生産性とは何か
生産性とは、一定の労働量(インプット)が生み出す成果(アウトプット)のことです。
例えば、1時間で100個のパーツを生産できるラインがある場合、100個/時間、800個/日、4,000個/週などがそのラインの生産性といえるでしょう。
なお、総務省や厚生労働省、内閣府は、生産性を以下のように定義しています。
生産性を定量的に表す指標の一つとして「労働生産性」が挙げられる。労働生産性は、一定の労働投入量(労働人員数・労働時間数で表される総量)が生み出した経済的な成果(付加価値額)である
「生産性」は、一言でいえばモノやサービスなどの価値をどれだけ少ない労力や資源の投入によって効率的に生み出しているかという指標です。
「生産性」にはいくつかの種類がありますが、一般的には、「付加価値労働生産性」のことを指します。
この「付加価値労働生産性」とは、労働者1人あたり(または労働者1人が1時間あたり)、どれだけの付加価値を生み出したかという数字です。
出典:厚生労働省/生産性の向上
労働生産性は労働投入量1単位当たりの産出量を示す指標である。労働投入量とは労働時間を勘案した延べ雇用者数や就業者数、産出量には付加価値額を用いることが一般的である。しかし、地域別、産業別に労働生産性を計測する場合には、労働時間に関するデータの制約等から、単に就業者一人当たりの付加価値額とする場合も多い。
生産性を向上するメリットとは?
生産性の向上を実現することで、企業は多くのメリットが得られます。本章では、生産性向上によって得られる代表的なメリットを4つ紹介するので確認しておきましょう。
人手不足問題への対策
生産性の向上を実現することで、人手不足問題の解決につなげることが可能です。
少子高齢化の影響によって、多くの企業が労働力不足に悩まされています。採用活動においても、求職者の売り手市場になっていることで、優秀な人材の確保が困難な状況です。
生産性の向上を実現することによって、スタッフ一人ひとりが成果を最大限に発揮できるようになれば、限られた工数であっても利益を生み出し続ける組織をつくることができるようでしょう。
働き方改革の実現
生産性を向上することによって、働き方改革の実現につながる点もメリットです。
生産性を向上することで時間あたりの成果が増えるということは、同一の業務量であれば、工数がいくらか削減できることになります。その結果、スタッフの負担軽減や残業短縮につながるため、ワークライフバランスの改善が期待できるでしょう。
ワークライフバランスが改善されることで、スタッフのモチベーションや会社へのエンゲージメント強化につながり、離職率の抑制にも役立ちます。
企業の競争力向上
生産性の向上は、企業の競争力向上にもつながります。
競合他社より規模が小さい企業でも、生産性が向上し同等以上の成果を上げられれば、十分市場で戦っていくことが可能です。また、生産性向上によって空いたスタッフの工数を、コア業務やこれまで取り組めなかった業務などに投入することで、新規事業やサービスなどの展開が可能になるため、企業の競争力をより高められるでしょう。
今までどおりに作業をこなしているだけでは、競合他社に勝つことは困難です。生産性向上によって、差別化できる強みを生み出すことが、競争力の向上につながります。
コストの削減
生産性を向上することによって、コスト削減を実現できる点も大きなメリットです。
生産性の向上が実現されるということは、同一業務量における人件費や原材料費などの抑制の実現ともいえます。したがって、生産性の向上をすればするほど、さらなるコスト削減につなげることが可能です。
また、生産性の向上によって浮いたコストを、別の事業などに投資することによって、会社全体の生産性向上も期待できるでしょう。
生産性を上げる7つの方法
生産性を上げる方法にはさまざまな種類があります。本章では、多くの企業に共通する生産性を上げる方法を7つ紹介するので、ぜひ実践してみてください。
現状の課題発見
生産性を上げる方法の1つ目は、現状の課題を発見することです。自社内の業務を棚卸しして、可視化に取り組んでみましょう。そうすることで、業務を構成するタスクを簡単に把握しやすくなります。そして、それぞれの業務で課題になっている部分をリストアップします。
