RPAとは?
そもそもRPAとは、Robotic Process Automationのそれぞれの頭文字を取ったもので、データの入力、集計、メール送信、経費・給与計算などもいわゆるホワイトカラーのバックオフィス業務を自動化し、効率化を図るためのツールです。
パソコンで行うあらゆる業務の自動化が可能なうえ、既存の商品管理、顧客管理、営業管理などのシステムと連携を図れるため、大幅な業務時間の短縮、生産性向上が実現します。
RPAの導入は徐々に進んでいる
ホワイトカラーの業務効率化、生産性向上に大きな効果を発揮するRPA。では現状、どれぐらい普及が進んでいるのでしょう。2020年1月27日、MM総研が発表した「RPA国内利用動向調査」の結果から見ていきます。
2019年11月時点でのRPA導入率は38%。この数字だけを見ると少ないように感じるかもしれません。しかし、2018年6月時点での導入率は22%ですから、わずか約1年半で16%も上がっています。さらに企業規模別で見ると、年商1,000億円以上の大手企業の導入率は51%と2社に1社以上がRPAを導入。これも2018年6月時点では27%だったのを見ると、ここ1年半の間に大きく普及が進んでいるといえるでしょう。
また、現在はまだ導入していないものの、今後、導入を検討している企業も全体では37%、大手企業では30%、そして中堅・中小企業では44%となっています。この結果から今後、さらにRPAの導入は進んでいくと考えられます。
RPA導入・運用における課題とは?
順調に普及が進むRPAですが、導入したすべての企業がRPA本来の力を最大限に活用しているかといえばそうでもありません。その理由はいくつか考えられますが、そのなかでも導入時、運用時に起こりがちな課題としては具体的に次のような点が挙げられます。
RPAが自社でどう使えるのかわからない
導入時によく起こりがちな課題です。RPAの普及が進み多くの企業で導入が進んでいるという情報を元に自社でも導入したものの、そもそも、RPAが自社でどう使えるのかわからないといったものです。
この課題のポイントは2つあります。1つは自社が抱える問題点、課題点を把握していない点。そしてもう1つはRPAにもさまざまな種類があることを把握していない点です。
これまで説明しているようにRPAは主にホワイトカラーのバックオフィス業務を自動化し、業務時間の短縮を行うものです。しかし、一口にバックオフィス業務と言ってもその種類はさまざまなうえ、企業によってどのバックオフィス業務がボトルネックになっているかは必ずしも同じではありません。
そのため、自社のボトルネックとなっているバックオフィス業務が何であるかを把握していなければ、どこにRPAを活用すべきかもわからないでしょう。
2つ目のRPAの種類ですが、現在、多くの企業からRPAが販売されています。基本的な機能は変わらないかもしませんが、それぞれ独自の特徴もあり、どのRPAを使っても同じ効果が出るとは限りません。この点を把握していないと、とりあえず導入したものの、自社には合わないといったことにもなりかねないでしょう。
RPAの設定ノウハウがない
自社の問題点、課題点が明確になっている場合でも、RPAが効果的に活用できない場合があります。それはRPAの設定ノウハウがない場合です。いくつか
のRPAはその設定にプログラミング言語を使う必要はないため、社内にプログラマーがいなくても、比較的簡単に設定が可能になってます。
しかし、それでもRPAによってそれぞれ設定方法があり、それを把握し思うように設定するノウハウがなければ、業務自動化は果たせません。この部分を理解せず、RPAはプログラミングする必要がないという情報だけで導入してしまうと、初期段階でつまずいてしまい、その後も活用しなくなってしまうといったケースも少なくありません。
RPAのトラブルが多発する
導入後の運営段階においてもいくつかの課題があります。その一つとして挙げられるのが、RPAを過信し過ぎてしまい起こるトラブルです。RPAが多くの業務を自動化させられるのは確かですが、それを設計するのはあくまでも人間です。
