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業務自動化の仕方・方法(自動化業務の選び方) 2022.03.10  [最終更新日] 2023.07.25

中小企業が業務効率化をするためのポイント5つを紹介!

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業務効率化を進めて行きたいものの、日々の業務に追われついつい後回しになってしまうケースは少なくありません。しかし、業務が立て込んでいるからこそ迅速に効率化を進めていかなければ、近い将来に業務が回らなくなってしまう事態に陥りかねません。
そこで今回は、特に中小企業での業務効率化について、早急に行うべき理由、注意点、事例などを見ながらスムーズに業務効率化を実行するためのポイントをお伝えします。

【目次】

 

中小企業が業務効率化すべき背景

企業規模にかかわらず業務効率化は欠かせませんが、特に中小企業において必要な理由は次の3点です。

 

深刻な人手不足

世界的に見ても類を見ないスピードで少子高齢化が進む日本。内閣府が発表した「平成25年版高齢社会白書」によると、15~64歳の生産年齢人口は2013年に8,000万人を割り、2060年には4,418万人とほぼ半数になると予測しています。

参照:平成25年版 高齢社会白書(全体版)|内閣府

 

また、中小企業にとってより深刻な問題は、就業希望者数の減少です。中小企業庁が発表した「令和元年度(2019年度)の小規模事業者の動向」を見ると、従業員数300人以上の企業の求人倍率は2010~2020年でほぼ変わらず約1倍です。

これに対し、従業員数299人以下の企業では、2011~2017年は3~4倍程度ですが、2018年に6.5倍になり、2020年では8.6倍にまで増加しています。つまり、新たに従業員を雇用するにあたって、中小企業の場合、1人に対し8.6社が競合するということです。

参照:令和元年度(2019年度)の小規模事業者の動向|中小企業庁

 

この傾向が続けば、例えばこれまで3人で行ってきた業務を1~2人で行う必要が生じます。そうなれば業務効率化を進めない限り、従業員の負担は相当なものとなってしまうでしょう。

 

競争力の確保

深刻な人材不足や国が推し進める働き方改革もあり、すでにIT化による業務効率化を進める中小企業も少なくありません。求職者側から見れば、いまだにアナログに頼り効率化が進んでいない企業をわざわざ選ぶ理由は多くはないでしょう。

前項でも触れたように、現状1人の求職者に対して競合は8.6社いるわけですから、その中で競争力を確保していくには、IT化による業務効率化は必須といえます。

 

テレワークなど柔軟な働き方が求められている

業務効率化を実行することで得られるメリットはさまざまですが、その中でも重要なもののひとつが柔軟な働き方の実現です。

感染症対策はもちろん育児や介護をする方にとって、テレワークや時短勤務など柔軟な働き方を選択できるかどうかは、企業を選ぶ際の重要なポイントのひとつとなっています。

実際、2021年12月に株式会社マイナビが行った「大学生低学年のキャリア意識調査」においても、自身の就職活動に影響しそうなワードとしてもっとも多かったのが「テレワーク」です。

業務効率化のためのIT化が進めば、オフィスにいなくてもできる仕事が増え、結果としてテレワークや時短勤務といった柔軟な働き方も実現するでしょう。人材獲得の競争力を確保するうえでも、業務効率化による柔軟な働き方の実現は必須といえます。

参照:大学生低学年のキャリア意識調査(2021年12月)

 

中小企業が業務効率化を成功させるために必要なこと

今後、中小企業が生き残っていくうえでも欠かせない業務効率化ですが、成功させるためには何が必要なのでしょう。ここでは主な5つのポイントをお伝えします。

 

現状の業務を可視化する

業務を効率化するために、まずはどの業務が非効率なのかを把握しなければなりません。そこで必要となるのが現状業務の可視化です。自社内の全ての業務フローを可視化させ、どこに業務を滞らせているボトルネックがあるのかを明確にします。

その際、部署をまたがる業務についても各部署と連携して必ず可視化するようにしましょう。部署内では問題がない場合でも、別の部署へ担当が移った際に進行が滞ってしまうケースも少なくありません。業務フローを変更することで、各部署でスムーズに業務が進む場合もあるため、忘れずに可視化を行いましょう。

 

業務の優先順位を決める

業務フローの可視化を行って業務を滞らせるボトルネックを洗い出したら、効率化を進める優先順位を決めましょう。優先順位を決めるポイントは、簡単に課題を解消できるかどうかです。

効率化を進めるのであれば、一気に効率化が進む大きなボトルネック解消が重要と思われるかもしれません。しかし、大きなボトルネックは解消が難しい場合が多く、それに手間取り過ぎてしまうと一向に効率化が進まず、計画が頓挫してしまうリスクも生じます。

スムーズに効率化を進めるには、ボトルネックの大きさではなく、簡単にできるものから優先的に解消していくのが良いでしょう。

 

業務範囲を明確にする

業務フローの可視化、優先順位を決めたらすぐに非効率業務の解消を進めるのではなく、業務範囲の明確化を行います。業務範囲の明確化とは、誰がどの業務を行うのかを明確にすることで、無駄な人員配置をしていないか、必要な箇所に必要な人員を配置しているかを確認することです。

