働き方改革とは?
世界に類を見ないスピードで少子高齢化が進む日本では、世界に先駆けて15歳から64歳のいわゆる生産年齢人口の減少が始まっています。2018年9月、経済産業省が発表した「2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について」を見てみましょう。
1990年代の生産年齢人口は日本全体の人口の約70%を占めていました。しかし、その後減少を続け、2015年に60%を割り込み、2050年にはほぼ50%にまで減少すると予測しています。
この現状を打破すべく、当時の首相であった安倍晋三氏は、「一億総活躍社会」の実現を目指し、政府として働き方改革の推進を始めたのです。
働き方改革とは
働き方改革とは、「少子高齢化に伴う労働力不足」「育児や介護との両立など、働く人のニーズの多様化」といった課題を解決する手段として考えられたものです。働く人が置かれている個々の事情に応じて、多様な働き方を選択できる社会の実現、一人ひとりがより良い将来展望を持てるようにすることを目指しています。
具体的には、次の3つを柱として、働き方を改革していくために法制化されました。
労働時間の是正
多くの業種で人手不足が慢性化しているため、労働者一人ひとりにかかる負担が増加しています。過労死といった言葉をニュースで見聞きした方も多いのではないでしょうか。働き方改革では、この労働者にかかる負担軽減を目的に、「残業時間の罰則付き上限規制」「5日間の有給休暇の取得義務化」を制定しました。
正規・非正規間の格差解消
従来、バイトや派遣社員などの非正規社員は、正社員と変わらない仕事をしても、同一の賃金が支払われないケースが少なくありませんでした。
そこで、正規社員と非正規社員の不合理な格差を解消させるため、「同一労働・同一賃金」を明確化。また、保険や福利厚生なども社員同様の待遇を得られるようにしています。
多様で柔軟な働き方の実現
これまで最大で1ヵ月単位でしか適用されなかったフレックスタイム制が、2ヵ月、3ヵ月単位でも適用可能になりました。
また、給与額によっては従来の労働時間規制から外され、成果で評価を行う「高度プロフェッショナル制度」が創設。いくつかの条件はありますが、従来よりも時間に縛られず、多様で柔軟な働き方が実現します。
働き方改革の重要性
なぜ、国を挙げて働き方改革を推し進めるのか、その最大の理由は、現在の状況が続けば、今以上に日本経済が低迷してしまうからです。長時間労働で労働者に大きな負担がかかっているにもかかわらず、業務効率が悪く生産性も低いケースは少なくありません。
そこで、労働者の負担を適切に軽減させつつも生産性を高めるための対策として、働き方改革関連法を施行したのです。
働き方改革を成功させるための7つのツール
国を挙げて推し進める働き方改革。しかし、人手不足が慢性化している企業にとって、働き方改革関連法を遵守しつつ、生産性を向上させるのは決して簡単ではありません。今後、今以上に人手不足が進んでいくなかで、働き方改革を成功させるには、何かしらの新たな対策が欠かせないでしょう。
そこで、ここではその対策として業務効率化を進める7つのツールをご紹介します。
グループウェアツール
グループウェアツールとは、コミュニケーションツールの一つで、社内SNSとも呼ばれるサービスです。主な機能としては、メール、スケジュール管理、ワークフロー、ファイル共有、タスク管理のほか、種類によっては会議室やミーティングルームの予約管理機能がついているものもあります。Google AppsやOffice 365、サイボウズOfficeが有名です。
業務効率化を実現させるための方法はいくつか考えられますが、そのなかでも大切なポイントの一つが、コミュニケーションの活性化です。企業は基本的に部署やチームで働くため、円滑に情報共有ができていないとどうしても業務が滞ってしまったり、同じ作業を複数人でやってしまったりなどが起こりがちです。
しかし、グループウェアツールを活用し、情報共有を徹底すれば、そうしたミスもなくなり、効率化が進むでしょう。
ビジネスチャットツール
SlackやChatworkなどのビジネスチャットツールも、グループウェア同様、コミュニケーションツールの一つです。