そのため、業務内容をよく把握していないものがRPAの設定をしてしまい、複数システムの連携がうまくいかなくなってしまう、必要以上に自動化を進めてしまい、システム障害が起きた際にそれらの業務が滞ってしまうなどが考えられます。
また、RPAの特性を理解していないものが設定を行ってしまい、ロボットが誤作動を起こしてしまう、予期せぬ行動をする、いわゆる野良ロボットが発生してしまうといったトラブルもよく起こりがちです。
これらのトラブルが多発してしまうことで、RPAは業務効率化を果たせないといった烙印を押されてしまい、効果が発揮できないまま、使われなくなるケースもありえます。
継続的にRPAをメンテナンスできる人材の不足
前述したようにRPAは特にプログラム言語を扱える必要はないものの、ある程度のITリテラシーを持ち、RPAの特徴を把握した従業員がいないと何か起きた際の修正ができません。
そのため、RPAの設定を行った従業員が退職や異動で離れてしまうと、トラブルが起きた際にメンテナンスができずそのまま使えなくなってしまう可能性があります。
また、業務が自動化されるとそのままその業務は放置してしまいがちですが、組織変更やシステムの入れ替え時にはRPAの設定も変更しなくてはなりません。しかし、元々、手作業でやっていた頃の手順、自動化の設定などがわかる従業員がいなくなると、この設定変更もできなくなってしまいます。
特定部署での活用にとどまる
プログラム言語の習得は必要ないものの、一定のITリテラシーは欠かせません。そのため、そうした従業員がいる部署では、積極的にRPAを活用しますが、それ以外でITリテラシーの持った従業員がいない部署では扱うことができません。本来は自動化が必要であるにもかかわらず、正しくRPAを扱えないために特定の部署だけの活用にとどまってしまうのも運用の課題としてありがちです。
ほかの部署でもITリテラシーを持った従業員が設定すれば問題ないのではと思われるかもしれません。しかし、ITリテラシーはあっても、他部署の業務の流れは把握していないため、うまく連携を取れず設定ミスを起こし、誤作動を起こすリスクがあります。
短期間での結果を求めてしまう
多くの企業ではRPAを導入し、業務の自動化を図ればすぐに効果が表れると思いがちです。しかし、実際にはさまざまな方法を試し、PDCAを回していく必要があります。
自動化が必要だと思った業務も自動化させることでかえって周辺業務の手間が増えた、手作業で問題ないと思っていた業務を自動化させると業務効率が向上したなど、想定したものと実際とでは異なる結果が出る場合も少なくありません。そのため、RPAの導入、運用は中長期的な視点で行わないと、失敗したと思って活用をしなくなってしまう場合があります。
RPAの各種課題、解決方法は?
前項でRPAを導入、運用時によく発生しがちな課題点を紹介しました。ほとんどのケースがRPAを理解していないことによるものですが、これらの課題点を払拭し、効果的に活用するためにはどういった対策が必要なのでしょう。ここでは、4つのポイントを紹介します。
RPA導入目的の明確化
どんなに便利なツールであっても、利用目的が明確でなければ十分な効果を発揮させられません。RPAの機能を最大限に活用するためには、自社の課題を洗い出し、そのなかで自動化させられるもの、させられないものの振り分けを行います。
次に自社の業務で自動化させるうえで、最適なRPAの選択を行い、実際に導入をします。このように導入ありきではなく、自社の課題、目的を想定したうえで決めることで、RPAの機能を最大化させられるようになります。
ベンダーによるコンサルティングや代行
RPAを導入する目的の多くはバックオフィス業務を効率化させることではないでしょうか。しかし、RPAの設定やメンテナンスに多くの時間が割かれるようでは本末転倒です。そこで、この課題点を解決する対策として有効なのがベンダーへのコンサルティングや代行依頼です。
自社にはITリテラシーを持った従業員がいるから必要ないと思われるかもしれませんが、ベンダーに設定やメンテナンスを依頼すれば、その従業員も本来の業務に集中でき、業務効率はさらに向上します。
