業務効率化とは?
業務効率化とは、仕事における「ムリ・ムダ・ムラ」を解消し、企業が持つ「ヒト・モノ・カネ」を最大限に生かすための取り組みを指すものです。
具体的には、
・業務の属人化をなくすための教育の徹底を行う
・業務の優先度を明確にし、必要な業務と不要な業務をより分ける
・自社でやる必要のない業務は積極的にアウトソーシングする
・工程が多い業務はプロセスの見直しを行い簡略化させる
・ツールやシステムを導入して自動化を進める
といった施策が考えられます。
これらの施策を実践することで、自社が持つ、「ヒト・モノ・カネ」を効果的に活用し生産性向上を目指すのが業務効率化です。
業務効率化を進めるメリット
業務効率化の推進は企業に多くのメリットをもたらします。具体的には次のようなメリットが期待できるでしょう。
利益の増大
業務効率化が進み、無駄な業務の削減、それにかかる労働時間の縮小が実現すれば、社員はより生産性の高い業務への集中が可能になります。その結果、生産性が高まり利益の増大も期待できるようになります。
従業員満足度の向上
従業員満足度を向上させるためのポイントは、いかに従業員の負担を軽減し、社員のモチベーションを向上させられるかです。企業の利益を上げるうえで必要のない業務に多くの時間を割かれている状態ではモチベーション向上は期待できません。
しかし業務効率化により、生産性の高いいわゆる企業の利益につながる業務に集中できる時間が増えれば、社員のモチベーションもおのずと向上するでしょう。それが、結果として従業員満足度の向上にもつながります。
時間的なコストの削減
コスト削減というと経費や交通費など、使う「お金」をどれだけ減らせるかに意識が行きがちです。しかしコストはお金だけではありません。「時間」を効率的に使うことも大きなコスト削減につながります。
例えばこれまで4時間かかっていた業務を効率化により2時間で終わらせられるようになれば、2時間の時間的なコスト削減が実現。その時間をほかの業務に当てれば、時間外労働や残業時間の削減にもつながり、社員のワークライフバランス向上も期待できるでしょう。もちろん、それが結果的に人件費などの抑制にもつながります。
新規ビジネスへの投資チャンスが得られる
業務効率化が進み無駄な業務が削減されれば、生産性の高い業務に集中できる時間が増えると説明しましたが、これは既存業務だけとは限りません。例えばこれまでは時間的にも人数的にも足りずに断念していた新規ビジネスへチャレンジできる環境整備にもつながります。
業務効率化の成功により利益が増大すれば、新規ビジネスへの投資もより進められるため、「業務効率化の成功」「利益増大」「新規ビジネスへの投資」「新規ビジネスの成功」「利益増大」といった好循環が生まれるでしょう。
効果を上げるための業務効率化の進め方
企業にさまざまなメリットをもたらす業務効率化ですが、計画性もなくやみくもに進めようとしても上手くはいきません。
では、業務効率化の効果を上げるためには何が必要なのでしょう。ここでは、4つのポイントを紹介します。
現状の業務内容と課題点の把握
業務効率化を進める際、まず行うべきは現状把握です。現在行っているすべての業務プロセスや業務フローを書き出し、可視化させたうえで課題点をチェックします。
大切なことは部署ごとではなく全部署を横断した業務プロセスの可視化です。部署ごとの業務プロセスだけでは全体像が見えず、思わぬ業務の課題点に気づけません。
例えば経理部の領収証承認作業が常に遅いという課題点があった場合、経理部だけの業務プロセスを見てもその原因究明はできない可能性があります。これを全部署の業務プロセスで見ると、営業部の領収証提出が遅いのが原因ではないかと気づけるかもしれません。
一つの部署の課題点の原因がほかの部署にあることは決して珍しくはないでしょう。全部署の業務プロセスを俯瞰で見られるようにすれば、そうした課題点にも気づきやすくなるメリットが生まれます。
改善対象となる業務の選定
業務プロセスの可視化を行ったら次は、「必要な業務」「不要な業務」の2つに分けたうえで、必要な業務のなかで改善対象となる業務の選定を行います。