名前が示すとおりチャットに特化したツールですが、「ビジネス」とついているように、ファイル共有やタスク管理、音声通話機能があるものもあり、簡単なグループウェアツールの代わりとしても利用可能です。リアルタイムにメッセージをやり取りすることで業務スピードの改善も期待できます。
チャットはプライベートや社外でも多くの人が利用するツールのため扱いやすく、ITリテラシーの低い方でも問題なく使えるのが特徴であり、メリットです。
勤怠管理システム
出勤、シフト、残業、有給など勤怠に関するさまざまなことを一元で管理できるツールです。働き方改革の3つの柱の一つである、「長時間労働の是正」に効果を発揮するもので、労働時間を管理するうえで必須のツールだといえます。
また、多様な働き方の実現や新型コロナウイルス感染拡大の影響で、テレワークの導入を進める企業も増えていますが、その際も勤怠管理ツールは大きな改善効果を発揮します。
従来は、全員が同じ時間にオフィスに出勤していたため、勤怠管理もそれほど難しくはありませんでした。しかし、在宅勤務やモバイルワーク、時差出勤が増えるとどうしても勤怠管理が煩雑になりがちです。しかし、勤怠管理システムを活用すれば、パソコンやスマートフォンからでも出勤の連絡ができるため、管理がしやすくなり、効率化も進むでしょう。
オンラインストレージツール
組織で迅速な情報共有を実現するには、いつどこにいてもファイルやデータにアクセスできる環境構築が重要です。しかし、ファイルやデータを社内サーバーに保存していると、セキュリティの面からも外部からアクセスするのが難しくなり、情報共有に時間がかかってしまいます。
メールでやり取りする方法もありますが、データ容量が多くなると分割して送る必要が生じてしまうため、これもやはり手間と時間を要してしまうでしょう。そこで、大きな効果を発揮する仕組みがオンラインストレージツールです。Google DriveやDropboxが有名です。
ファイルやデータをすべてクラウド上のオンラインストレージに保存すれば、自宅からはもちろん、外出先のスマートフォンからでも簡単にアクセス可能になります。
また、サービス提供会社や利用するサービスの種類によりますが、厳重なセキュリティ環境を構築しているため、専門スタッフのいない社内サーバーよりも安心です。
Web会議システム
新型コロナウイルス感染防止策としての緊急事態宣言の影響が大きかったとはいえ、テレワークは新しい働き方の一つとして定着していきそうです。
しかし、テレワークを実行していくうえで、コミュニケーションが難しくなるのは大きなデメリットとなります。対面であれば、数秒で終わるやり取りも離れているとどうしても意思の疎通に時間がかかってしまう場合があります。これを手軽に解決する仕組みがZoomに代表されるWeb会議システムです。
テキストや音声だけでは伝わりにくいニュアンスもWeb会議システムであれば、ビデオ通話で互いの顔を見ながら場所を選ばず、オフィスにいるのと変わらないコミュニケーションがとれます。現在ではスマホのアプリもあり、移動時間などでも手軽に参加することが可能です。
また、取引先との商談でもWeb会議システムを活用すれば、移動にかかる時間や交通費の削減につながり、生産性向上が期待できるでしょう。
ERP
Enterprise Resources Planningの略称であるERP。「人」「モノ」「お金」「情報」というような企業経営の基本となる資源要素を一元管理し、全体最適を実現させるためのツールです。日本語では、統合基幹業務システムと訳されます。
主な機能としては、「財務・会計管理」「予算管理」「販売管理」「顧客情報管理」「営業支援管理」など、企業が行うあらゆる業務を一元で管理するための機能が含まれています。
一般的に部署をまたがった業務を行う際は、それぞれが扱っているシステムの連携が必要ですが、提供している企業が異なると連携できないケースも珍しくありません。しかし、ERPであれば、あらゆる業務を一元管理できるため、部署をまたいだ業務であってもスムーズな連携を可能にします。
RPAツール
個人や組織の業務効率化を図るツールといえば、RPAツールでも同様の効果を発揮します。RPAツールとは、Robotic Process Automationの略称で、主にホワイトカラーがパソコンを使って行う業務の自動化を実現するツールです。無駄な作業はRPAに任せることで、社員はより生産性の高い業務に集中することができます。