また、外部に設定やメンテナンスを依頼すると、自社にノウハウが残らないといった別の課題が生まれかねません。そこで、まずは経験豊富なベンダーにコンサルティングを依頼し、設定、メンテナンス方法を学べば、ノウハウを残しつつ、効率的にRPAの設定も行えるようになります。
RPA活用の教育制度
RPAの活用は設定やメンテナンス以外に、作業時にも一定のITリテラシーが必要です。もちろん、ほとんどの操作はパソコンを操作できれば可能なものばかりですが、そもそもITツールの活用にアレルギーを持った従業員にとっては慣れるまでに時間を要します。
そこで、RPA活用のための教育制度を導入し、誰が扱ってもすぐに操作ができるようにする必要があります。従業員のなかにRPA活用に慣れているものがいれば、社内で講師をまかなえますが、より効率的に行うには、前項で挙げたようにベンダーに依頼するのがよいでしょう。
運用ルールの策定
RPAはパソコンで行えるほとんどの業務を自動化できますが、特に得意とする分野は、一定の手順によるデータ登録や複数システムの連携です。
また、業務効率化を実現するには、単純ではあるもののミスは許されないものや深夜、休日、繁忙期に作業が発生、集中する業務にも適しています。そのため、自社が抱える課題のなかでも、これらRPAが得意とする業務を中心に運用するようなルールの策定を行います。
さらに、RPAの設定に関しても、RPAに任せたい業務を申請するためのフォーマット作成、設定、メンテナンスを行う従業員の資格制定、トラブル発生時の対応なども明確にルール設定を行っておくことで、スムーズな運営が可能になります。
社内で活用を広めるための工夫
RPAはまだまだ新しいツールのため、経営層を含め、すべての従業員が導入後すぐに積極的に活用していけるとは限りません。そこで重要なのは新しいツールに対して抵抗層や拒否層、懐疑層、模索層が多い部署にも一気に導入するのではなく、積極的に活用したい部署で成功事例をつくることです。
そして、次には比較的、巻き込みやすい模索層の部署に広げ、また成功事例をつくる。この繰り返しを行っていけば、抵抗層、拒否層が多かった部署でも少しずつ活用してみようといった感情が生まれ始めます。
そうした流れをつくり、多くの成功事例が生まれれば、後は自然と活用の輪が広がっていき、全社を巻き込んでRPAを積極的に活用しようという環境ができあがるでしょう。
サポート体制がしっかりしたRPAツールを使うのがおすすめ
今回、RPAの導入、運用時の課題点とその解決方法について見てきました。
最後に自社に最適なRPAを選択するためのポイントを2つ紹介します。
・コスト削減を意識し過ぎない
RPAは種類にもよりますが、それなりの機能を求めれば価格もそれなりのものになります。そのため、どうしてもそのコストを回収しようとコスト削減ばかりを意識した活用になってしまいがちです。
そもそも、RPAは導入することでコストカットに直結するようなツールではありません。コストカットにつながるのは、RPAで自動化した作業に充てていた人員をカットしたり、外注していた作業をRPAで自動化したりといった場合に限られます。
そのため、コスト削減ばかりを優先するとRPAの効果を最大限に発揮させられなくなる場合があります。RPAによって作業を減らし、空いた時間を別の領域に充ててさらに生産性を高める、という視点を持って活用していくことが重要です。
・ベンダーの選択を慎重に行う
買取型にするのか、サブスクリプション型にするのか、従業員に対する教育、導入支援などのサービスはあるのか、サポート体制やこれまでの導入実績はあるのかなど、RPA導入、運用していくうえで、ベンダーの選択は非常に重要です。
現在、さまざまなベンダーがRPAを発売していますが、選択の際、特に注目すべきはサポート体制が万全かどうかです。RPAの活用は企業によって異なるため、何かあった際にすぐサポートしてもらえる体制が整っているかは、効果的な活用に大きく影響します。
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