ポイントはすべての業務を改善するとなるとかえって非効率になってしまう場合があるため、改善が必要な業務のなかでも優先順位をつけることです。改善がしやすい業務を優先するのではなく、生産性の高い業務を優先しましょう。
改善方法とスケジュールの設計
改善する業務の優先順位を決めたら、次に行うのは改善方法とスケジュールの設計です。改善方法は、「業務プロセスの見直し」「ツールやシステムの導入」「属人化の防止・マニュアル化」などが考えられます。
業務プロセスの見直しに関しては、前述した業務プロセスの可視化同様、部署単位ではなく全部署を横断した業務プロセスで見直しましょう。
スケジュールの設定は、最初に最終期日を決め、そこから逆算して設計を行っていきます。例えば、業務の自動化を実現するRPAを導入するとした場合、最終期日をRPAの稼働開始日とし、2ヵ月前までに自社の目的に合ったRPAの選定。1ヵ月前までに試用版を導入し試験運用を実施。1週間前になったら効果検証を行い、修正と改善を行ったうえで稼働開始、といった形で進めていきます。
実施〜検証
適切な改善案をスケジュールに沿って実施したとしても、必ずしも業務効率化が実現するとは限りません。そのため、一定の期間を経たら実施した施策はすべて検証し、問題がないかを確認します。
検証を行い、効率化に成功している場合はそのまま継続。効率化になっていない施策に関しては改善の修正を行います。
また、改善が成功した業務と上手くいかない業務が混在することで、全体のバランスが崩れ新たな課題点が生まれてしまうケースも少なくありません。改善策も検証を行いつつ、全体の確認も定期的に行うようにしましょう。
業務効率化を実現する具体的なアイデア7つ
業務効率化で成果を上げるための進め方について見てきました。ただ、具体的にどのような改善を行えば効率化が進むのかについては悩むところでしょう。
企業によっても、業務内容によってもさまざまな方法が考えられ、そのなかからどれを選ぶかについては非常に選択が難しい問題です。そこでここでは効率化を実現するための改善案を考える際のヒントになるアイデアをお伝えします。
1,業務そのものをなくす
ひと口に業務といってもその種類は多様で、さまざまな作業の積み重ねによって一つの業務が成り立っているケースも少なくありません。また、最初はシンプルな業務だったものでも年月を経ていくうちに少しずつ複雑化していき、今となっては誰も最初のシンプルな業務に戻せなくなってしまうといったケースもあるでしょう。
そうした業務を改善しようとしても、そもそも元々がどういった業務なのかがわからないため、改善のしようがないケースもありえます。
この場合、その業務そのものを一旦、なくしてしまうのも一つの方法です。
複雑化してしまった業務を一つひとつひも解いていくのは簡単ではありません。それよりも、一旦ないものとして、新たにどうしても必要な業務だけを洗い出していくと最初のシンプルな業務に戻せる可能性が高まります。それが結果として業務効率化につながっていくのです。
ほかにも全員参加の報告会議は、「本当に全員参加が必要なのか」「決まったことをメールやグループウェアなどで共有するだけではだめなのか」など、何のために必要なのか、なくすためにはどうするべきかを見直すことも重要でしょう。
2,手間のかかる業務を自動化する
例えば、3人がかりで2日かかる業務があった場合、6人に増やせば1日で終わるかもしれません。しかしそもそも業務効率化が求められる要因の一つは人材不足です。一つの業務にこれまで以上に多くの人材を割くようになれば、ほかの業務にしわ寄せがきてしまい、より非効率になってしまうでしょう。
業務効率化を進めるには、携わる人数を減らすか、業務スピードを速める必要があります。前述した例でいえば、3人で2日かかる業務を2人に減らしたり、1日で終わらせたりする方法を考えなくてはなりません。
そこでおすすめなのは業務の自動化です。
手作業のままで人数も時間も減らすことはほぼ不可能です。それよりも業務自動化を進めるツールを導入したほうが高い成果が見込めるでしょう。
自動化の具体的な方法については、後述の「RPA」についての紹介部分にて解説します。