場合によってはこの作業だけでも業務改善が進む場合があります。業務範囲の明確化は、適切な人員配置を考えるきっかけを与え、より効率化を進めやすくなる効果があります。

 

ECRS(イクルス)に沿って効率化方法を検討する

ここまで来たら、実際に効率化を進めていきますが、その方法としておすすめなのがECRSです。ECRSとは「Eliminate・Combine・Rearrange・Simplify」の頭文字を取ったもので、それぞれの概要は次のとおりです。

 

Eliminate(排除)

日本語で排除という意味を持つEliminate。業務効率化の目的を明確にしつつ、その中で不要と思われる業務を排除します。効率化を進めるには不要な業務を排除する必要があるため、まずは排除するものを決めます。

 

Combine(結合)

業務の中には、関連性が高かったり似通ったりしているものの、別々に行っている業務も少なくありません。そういった業務は結合してみるのも手です。複数の業務をひとつにまとめることで、ムダな業務の削減や適切な人員配置が実現します。

 

Rearrange(交換)

業務のボトルネックとなるものの中には、やり方自体に間違いはないものの工程に問題がある場合があります。そこで、工程を変えることで効率化を実現するのが、Rearrangeです。現場の声を参考に改めて業務工程の見直しをすることで、大幅な効率化が実現するケースも少なくありません。

 

Simplify(簡略・単純化)

長い間続けていくうちにどんどん複雑化してしまった業務があるのではないでしょうか。これを見直し、簡略・単純化するのがSimplifyです。

例えば、ほとんどミスが生まれない業務であれば確認の回数を減らしたり、工程数の多いツールから少ない工程数で同じ成果を上げられるツールに変えたりといった対策を行います。

 

施策の実施・検証

業務効率化を実現するための施策は、実際にやってみないと成果が出るかどうかが分からないものも少なくありません。そのため、施策は実行して終わりにせず、具体的な検証期間を定め、客観的な効果測定を行い、期待した効果が出ていない場合は改善する必要があります。

施策の実行、検証、改善といったPDCAを回していき、少しずつ目標に近づけていくことが重要なポイントです。

 

中小企業が実施すべき業務効率化アイデア

業務効率化を実現させるためのポイントを説明しました。しかし、実際に複数の業務を結合させたり、簡略・単純化させたりするのは簡単なことではありません。

そこで、ECRSをスムーズに行うための3つのアイデアを紹介します。

 

業務の自動化

業務自動化とは、これまで手作業で遂行していた業務を、ツールを使って自動で行えるようにすることです。

自動化を実践する際に特におすすめなのが、パソコンを使った業務の自動化を実現するRPAツールの活用です。ひとつの部署に限らず、複数の部署にまたがった業務や既存ツールの自動化を実現するため、大きな効率化を可能にします。

 

アウトソーシングの活用

業務を滞らせてしまうボトルネックではあるものの、自社だけではどうしても解消できない場合におすすめなのがアウトソーシングサービスの活用です。

例えば、コールセンター業務をアウトソーシングし、従業員を商品の開発や販売に集中させたり、会計業務をアウトソーシングし、会計部署が経営管理に集中できるようにしたりといったことが可能になります。

 

ムダな時間を減らす

長らく恒例となってしまっていて、ムダだと気付いてはいてもなかなか削れない業務を思い切って減らしてみるのも有効です。

例えば、無駄な会議を減らすことも生産性向上に直結します。具体的には、会議の「目的」を明確にする・会議前にアジェンダ(事前情報)を共有する・会議の資料をオンライン上で共有し、資料準備の手間を省く・本当に必要な人以外は会議に参加させない・参加者は意見、アイデア出しができるよう準備をして主体的に会議に臨むなど、これらを実行するだけでも大幅な効率化が可能です。

 

 

業務効率化を進める際の注意点

ここまで、業務効率化の手順やスムーズに進める方法について説明してきましたが、より高い効果を発揮させるためにはいくつかの注意点があります。ここではその中でも重要な5つについて見ていきましょう。

 

取り組みのビジョンを明確にする

なぜ業務効率化を行うのか、行った結果どのような姿になりたいのかなど、ビジョンを明確にしましょう。目的なく業務の効率化を推進しても、取り組みによって逆に従業員の負担が増えたり、利益につながる活動を削減してしまったりなどのリスクもありえます。

「従業員の負担軽減」「新たなITツール導入による既存ツールの刷新」など効率化に取り組む理由と、「利益率〇%向上」「残業時間〇時間削減」など実際に数字で表せる目標値を決めることが重要です。

 

属人性を排除する

現状の業務を可視化する際、全ての業務フローやツールの扱い方などをマニュアル化し、属人性を排除しなければなりません。これにより、担当者が異動や退職でいなくなってしまっても、変わらずに業務を遂行していくことが可能になります。

 

