RPAとは?自動化できることを増やそう
RPAとは「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略称であり、人がパソコンで行っている定型作業を、ソフトウェアロボットに操作を覚えさせることで自動化を実現するITツールです。従来は、人間だけが対応できるとされていた作業を、実施できるようになります。
RPAの効果、注目されている理由
RPAの効果や注目されている理由について、ここでは4点に絞って解説します。
業務効率化・生産性向上
RPAにより、パソコン上の単純な定型業務を自動化すると、人間の判断や想像、分析が必要な作業にリソースを集中させることができます。定型業務を自動化すれば、従来よりもコア業務に専念できるため、収益の向上も期待できるでしょう。
労働環境改善・従業員満足度向上
従業員の作業時間が減れば、時間外労働を抑えることができるので、働き方改革にもつながります。そのほか、集中力を奪う繰り返し作業や単純作業をRPAで代替することで、精神的なプレッシャーからも解放されるでしょう。コロナ以降は、リモートワークの推進で活用されることも多くなっています。
ヒューマンエラーの防止
転記作業、集計作業など、人の手による定型業務ではミスがつきものです。RPAは設定した通りに動くため、ヒューマンエラーの発生を防止できます。
コスト削減
スケジューラーなどの機能を使えば、深夜、休日でも稼働させることが可能です。そのため、残業や期間労働、アウトソースなどの費用が発生している場合は、人件費削減につながる効果も期待できるでしょう。
RPAの種類
RPAには、サーバ型、デスクトップ型、クラウド型があります。それぞれの特徴は以下をご覧ください。
- サーバ型:自社でサーバを用意して大規模に導入できる。高速大量処理に強いが費用が高額になる。
- デスクトップ型:個人のパソコン上で動作するため小規模からの導入ができる。属人化しやすい傾向がある。
- クラウド型:ベンダーのサーバを利用するためコストを抑えて導入できる。クラウド上で利用しないシステムには活用できない。
以上のようにRPAの種類によって特徴やできることとできないことがあるため、自社の現状や希望に応じて検討する必要があります。
RPAでできることとは?
RPAによってさまざまな効果が見込めます。ここからはより具体的に、RPAでできることとできないことをご紹介しましょう。
ルールが決まっていて判断が要らない作業の自動化
RPAにできることの1つ目は、ルールが決まっていて、判断が要らない作業の自動化です。RPAは、あらかじめルール化された手順を設定しておくことで、その通りに作業を実行するため、人の判断が不要な定型作業の自動化は、RPAの得意分野の1つでもあります。
定期的に実施する作業の自動化
RPAにできることの2つ目は、定期的に実施する作業の自動化です。定期的に実施する作業も、手順が固まっていれば、RPAで業務自動化することができます。
RPAの種類によっては、日次・週次・月次など、決まったタイミングで作業を実行する「スケジュール登録機能」が搭載されており、実行するタイミングを登録することが可能です。実際の運用場面をイメージした時に、業務実行時のRPA起動に手間を感じたり、実行忘れのリスクを感じる場合は、「簡単な操作でスケジュール登録ができるRPAであるか」という観点も事前にチェックしておくと運用開始時のつまずきをなくすことができるでしょう。
大量のデータ処理が必要な作業の自動化
RRAにできることの3つ目は、大量のデータ処理が必要な作業の自動化です。RPAによってシステム内、データベース内、インターネット上などから大量のデータを収集したり、そこで取得したデータをコピーして社内システムにデータ入力したり、マクロのようにデータ操作の処理を覚えさせて再現することができます。こちらもあらかじめ処理(抽出)する内容を決めておくことで作業の自動化が可能です。
RPAにできないこととは?