3,分業・分担を進める/やめる
分業や分担を進めるもしくはやめるのも、効率化を実現するために必要な施策です。
業務のなかには分業や分担をしたほうが効率的に進む業務もあれば、複数人よりも1人で行ったほうが効率的に進められる業務もあります。具体的には次のとおりです。
分業や分担したほうが効率的に進む業務
営業活動は営業部だけで行うのではなく、マーケティング部と分業・分担したほうが効率的になる可能性が高いといえます。従来、営業活動はアポイント獲得から受注、アフターフォローまでのすべてを営業部が賄っていました。しかし、マーケティング部と連携したうえでアポイント獲得までをマーケティング部が担当、商談に入る段階から営業部が担当したほうが効率的かつ成果を上げる可能性も高まります。
分業や分担をやめたほうが効率的に進む業務
日々発生する細かな業務の中には、基本的に1人または少人数で行ったほうが効率的なケースもあります。「データ入力」「入金の確認・消込」「給与計算」といった業務などがそれに当たります。過度な分業を見直すことで、連携によるタイムラグやミスの抑制に繋がります。
それほど複雑ではない業務、日々発生する定型業務は1人、もしくは最小限の人数で分担したほうが効率的です。
4,業務をマニュアルやフローチャートにまとめる
業務をマニュアルやフローチャートにまとめるのも効率化を実現する施策の一つです。
多くの企業では社員の配置換えや退職、入社により頻繁に人の入れ替えが行われます。その都度、簡単な資料だけで業務の説明や流れを説明するのは効率的でないうえ、教える社員によって異なる方法を伝えてしまう可能性も高く、ミスにつながるケースも少なくありません。
これを避ける方法が、業務マニュアルやフローチャートの作成です。最低限の情報だけを伝えれば誰でも同じやり方、同じ流れで業務を進められるようになるため、効率化が実現し、ナレッジも蓄積されます。さらに属人化も避けられるようになり、人が減っても急に生産性が落ちてしまうリスクも低減するでしょう。
ただしあまり細かくルールや手順を決め過ぎてしまうとかえって逆効果になる場合もあります。業務内容によっては大枠だけを決めておき、順番に関しては社員に任せるといった柔軟性を持たせるのも効率化を進めるポイントの一つです。
詳細なマニュアル化が難しい場合など、例えばPC上の作業でいえばショートカットキーを一覧にして共有するだけでも効率化は実現します。
5,業務の優先順位を変える
例えば、簡単に終わる業務から先に手をつけ、最後に手間のかかる業務を行っていた場合、その順番を逆にしてみましょう。先に手間のかかる業務に手をつけ、それをやりながら簡単に終わる業務も進めていくようにすると、一気に効率化が進む場合があります。
逆に手間のかかる業務に時間がかかり過ぎてしまい、簡単な業務に手が回らないといった場合は、簡単な業務を先に片付けるようにしてみましょう。
納期を重視しつつ、業務の進め方を変えてみると思った以上に効率化が進む場合もあります。
6,業務の担当を変える
どうしても効率化が進まない業務に関しては、担当者の変更も効率化実現方法の一つです。
どのような業務でもそつなくこなせるオールマイティープレーヤーはそれほど多くはありません。しかし一つのことに長けたスペシャリストはどの企業にも少なからず存在します。それぞれの業務に合った人材を適切に配置すれば、効率化実現の可能性も高まるでしょう。
業務の担当替えを成功させるポイントは、積極的なコミュニケーションです。上司との面談を定期的に実施し、社員一人ひとりの得手不得手を把握したうえで適材適所の配置設定を実行しましょう。
また業務の担当替えは、社員のモチベーション向上にも効果を発揮します。自分が得意とする業務を担当できるとなれば、自信を持って臨めるようになり、モチベーション向上が実現し、生産性向上も期待できるでしょう。
7,業務をアウトソーシングする
自社では人が足りなく手間がかかってしまう業務は思い切ってアウトソーシングしてしまうのも効率化実現につながります。
すべてを内製でできれば、知見が蓄積されるメリットがあるのも確かでしょう。しかしどうしても内製で賄えない業務をそのままにしておけばいつまでたっても業務効率化は実現しません。
