日本企業におけるテレワークの重要性が加速度的に高まっているのです。

 

DXとは?

テレワークと同様に普及が進まないものとして挙げられるのがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。2018年9月に経済産業省が公開した、「DXレポート」によりその名を知る方も多いのではないでしょうか。

具体的には、企業が顧客や市場の変化に対応すべく、組織や文化、人材といった企業内部の改革を実行することを意味するものです。そのためには、既存システムのマイグレーションや先端IT技術の導入など、デジタル技術を用いた新たな事業、製品、ビジネスモデルの創出を行うこと。そのうえで、顧客の体験価値を向上させ競合他社との競争優位性を保つことが求められます。

DXで特に重要なポイントは2つあります。一つは、既存システムの老朽化・複雑化・ブラックボックス化の解消。そして、もう一つがデジタル技術の活用によるビジネスの変革です。

テレワークはこのデジタル技術の活用のなかに含まれる要素の一つで、そういった意味では、テレワーク導入はDXを推進するうえでも欠かせない施策の一つといえます。

 

テレワークが実現できない主な要因

テレワークは新型コロナウイルス感染予防対策として、多くの企業で導入が進んだものの、そのまま定着するまでには至っていません。

 

東京都が行っているテレワーク実施率調査結果(2021年5月)を見ると、緊急事態宣言が発令されていた期間であったこともあり、64.8%と2020年3月以降、もっとも高い実施率となっています。

この結果だけを見ると、テレワークはかなり浸透しているのではと思われるかもしれません。しかし、これは東京都にある企業のみを対象としたもので、全国で見るとその結果は大きく異なります。

公益財団法人日本生産性本部が、2021年4月22日に公開した、「第5回働く人の意識調査」。この結果を見ると、2021年4月時点での全国のテレワーク実施率は19.2%と2割にも達していません。また、大都市である大阪・兵庫に限定した場合も、実施率は18.4%と全国平均よりもさらに低い数字です。

 

これらの結果を見る限り、東京以外の地域では、新型コロナウイルスに関係なく、テレワークの導入が進んでいないことがわかります。

 

前出の全国でのテレワーク実施率は、2020年5月の結果を見ると、2021年4月よりも10%以上高い31.5%という結果でした。つまり、最初の緊急事態宣言が出たタイミングでもあり、テレワークを導入してみたものの、その後、テレワークを辞めてしまった企業が多いということです。

なぜ、一旦は導入したにもかかわらず、継続できなかったのでしょうか。どのような課題があるのか、ひとつひとつ見ていきましょう。

 

遠隔でできない業務がある

資料の閲覧、承認の押印など、自宅からではできない業務があれば、当然ながら出社せざるをえなくなります。そうした業務が多ければ多いほど、テレワークでは業務が滞ってしまうため、導入を断念するケースも少なくありません。

 

業務がテレワークに適していない

例えば、医療や接客・サービス業、運送業などどうしても対面でないとならない仕事は、当然、テレワークは難しいでしょう。また、企業のOA機器のサポート・メンテナンスを行う営業社員も在宅では業務が成り立ちません。

他にも、対面ではないものの、カスタマーサポート業は、在宅での業務が難しく、テレワーク導入は簡単にはできないでしょう。

 

セキュリティの問題

自宅で業務を行う場合の大きな問題点として、セキュリティ面のリスクが挙げられます。基本的に自宅で業務を行う場合、クラウドサービスやVPNなどを使い、社内ネットワークにアクセスして仕事をします。その際、セキュリティ対策をしっかり行っていないと情報が漏洩してしまうリスクがあるため、テレワーク導入に二の足を踏んでしまう企業も少なくありません。

 

コミュニケーションに支障が出る

これまで対面でのコミュニケーションが当たり前であった環境から、急にオンラインや電話でのコミュニケーションのみになるストレスも、テレワーク普及を妨げる要因の一つです。

もちろん、チャットやZoomなどのWeb会議システムを活用すれば、少しはストレスも緩和されるでしょう。しかし、相手の状況がわからないとなかなか話しかけづらいこともあり、コミュニケーションに支障が出るため、テレワークを導入できないケースも多いようです。

 

業務の遂行を管理できない

在宅で働く社員の勤怠管理が困難なこともテレワークに移行できない大きな障壁です。オフィスにいれば簡単にできる在席の確認も在宅では難しく、在宅社員の適切な評価ができないといった問題があります。また、業務によってはオフィスにいる社員との不公平感が出てしまう可能性もあるなど、マネジメント面での解決がないとテレワークの普及は難しいでしょう。

2020年4月7日、初めて緊急事態宣言が発令された時は、急遽テレワークを導入した企業も多くありました。その時は準備ができていなかったことから、解除に合わせて元に戻した企業も多いと言われています。しかし、それから1年以上が過ぎた2021年5月においても全国のテレワーク実施率が2割にも達していません。この状況を見る限り、テレワークの普及はまだ時間がかかりそうです。

 

 

いま企業が取り組むべきデジタル化の具体例

導入のメリットは大きいものの、問題も多くなかなか普及が進まないテレワーク。しかし、テレワークの導入もスムーズに行えないようでは、その先にあるDXの実現も難しいでしょう。