短期的な経費削減・人件費削減を目的にしない

例えば、業務効率化の最終目標が利益率の向上である場合、短期的に考えれば経費や人件費を削減すればある程度の実現は可能です。しかし、それでは長期的に見れば現場の負担が増えるだけのため、かえって非効率化が進んでしまうでしょう。

例えば、RPAを導入して業務を自動化させたから人が必要ないというわけではなく、その人材はより生産性の高い業務に向けたほうが、長期的には大きな利益を生み出せます。

 

同時に多くの施策を実行しない

業務効率化は一朝一夕で実現できるものではありません。最初から長期的な取り組みとして考える必要があります。

短期間で成果をあげようとして同時にいくつもの施策を実行すると、それぞれの施策にあまり注力できずに失敗に終わったり、実施後に効果検証を行う余裕がなくなってしまったりといった問題につながる可能性があります。

 

効果の出ない取り組みは見直す

計画段階では上手くいくだろうと思った取り組みが、実際には思ったような効果が出ない場合もありえます。その際は無理にやり続けようとせず、見直す勇気が必要です。施策の見直し方法のひとつとして、「問い」が効果的です。「何があればうまくいったのだろう?」と、計画段階の自分に対して問いかけてみると、やっておくべきだった根回しや準備、効果性を上げるためのヒントなど、自分の力で見つけることができます。

初期段階であればあるほど、軌道修正して挽回することも十分に可能です。「初めからうまくいかなくて当たり前」という姿勢で、細かな改善を実施することをスケジュールに組み込み、長期的な視点で取り組むことが業務効率化成功のコツといえるでしょう。

 

中小企業の業務効率化事例

ここでは、実際に業務効率化を実現した中小企業の事例を3つ紹介します。

 

旅館の事例

ITツールの導入や従業員の適切な配置で業務効率化を実現した「京の宿 綿善旅館」の事例を見てみましょう。

同旅館が抱えていた課題と解消策は次の2点です。

 

フロント係と客室係の連携が上手くとれていない

旅館では、お客様がチェックアウトをされた段階で、客室係が部屋の清掃に入ります。以前は客室係がチェックアウトしたかどうかの確認に電話を使っていましたが、フロント係が接客中は電話に出られないため、わざわざフロントまで出向いて確認していました。

この課題の解消策として実施したのが、タブレット端末とLINEの利用です。フロント係が接客の合間にチェックアウト情報を入力し、それを客室係はLINEで確認することで、スムーズに清掃に入ることができ、効率化を果たしました。

 

全社応援体制の実行

旅館には繁忙期と閑散期がありますが、1日の仕事の中でも業務内容によって繁忙時間と閑散時間があります。そこで同旅館では、人手不足解消手段として全従業員のスキルマップを作成しました。

例えば、フロント業務の中でも「接客」「新人教育」「Web管理」など項目を分け、それぞれの社員の得意分野を知ったうえで上手く仕事を割り振ったり、洗い場担当の従業員は食事後以外の時間に手が空いているため、その時間はフロントや客室などのバックオフィス業務を兼任したりといった工夫を行うことで、人手不足解消とともに従業員の閑散時間の有効活用を実現しました。

出典:宿泊業の生産性向上事例報告|公益財団法人日本生産性本部

 

水産加工メーカーの事例

RPA導入により、業務効率化を実現した「株式会社オカフーズ」の事例です。同社では、業務効率化を目的に生産管理業務の自動化を進めるためにRPAの導入を検討していました。

導入の際はRPA運用の外注も検討したそうですが、業務手順の変更の際にやり取りをする手間が増えることや、RPA運用のナレッジが蓄積されないなどの理由で、RPAの内製を決めました。

同社にはIT専任者はいなかったものの、プログラミングの適性がありそうな従業員数名をオンライン講座に参加させ、実践レベルにまで引き上げ内製を実現。結果的に年間200時間以上の作業時間削減を実現しました。

参照:SHINKA通信Newsletter – オカフーズ

 

訪問介護事業の事例

3つめは訪問介護業務をアプリとペーパーレス化で効率化した「さざんか」の事例です。同社では、登録ヘルパーの管理業務を行う際、各ヘルパーとの情報共有をするための提供記録の管理に大きな負担を感じていました。

そこで、まずは提供記録の電子化を実施。そのうえで登録ヘルパーとの情報共有をアプリで行うように変更しました。被介護者の状況をアプリに入力するだけで、管理者と情報共有が大幅に効率化し、管理者の負担も大きく解消されました。

出典:訪問介護の業務連絡がこんなに便利に─スマホで使えるアプリの効果|COMPASS ONLINE

 

 

まとめ

古くからの慣習や企業文化などもあり、業務フローを大幅に変えたり既存ツールを一新したりすることはなかなか踏み出すのが難しいでしょう。しかし、深刻な人材不足や競合のIT化が進む中、現状のままで生き残っていける保証はありません。

また、非効率な業務があることが分かっていながら、そのまま放置していれば、その負担は現場にいる従業員にかかり、離職率の増加リスクも生まれてしまいます。そうしたリスクを回避するためにも、まずは現状業務の可視化から始めてみてはいかがでしょうか。

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