一旦アウトソーシングで外部に任せ、その間に社内の体制を整えられればまた自社で行える可能性も生まれるでしょう。効率化を第一に考えるのであれば、アウトソーシングも選択肢の一つとして検討されることをおすすめします。
業務効率化を実現するためのポイント・注意点
前項で業務効率化を実現させるための7つのアイデアを紹介しました。これらを自社の状況に合わせて実行すれば効率化が進む可能性は高まります。
しかしいくつか注意すべき点も存在します。
何もない状態で急にアイデアを実施しても成功の確率は低いままです。前項のアイデアを成功させる確率を高めるために事前にやっておくべきこと、考えておくべきポイントについてお伝えします。
まずは一部のアイデアから実践する
業務効率化は、今日開始して明日には結果が出るといったものではありません。ほとんどの場合、時間をかけ効果検証を繰り返しながら少しずつ成果を出していくものです。7つのアイデアをすべて同時進行で進めようとしてもなかなか上手くはいかないでしょう。
ポイントは、まず一つのアイデアに集中し、その成果を見たうえで次のアイデアに進んでいくことです。多くのアイデアを同時に実施してもすべてが中途半端になってしまい、失敗に終わってしまう可能性が高くなります。
そもそも人材不足を補うための業務効率化の側面が大きいのに、一気に多くのアイデアに手を出しても人数が足りなくなっては本末転倒です。優先順位を考え、一つひとつ確実に達成させていくほうが全体の効率化にもつながります。
対象の従業員には効率化の目的・目標を共有する
なぜ業務効率化が必要なのかがわかっていないと、思ったような効果は生まれません。
もちろん、非効率な業務の改善が最大の目的であるのは間違いありません。しかし企業として効率化を進め、何を実現したいのかを明確にし、全社員で共有できていないとモチベーションの維持が困難です。
もう一点、具体的な数値目標の設定も重要なポイントになります。業務効率化を進めるとわかっていても、どうなれば成功かがわからないとやるべきことも明確になりません。
「時間外労働削減」「業務スピードアップ」といった曖昧なものではなく、「時間外労働1人月10時間削減」「業務スピード10%アップ」など具体的な数値目標を設定しましょう。それにより何をすべきかが明確になり、効率化成功の確率も高まるでしょう。
業務効率化を進める体制を整備する
業務効率化の目的・目標の明確化、共有も重要ですが、同時に効率化を進めていくための社内体制の整備も欠かせません。
例えば、自動化を進めようにもツールの導入がなければ実現は不可能です。在宅勤務やリモートワークの導入を進めようにも紙文書の電子化が実現しなければ効率化にはつながらないでしょう。適材適所の人員配置をしようにも社員の適性が見極められていなければどこに誰を配置すればよいかを決められません。
どのような施策を実施するにしても施策を実施するための事前準備が必要であり、その態勢を整えられなければ業務効率化は実現しないでしょう。
業務効率化の成果を必ず検証する
業務効率化は時間をかけ効果検証を繰り返しながら成功確率を高めていく必要があります。1回目の施策実施で成功する場合ももちろんあるでしょう。ただやりっぱなしでは、なぜ成功したのかがわからず、再現性を高められません。
失敗した場合でもなぜ失敗したのかを検証し、成功させるための改善を行わなければいつまでも業務効率化は実現しないでしょう。
業務効率化のために実施した施策は成功、失敗にかかわらず必ず成果の検証を行う。成功していればその理由を解明し、ほかの業務でも応用する。失敗していればその原因を探り、答えを基に改善を実施する。一定期間の後、また効果検証を行う。
このPDCAサイクルを回していき、成功確率を高めていけば、目標とする業務効率化に近づいていけるでしょう。
今すぐ使える業務効率化ツール
業務効率化を実現させるうえで欠かせないものはいくつかありますが、そのなかでも重要なポイントとなるのがツールの活用です。
ただし、業務内容によって活用できるツールは異なるため、それぞれのツールの特性を把握していないと効果的な活用はできません。