このとき注意しなくてはいけないポイントが、経営層や各部門の管理職だけでなく、現場のスタッフにもきちんとヒアリングをすることです。あらかじめ質問項目を整理しておき、できるだけ多くのスタッフにヒアリングを行い、それぞれの課題や何が原因で業務がスムーズに遂行できていないのかを特定しましょう。
自社の抱える課題の解決に向けて効果的な取り組みをするためには、課題の本質を捉えることが不可欠です。中途半端な情報しか集まらない場合には、課題の真因が見つからず、生産性が大きく上がらない可能性があります。とはいえ、情報収集にかける時間は限られていると思いますので、「80:20の法則」の視点で業務の勘所となる2割を見極め、優先順位を決めてから棚卸しをするのがポイントです。
既存業務の改善
自社内の業務と課題の棚卸しが終わったら、次は既存業務の改善に取り組みましょう。
まず現状の業務フローを見直し、無駄なものや重複しているものなどがないか確認します。また、非効率な方法で実施している業務があった場合は、やり方を変えるか何らかの改善を実施しなくてはいけません。
慣例的に行っている業務の中には、本当は必要のない業務が存在することもあります。既存業務の改善に取り組む際には、業務本来の目的に立ち返り、業務フローを根本的に見直す視点を持つことが必須です。
ITツールの導入
ITツールの導入によって生産性が向上するケースも多いです。近年、テクノロジーの発展がめざましく、業務効率化に役立つさまざまなITツールが提供されています。ITツールによっては、常にバージョンアップが行われ、導入時には存在しなかった機能が知らないうちに搭載されていた、ということもあり得ます。
例えば、RPA(Robotic Process Automation)を活用することで、スタッフがパソコンで行っている定型業務や定期的に行っている単純作業をを自動化することが可能です。また、AI-OCRと呼ばれるITツールと併用すれば、紙やFAXの請求書、領収書をデジタル化し、対応にかかる工数を削減することができます。
自社の課題が可視化できている場合は、問題を解決できるITツールを探して導入してみることで、生産性を上げられる可能性が高いでしょう。新たにITツールを導入する際は、本利用のタイミングで失敗に気づくという事態を防ぐために、無料トライアルなどを通じて実際に製品を触る機会を数週間~1ヶ月ほど設けることをおすすめします。
人材配置の見直し
生産性を上げる方法の4つ目は、人材配置の見直しです。
生産性が上がらない理由が特定のスタッフにある場合、配置や役割の変更を柔軟に行う必要があります。スタッフにはそれぞれ得意・不得意な業務がありますし、業務の向き不向き、チーム内でのコミュニケーションの取りやすさなどもあるでしょう。
そのため、スタッフにアンマッチな業務を遂行させても、高い成果を上げられる可能性は低いので、適材適所の人材配置を行うべきです。
従業員のスキルアップ
従業員のスキルアップは、そのまま生産性の向上につながります。業務遂行に必要な能力が向上すれば、各スタッフが時間あたりに行える業務量や質を向上させることが可能だからです。
例えば、業務ツールに不慣れなスタッフが、効率的な使い方をマスターできれば、生産性が向上することは明白でしょう。
前述したように、労働力不足によってスタッフの生産性向上が必須なので、各自がスキルアップできるような仕組み作りが非常に重要です。社内の人材育成制度の見直しや、研修の受講、スタッフ間の勉強会などを実施して、生産性向上につなげましょう。
ノウハウの共有
ノウハウの共有を適正化することも、生産性の向上に直結します。業務を棚卸しして、ワークフローの改善ができたら、効率的な業務の進め方をマニュアル化しておくことで、誰が担当しても同等の成果を得やすくなるでしょう。
ノウハウを蓄積する場合は、マニュアル化や動画化、社内掲示板などを活用してきちんと明文化しておくことが必須です。ノウハウの口頭伝承が常態化すると、業務が属人化し生産性が下がるリスクにつながります。
誰が見てもすぐに業務のやり方を理解できるようなマニュアルが整備できれば、業務の質が均一化されますし、仮にミスが発生してもすぐに軌道修正できますので、生産性の向上が期待できるでしょう。