ERPは多くの業務システムがパッケージされているため、基本的に大企業向けのツールです。しかし、RPAは企業規模や用途に応じて自動化する業務やシステム連携を選択できるため、柔軟で使い勝手が良く、あらゆる企業で活用できるツールだといえるでしょう。コストもERPと比較して安価になっています。
働き方改革のためのツールの活用ポイント
ここまで、さまざまなツールをご紹介しましたが、単純に導入すれば効果を発揮するわけではありません。そこで、効果的に活用するためのポイントをご紹介しましょう。
目的に合ったツールを選ぶ
自社の何を効率化したいのか、生産性向上を妨げているボトルネックは何かを明確に把握し、それの解消を目的としたツールを選択しなければ、大きな改善効果は期待できません。
目的に合ったツールを選択するには、自社の業務プロセスを可視化させ、課題点を見つけることから始めることがおすすめです。
操作しやすいツールを選ぶ
今回、紹介した7つのツールは用途の違いはあれど、どれも手作業で行なってきた業務を可視化、自動化させることで効率化を図ることが主目的となっています。
そのため、誰もが簡単に操作できるものにしないとなりません。ITリテラシーがないと使えないツールでは、業務の属人化が生まれ、ツールを導入した意味がなくなってしまいます。
機能面で選択することも重要ですが、それ以上に操作性も重要な選択ポイントです。
他ツールと連携しやすいツールを選ぶ
ツール同士で連携がとれないとかえって業務が非効率になってしまう場合があります。例えば、全国からメールで送られてくる小売店の販売データを本社の売上管理ツールに自動で取りこめれば、管理の手間が大幅に削減されるでしょう。
しかし、メールソフトと売上管理ツールが連携していないと、手作業で売上を入力する必要が生じます。ツールを選択する際は、既存システムに対応し、連携がとれるかどうかの確認も忘れないようにしましょう。
セキュリティ体制が万全なツールを選ぶ
顧客情報や機密情報などが漏洩すれば、自社の信頼を一気に失い、場合によっては経営を揺るがしてしまうリスクをも生み出します。
特にコミュニケーションツールやオンラインストレージツールなど、外部から社内にアクセスするツールを選択する際は、セキュリティ対策が万全かどうかは必ず確認しましょう。
十分なサポートを受けられるツールを選ぶ
サポート体制が万全かどうかも、ツールを選択する際は重要なポイントの一つです。トラブルやメンテナンス時にメールしか連絡手段がない、電話を掛けられる時間が限定されているといった状況だと、場合によっては大きな損失を生むリスクもあります。
何かあった際にすぐ連絡がとれ、迅速に解決してくれるツールを選択すれば、より効率化が進み、生産性向上も実現しやすくなるでしょう。
業務効率化×生産性向上が働き方改革成功のポイント
業務効率化を進めれば、必ずしも生産性が向上するわけではありません。また、生産性が向上したからといって、働き方改革が成功するわけでもないでしょう。
働き方改革を成功させるには、「業務効率化」と「生産性向上」を同時に実現させ、社員のワークライフバランスを良くし、多様な働き方を可能にしていかなくてはなりません。今回紹介したツールの導入は、それを叶えるための手段の一つです。
用途や目的によりさまざまなツールがありますが、そのなかでもおすすめはRPAツールです。多くのルーティンワークを自動化するだけではなく、部署をまたいだ業務を自動化させることも可能なため、効率化と同時に生産性向上に大きく寄与します。
特に働き方改革が求められる背景となっている生産年齢人口の減少について、業務を自動化できるRPAツールは大いに役立つツールといえるでしょう。現在の人員のままで処理できる業務量を増やしやすく、働き方改革に直結しやすいといえます。
また、導入にあたって、非IT人材でも利用できるRPAツールを選べば、現場に大きな負担を掛けることなく働き方改革が実現します。
FCEプロセス&テクノロジーの提供するRPAツール「ロボパットDX」は、プログラミング知識が不要で現場レベルでも扱えるツールです。「改革には痛みが伴う」といわれる通り、負担なしに改革を行うのは困難です。しかしその負担を可能な限り軽くするための工夫は欠かせません。シンプルな操作画面で、簡単に導入・運用ができるロボパットDXをご検討ください。
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