ここでは、業務効率化に効果を発揮するツールのなかでも多くの企業で活用されている6つを紹介します。自社の課題に応じて参考にしてください。
RPA
RPAは「ロボティック・プロセス・オートメーション」の略称で、主にパソコンを使って行う定型業務の自動化を実現するツールです。経理や営業、販促などさまざまな部門で活用できます。
具体的には、
・エクセルから基幹システムへのデータ入力
・請求書の作成とフォルダへの保存。顧客へのメール送信
などの作業手順をロボットに記憶させ、ロボットが代行して業務を遂行します。
複雑ではないものの時間を要する定型業務が自動化されれば、手作業で業務を行うのに比べ大幅に業務時間の短縮が実現します。さらにその時間を生産性の高い業務に向けられるため、社員のモチベーションや生産性の向上につながります。
業務の自動化を実現させるためにプログラミングの必要がない点もRPAの大きなメリットといえるでしょう。効率化をするためにわざわざプログラマーの業務を増やす必要がないのは、業務効率化を進めるうえで重要なポイントです。
まだまだ敷居が高そうに見えるRPAですが、業種や企業規模に応じた成功事例も多く紹介されていますので、調べてみると自社に近しい事例が見つかるかもしれません。
グループウェア
業務効率化を進めるためには、社内での情報共有が欠かせません。ただ情報共有はメール、スケジュール管理はスケジュール管理ツールなどそれぞれでツールを分けてしまうとかえって業務が複雑化してしまう場合があります。
またメールは個人間での情報共有には効果がありますが、部署やチーム全体での情報共有には向きません。これらの課題点を解消し、効果的に情報共有をするのがグループウェアです。
グループウェアの主な機能は、「スケジュール管理」「会議室予約」「掲示板」「文書管理」「ToDo」などです。これらを一つのプラットフォーム上で活用できるため、共有漏れが防げ、効率化の実現につながります。
ビジネスチャット
情報共有を実現するツールは、円滑な情報の連携が主要な目的ですが、もう一つ、重要なポイントがあります。それはリアルタイムでの情報共有の実現です。
情報共有は、リアルタイム性を求めないものもありますが、多くの場合、リアルタイムで共有できたほうが多くのメリットが発生します。
例えば、「営業現場で外出中の社員に今すぐに来て欲しいと言われた場合」「顧客から問い合わせがありすぐ回答しなくてはならないがオフィスに担当者が不在の場合」などです。
その際に効果を発揮するのがビジネスチャットです。今やプライベートで多くの人が活用するチャットのビジネス版です。
ビジネスチャットであれば、従来のメールなどの手段に比べると、はるかにスムーズかつ手軽に情報共有が行なえます。
チャットツールはほとんどの人がプライベートでも活用しているため、改めて使い方を覚える手間がかからないのも大きなメリットといえるでしょう。
タスク管理・プロジェクト管理ツール
グループウェアは主に部署やチーム間での情報共有を実現させるためのツールです。タスク管理・プロジェクト管理ツールは、業務の流れや手順を明確化させるためのツールで、進捗状況を一覧で確認できます。
企業にもよりますが、多くの場合、複数のプロジェクトが同時に行われることも珍しくありません。タスク管理・プロジェクト管理ツールがあれば、複数のプロジェクトであっても現在どこまで進んでいるのか、今日やるべきタスクは何なのかをすぐに確認可能です。
タスク管理・プロジェクト管理の徹底が行われれば、業務漏れが防げるのはもちろん、業務被りがなくなり無駄な工数を大幅に削減できます。
オンラインストレージ
オンラインストレージも業務効率化を実現するために欠かせないツールの一つです。
データが社内でしか閲覧できない状況では、在宅勤務やモバイルワークといったテレワークができません。
オンラインストレージを活用すれば、いつでもどこからでもクラウド上にある文書の確認、修正が可能になるため、「日報を提出するだけのために取引先から帰社する」「請求書の作成を行うために出社する」といった手間がかからなくなります。その結果、大幅な業務効率化が実現するでしょう。