アウトソーシングの活用
7つ目の生産性を上げる方法は、アウトソーシングの活用です。業務をアウトソーシングすることによって、空いたスタッフのリソースをコア業務に集中させることが可能になり、結果として生産性の向上につなげられます。
例えば、ほとんどの企業が行う経理業務やコールセンター業務などを、丸投げできるサービスが多く提供されているので、有効活用するべきでしょう。また、ITが得意なスタッフが少ない企業は、システムの開発やメンテナンスなどをアウトソーシングできます。
自社のスタッフだけで全ての業務を行う必要はありません。不得意な業務は、得意な企業に積極的にアウトソーシングすることがおすすめです。自社でしか実施できない業務に集中することで、生産性を上げて競争力を高められます。
生産性を上げる方法に取り組む際に意識すべきポイント
生産性を上げる方法を実践する際には、以下4つのポイントを意識しましょう。それぞれの内容について解説します。
目標を明確に設定する
生産性を上げるためには、目標を明確に設定することが大切です。ただ漠然と「生産性を上げる」と掲げても、大きな成果は期待できません。「生産性」という言葉は、スタッフや部署ごとに異なるからです。
例えば、「1月あたりの生産量を2倍にする」「○○の業務にかかる工数を半分にする」など、できるだけ具体的な目標にして、スタッフ全員で共有しましょう。取り組むべき目標が可視化されることで、実現するための最適な方法を検討できます。
改善状況を数値で管理する
生産性を上げる方法を実施する際には、改善状況を数値で管理しましょう。数値で管理することによって、成果の良し悪しが可視化され、誰にでも成否が判断できるようになるからです。
例えば「業務量に対する工数が2時間から1時間」「生産量が500個/時間から800個/時間」など、できるだけ多くの要素を数値化して管理することがポイントです。目標の数字と照らし合わせることで、生産性向上プロジェクトの進捗状況も可視化できます。
トライアンドエラーを重ねる
生産性を上げる方法を実施する際には、やりっぱなしは厳禁です。必ず振り返りを行い、PDCAサイクルを回しながらブラッシュアップしていきましょう。
週次や月次で結果を確認し、目標通りの成果が上がっているか確認します。進捗が思わしくない場合は、原因を特定して施策の内容を改善しなくてはいけません。
生産性を上げる方法を実施したからといって、すぐに成果が上がるとは限らないので、結果を常にウォッチしながらPDCAを回せる体制の構築が必須です。
個別最適ではなく全体最適を優先する
生産性を上げる方法を実施する際には、部署やチームなどのレベルで業務を全体最適できるように心がけましょう。ある特定スタッフや部門の生産性だけが上がっても、ほかのスタッフや部門がそうでない場合は、会社としての全体最適につながらず、大きな効果が期待できない可能性が高いからです。
個人の業務や部署ごとの都合ばかりを優先すると、全社的な視点において、無駄や非効率な部分が散見されるケースが多くなります。全社的に生産性が上がらなければ、市場における競争力の強化につながらないことを肝に銘じておきましょう。
まとめ
働き方改革を進め生産性を上げる方法として、以下の7つをご紹介しました。
- 現状の課題発見
- 既存業務の改善
- ITツールの導入
- 人材配置の見直し
- 従業員のスキルアップ
- ノウハウの共有
- アウトソーシングの活用
ただし、生産性を上げる方法を実践する際には、目標を明確に設定し、改善状況を数値管理することが大切です。また、トライアンドエラーを繰り返すことや、個別最適ではなく全体最適を優先することも忘れてはいけません。
なお、生産性を上げる方法のひとつとして、RPAの活用もおすすめです。RPAで業務を効率化・自動化することによって、スタッフの負荷や残業の抑制につながります。これまで手をつけられなかった業務改善やコア業務などに、リソースを割けるようになるので、貴社の生産性向上の実現に近づけるでしょう。
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