RPAによって作業の自動化を実現することは、企業にとって大きなメリットになります。しかし、RPAはどのような業務にも対応できるわけではありません。
以下で、RPAにできないことをご紹介します。
手順が複雑・決まっていない作業
手順が複雑だったりルールが決まっていなかったりする作業は、RPAで自動化することができません。RPAはルールに従って作業をするロボットといえるため、あらかじめルールとして設定されていない作業には対応できないのです。
また、手順が複雑な業務に関しても、設定が複雑になりすぎてしまうため、RPAを使った自動化には向いていません。しかし、作業工程毎に部分的に自動化することで、一定の効率化を実現できるケースもあります。
思考や判断が必要になる作業
RPAは、人間のように思考や判断が必要な作業にも対応できません。現在のRPAは、問題解決のためのアプローチやプロセスを判断することができないのです。
ただし、今後AIなどの活用が実現すると、思考や判断を伴う作業ができる可能性があります。
RPAで作業を自動化した具体例8つ
ここからはRPAで作業を自動化した具体例をご紹介します。実際の事例に触れることで、RPAに関するイメージがわくでしょう。
問い合わせ対応の自動化
メールやフォームからの問い合わせの返信や入力、共有を自動化した事例があります。問い合わせは、返信内容が決まっているときはRPAでも対応することできます。
質問内容ごとに返信の内容を設定しておくことで、対象となるメールが送られてきたときに自動で返信ができるようになるのも魅力です。場合により、問い合わせ内容をExcelなどに転記して、チームや部署で共有することもできるでしょう。
勤怠管理の集計作業
勤怠管理には、集計や確認など、時間のかかる作業が多く存在します。ただ集計するだけでなく、打刻漏れや休暇申請などの確認もしなければなりません。しかし、RPAを導入すれば、勤怠管理システムと連携し、自動化することで、集計や確認作業を手作業でおこなう必要がなくなります。
在庫管理
在庫管理は、入力作業や確認作業が多いため、工数が多くなってしまい、ミスが発生しやすい業務です。しかし、RPAを導入すれば、納品書のチェックや、在庫管理システムへの入力を自動化することができます。業務効率が上がるのはもちろん、人的ミスの削減にもつながるでしょう。
メールの自動振り分け
RPAは、メールの自動振り分けもおこなえます。従来は、メールを1通ずつ確認し、適切な文面や資料を添付して送信していた作業も、事前に指示を設定しておけば、メールの振り分けや送信作業の自動化が可能です。
データの転記
RPAと既存のシステムを連携させることで、自動的にデータの転記をおこなうことができます。データの転記作業は、人の手でおこなうと時間がかかる上、ミスも発生しやすい作業ですが、RPAによって自動化することで、業務効率を上げると同時に、人的ミスを防ぐことも可能です。
システムやWebシステムへの入力処理を自動化
Excelやスプレッドシートのデータを、システムやWebシステムへ入力する作業を自動化することができます。データの転記と同様に、多くのデータを人の手で入力すると、時間がかかる上、人的ミスも発生しがちです。しかし、RPAを導入すれば、入力処理を自動化できるため、手間を省きながら、人的ミスを防ぐことができます。
競合のWebサイトから情報を取得
RPAのできることはまだあります。競合の情報をWebサイトから収集しているときは、RPAに任せるのが有効です。キーワードなどを設定しておくと、関連する情報を瞬時に集めることができます。さらに集めた情報の転記や保存までRPAに任せることが可能です。
請求と入金の照合
請求データと入金データの照合作業もRPAで自動化できます。従来は、担当者が入金データをExcelに転記、さらに請求データも転記して両者に相違がないかを目視で確認していたでしょう。
これらはRPAツールによって全ての工程を自動化することが可能です。請求と入金のデータに相違があった場合は、アラートが送信されて担当者が確認できる仕組みになっています。
RPAの導入を成功させる5つのポイント
RPAの導入は、単にツールやシステムを取り入れればよいわけではありません。成功のためには、ポイントを踏まえて段階的に取り組む必要があります。ここからはRPAの導入を成功させる5つのポイントを解説しましょう。
RPAを推進する人材を選定する
RPA導入を成功させるには、社内で導入を推進する人材が必要です。システムやツールに精通した人材がいると比較的RPAの導入がスムーズに進むでしょう。
また、RPAの導入にあたっては、各部署の現状を把握しながら進めるために、各部署からメンバーを選抜して、プロジェクトチームを立ち上げることが望ましいです。仮に、社内にRPAの導入に精通した人物がいない場合は、ITスキルが高くない現場でも活用できるRPA製品を選ぶことをおすすめします。新たに採用する、もしくは外部委託で進めつつ社内のメンバーが関与していくという方法も考えられますが、どうしても時間がかかってしまうことが難点です。もちろんRPAの導入に関しては人材の選定や採用だけではなく、教育を実施することでより成功に近づきます。