もちろん、デジタル化を進めることだけでDXが実現するわけではありませんが、逆にいえばデジタル化をうまく進められれば、DXへの第一歩となることも間違いありません。そこで、テレワークの導入も含め、いま、企業が生き残っていくために取り組むべきデジタル化の具体的な例を5つ紹介します。

 

電子化・ペーパーレス化

紙書類の電子化・ペーパーレス化は、テレワークに欠かせないことはもちろん、「業務効率化」「オフィスの省スペース化」「印刷や書類の郵送、保管管理コストの削減」「BCP対策」などさまざまなメリットを生み出します。

さらに、紙文書の電子化によるペーパーレスが実現すれば、自ずと押印のためだけに出社する必要もなくなり、自宅とオフィス移動にかかる手間や交通費の削減も可能です。

そうした意味でも紙文書の電子化は、デジタル化を進めるうえで最初の一歩であり、もっとも重要なポイントだといえるでしょう。

 

デジタルコミュニケーション

前項では、チャットやWeb会議システムを導入してもオフィスと自宅でコミュニケーションをうまく行うのは難しいとしましたが、解決方法がないわけではありません。

例えば、チャットでは業務上の会話だけではなく、オフィスで行うような雑談もできるようにする、Web会議システムは常につないだ状態にし、オフィスにいるのと同じ状況でコミュニケーションが図れるようにするなどが考えられます。

単純にデジタルなコミュニケーションツールを導入してもそれだけで問題が解決するとは限りません。それをどうやって使えば十分なコミュニケーションが実現するのかを、試行錯誤を繰り返しながら自社に最適な方法を見つけ出すことが重要です。

 

プロジェクトマネジメント

プロジェクトチームにオフィスにいる社員と在宅社員がいる場合、プロジェクトマネジメントをしっかりと行わないとスムーズな進行は困難です。そこで、クラウド型のプロジェクト管理ツールやグループウェアなどを使い、効率的に管理していける環境の整備を行いましょう。

多くのツールはトライアル版があるため、複数の候補から自社にとって最適なツールを選択するのがおすすめです。

 

HR領域のデジタル化

テレワークに合わせた勤怠管理ツールはさまざまなベンダーから提供されています。これらを使って管理するのも一つの方法です。また、先述したWeb会議システムを常時接続状態にする方法は、コミュニケーションがスムーズになるだけではなく、勤怠管理としても効果を発揮するでしょう。

また、勤怠管理や評価制度に関しては、テレワーク導入に応じて新たなルール策定を行うのも重要です。Web会議システムを使った方法は確かに効果的ではあるものの、在宅社員にとってストレスを生んでしまう可能性もあります。快適な業務環境をつくるには、デジタルツールをうまく使いつつも、テレワーク用のルールと併せて活用するようにしましょう。

 

生産性向上のためのツール活用

業務のデジタル化は、効率化に加えて生産性の向上も実現できるツールを選択するのがおすすめです。

例えば、パソコンを使って行う定型業務はRPAを使い自動化する。そして、空いた時間でより生産性の高い業務に集中するといった形にすれば、効率化と生産性向上のどちらも実現可能です。

 

テレワークの実現につながるポイント

テレワークを導入したものの、うまくいかずに断念してしまう理由の一つとして、いきなり100%の導入を目指してしまう点にあります。まず、一部の部署から始める、週1~2日程度から始めるなど、徐々に進めていかないとなかなか定着は難しいでしょう。

そこで、テレワークをスムーズに導入し、うまく拡大させていくためのポイントを3つ、紹介します。

 

出社が必要な業務はRPAで効率化

「請求書の作成」「販売データの集計・Excelへの入力」といった会社のパソコンを使って行うような定型業務であれば、RPAの活用がおすすめです。本来は出社して行う業務をRPAで自動化すれば、その分、出社日数を減らし、在宅勤務を増やせます。RPAは生産性向上などの成果も目に見えやすく、DXの第一歩としてはおすすめのツールです。

 

遠隔での業務遂行を可能にするツールの導入

VPNやリモートデスクトップ、Web会議システム、グループウェア、オンラインストレージなど遠隔での業務遂行を可能にするツールの導入を進めます。

ただし、セキュリティツールの導入と社員に対するセキュリティ教育の徹底は必須です。

 

自社に必要なテクノロジーを優先順位を付けて導入

企業や業務内容により必要なツールは異なるため、まずは現状の業務内容の棚卸を行い、必要なツールの選定を行いましょう。

例えば、「契約書が郵送なので絶対に出社しなければならないといった場合は、紙文書の電子化を行う」「会社のパソコンでしかできない作業がある場合は、リモートデスクトップ×RPAで自動化する」など、目的別に優先順位を付けたうえで導入を進めていきましょう。

 

 

まとめ

2018年9月に経済産業省が公開したDXレポートでは、「2025年の崖」として、2025年までに既存システムの老朽化問題を解消し、DXの実現を目指さないと、2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性があるとしています。

デジタル化がイコールDXとなるわけではありませんが、デジタル化を進めなければDXが実現しないのも事実です。そのためには、今回紹介したデジタルツールを活用し、まずは自社を変革させる第一歩として、テレワークの導入を実現されることをおすすめします。

リモートワークやDXの推進を考えている方には第一歩としてRPAの導入がおすすめです。

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この記事を書いたコンサルタント

ロボパット編集部

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