マニュアル作成・共有ツール
社員がそれぞれ異なるやり方で業務を進めると、「ミスが起こりやすくなる」「属人化が生まれてしまう」「業務の複雑化につながる」など多くのデメリットが生まれやすくなります。これを避けるためには業務マニュアルやフローチャートが欠かせません。
業務マニュアルやフローチャートが重要であることは、前述したとおりですが、それと同時に作成したマニュアルの共有も重要なポイントです。
作成されたマニュアルはいつでも誰でもすぐに確認できないようでは意味がありません。そうした意味でも、マニュアルが作成できるだけでなく、マニュアルの共有機能も備えたツールを使うことが有効です。
業務効率化アイデアを実現した事例
ここまでさまざまな業務効率化のアイデアや注意点を見てきました。ここで実際に業務効率化のアイデアを実現した企業の事例を紹介します。
RPAで年間24,000時間の削減に成功
国際カードブランドである、「ダイナースクラブカード」「TRUST CLUBカード(Visa/Mastercard)」の発行を行っている、三井住友トラストクラブ株式会社。
同社では、業界の大手各社や親会社である三井住友信託銀行でのRPA導入をきっかけに導入の検討を開始。いくつかの候補のなかから、Robo-Patの導入を決め、2018年9月より利用を開始しました。
Robo-Patを導入した最大の決め手はスピード感でした。プログラミングスキルがなくても、業務部署で簡単にロボットの作成ができるため、「要件定義」「開発者へ依頼」「Q&Aのやりとり」といった流れが不要になります。これらの手順が省かれるうえ、エンジニアのサポートも必要なくなり、その分のコストも抑えられる点が導入した最大の理由となっています。
またプログラミングスキルがなくてもロボットを作成できるRPAをいくつか試した結果、「コマンドの名称がわかりやすい」「詳細な設定をしなくても稼働する」などの点で、もっとも扱いやすかったのも導入の大きな理由です。
導入した主な業務の一つに、キャッシュバックの登録があります。金額を動かすデリケートな業務ではありますが、正しいフォーマットさえ作れば人がやるよりもミスがなく正確性が担保される点は大きなメリットです。社員がミスは許されないというストレスから解放されるのもメリットとなっています。
導入後、約1年で70近いロボットを稼働させていて、年間換算で約24,000時間の削減効果を生み出しています。導入を進められたポイントは、「単純定型業務を中心に行っている部署への導入」「比較的事務作業の多い6つの部署への導入と自立支援」。そして、「全社への展開」と段階を踏んで導入を拡大させた点です。
できるだけ簡単にロボット作成ができて、効果実感のあるものから取り組むことが重要で、いかに成功体験を積み重ねていけるかが、導入を拡大させ、成功を収めるためのポイントだといえるでしょう。
三井トラストクラブ株式会社のロボパットDX活用事例について詳しくはこちら
まとめ
業務効率化は一朝一夕で実現するものではありません。試行錯誤を重ねつつ、改善を進めていった先に成果が見えてくるものです。そのため、今回紹介したさまざまなアイデアも自社なりのアレンジを加えて取り込んでいく必要があります。
事前の環境整備も重要ですが、それと同時に業務効率化に欠かせないツールの導入も早い段階から検討を進めていくとよいでしょう。特にRPAはプログラミングスキルを必要とせず、定型業務の自動化を実現し、大幅な業務効率化を可能にします。
昨今注目されているDX(デジタルトランスフォーメーション)推進にもRPAはエントリーツールとして多くの企業で活用されています。
業務効率化を進めたいと考えている際は、ぜひ検討されることをおすすめします。
なかでも、RPA「ロボパット DX」は、プログラミング知識のない現場が自分で作業を自動化できるように開発されたツールです。
無料トライアル期間中に業務診断から実際の業務の自動化までコンサルタントがお手伝いすることで、導入後1ヵ月目から業務効率化の効果を実感することができます。
オンラインでRPAの活用セミナーも実施していますので、是非お気軽にこちらまでお問い合わせください。