RPA導入の目的を共有する
幅広い部署で効率的に活用するためには、全社で導入目的を共有することが重要です。RPAの導入に対して、一部の部署だけが積極的な姿勢であってもうまく進みません。どの社員も、自分に関係することと捉え、導入を進める必要があるでしょう。
自社に合ったRPAツールを選定する
近年、RPAツールが幅広く提供されています。無料で活用できる製品から有償のサービスまで、ツール選びに迷うかもしれません。ツール選びでは、自社が求める作業がこなせるかどうかをよく考えてみてください。
自社に最適なツールを選ぶためには、自動化したい業務を事前に洗い出し、業務に対応しているツールを選ぶようにしましょう。費用にも着目しながら総合的に検討してください。
スモールスタートで導入する
RPA導入の際は、スモールスタートがポイントです。作業が自動化できる魅力から「一気に社内業務を自動化させよう!」としても、一部で不具合が発生すると全社的なトラブルとなってしまいます。また、焦って導入を進めると失敗する可能性もあり、一度失敗するとRPAに対して社内で悪いイメージが付いてしまうおそれがあるでしょう。
そのため、RPAのできることやできないことを精査し「まず経理部門の請求書作成から自動化しよう!」など、段階的にRPAを導入することが大切です。スモールスタートで導入を進めて、効果が出たら徐々に対象範囲を広げてください。
導入効果を測定する
導入効果を測定することを忘れてはなりません。導入前後で作業時間がどれだけ削減できたか、ミスがどれだけ減ったかなどを検証してください。
また、数値では見えない部分の効果測定も行う必要があります。RPAには導入後に、従業員の作業負担が軽減したことで、従業員満足度が向上しているなどの効果もあるからです。従業員にアンケートなどを実施してみると結果が分かりやすいでしょう。
目的にあったツールを選ぼう!RPAツールの種類とは
RPAツールには、3つの種類があります。自動化したい業務に適したツールを選ぶことが大切です。次はRPAツールの種類について解説します。
汎用型
汎用型とは、あらゆる業務に対応できるRPAのことです。自動化に関する細かいシナリオを作成することで、幅広い業務に対応することができます。
サーバー型
サーバー型とは、サーバーにインストールするRPAのことです。大量のデータと自動化するルールを一括管理する際に適しています。同時に複数のパソコンでRPAを稼働させることができるため、さまざまな業務を自動化するのに向いているタイプです。
特化型
特化型とは、勤怠管理や会計処理やメール業務など、特定の業務に特化したRPAのことです。汎用性は低いですが、一連の業務がパッケージかされているため、細かい設定作業が不要で、すぐに運用できるメリットがあります。
導入しやすいおすすめRPAツール3選
RPAツールを選ぶときは、以下のツールがおすすめです。いずれも導入しやすい点がメリットとなります。それぞれの特徴を理解して、ツールの導入に活用してみてください。
WinActor
WinActorはNTT DATAが提供するRPAツールです。Windows上で操作が可能なアプリケーションや、個別の業務システムを利用した業務を、ワークフローとして自動化していきます。パソコン1台からサーバまで動作可能であり、さまざまな規模に対応可能です。
UiPath
UiPathは国内外問わず利用されているRPAツールです。Windows上の操作を自動化できるなど、各種作業に対応しています。日本語対応、無料版の提供(お試し利用)など、導入する際のハードルも低めです。ある程度のITスキルは必要なので注意しましょう。
ロボパットDX
ロボパットDXは「エンジニアに依存しない現場で活用できるRPA」をコンセプトにしたRPAツールです。日本企業のDXを力強く推進することも目的としており、現場での実務サポートに定評があります。
基本的にマウスとキーボードで操作できることは全て自動化できるため、多岐にわたる業務に対応可能です。
まとめ
RPAの導入によりさまざまな作業を自動化することができます。しかし導入のポイントや有効なツールが分からないままでは、上手く進めることができません。まずはRPAができることとできないことを知っておく必要があるでしょう。
導入しやすいツールも取り上げましたので、今後のRPAの導入に活かしてください。
また、本記事ではRPAやDX推進の第一歩として「ロボパットDX」をご紹介しました。ご興味のある場合は、ぜひ以下よりお気軽にお問い合わせください。無料トライアル期間もありますので、まずは使用感や機能などを体験してみてはいかがでしょうか。