松本興産株式会社
「削りで人をしあわせに。」を理念に掲げる、松本興産株式会社。
埼玉県秩父郡に本社を構え、CNC複合旋盤やNC旋盤による金属切削加工を行う、金属加工メーカーです。
高品質・低コスト・短納期なのが特徴で、少ロットから量産まで幅広く対応しています。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、東京オフィスでは在宅勤務制度を導入しました。在宅勤務でもロボパットを活用できるよう、オフィスにあるロボパット用のパソコンを、自宅のパソコンから遠隔操作しています。「どの時間に誰がロボパットを使うのか」とスケジュールを組むことで、無駄なくスムーズに動かせています。
ロボパットを社内全体で活用するべく、他部署に行くついでに「自動化できそうな仕事はありますか?」と声をかけて回りました。最初はなかなか意見が出ませんでしたが、実績を重ねていくうちに意見が集まるように。中途入社したばかりの従業員を担当者に任命したことで、社内の固定概念に捉われず、客観的な視点で業務改善を進められました。中途入社の社員は、ロボパットを推進する即戦力として入社当初から活躍してくれています。
月1回、従業員それぞれが作ったロボットを発表する「ロボパットの発表会」を開いています。会のなかで「今日のチャンピオン制度」を取り入れており、選ばれた人には金メダルを贈呈。金メダルには1万円の価値があり、ゲットしたら賞与にプラスされるので、従業員のロボット作りに対するモチベーションアップにつながっています。
※以下、敬称略松本興産株式会社は、2018年9月よりロボパットを導入しています。
ロボット発表会など、積極的にロボパットを活用している同社は、何が推進のポイントになったのでしょうか?
監査役の黒森武さん、総務人事部 部長の小柴英明さん、総務人事部の坂井菜七子さんに話を伺いました。
頼りになる『ロボパットくん』は最高のパートナー。総務人事部と経理部の業務を自動化
総務人事部と経理部です。ここ秩父にある本社以外に、東京に経営数値を扱うオフィスがありまして、2拠点でロボパットを活用しています。正確な数は分かりませんが、練習用ロボットや小さな業務を自動化するロボットを含め、30ほどのロボットを作成しています。
最初に自動化したのが、残業代の集計ロボットです。勤怠管理のシステムからデータを取り出し、部門ごとに集計する業務をロボットが担ってくれています。
もともと、出勤の曜日や時間帯が異なるさまざまな部署の勤怠データを、手作業でExcelに入力しなければなりませんでした。170名以上いる従業員のデータを目視で入力していく作業は、決してスムーズではありません。私が入社する前は、ほぼ毎日、2名で計2時間かけていたそうです。
ロボパットを導入してからは、ロボットが長くても15分で終わらせてくれています。すべてロボットが代行してくれるので、人が時間をかける必要がなくなりました。
営業から依頼を受けて作る「当月日別売り上げ予定明細」「営業納品受注一覧」に関するロボットです。システムから前日の納品データを取得し、そのデータをExcelに入れ込み、クライアント別に並び替えたり、日付を調整したりしてまとめる作業を自動化しています。
この作業は、さまざまなシステムからデータを取得しなければならず、2名で計40分ほどの手間がかかっていました。
ただ、この作業で作ったデータは生産会議や営業会議で使われる資料のもとになるので、外せない工程だったんです。
そこで、この作業をロボパットでやってみることに。今は、毎日ロボパットが自動的にまとめてくれており、従業員は最終的なデータチェックを行うだけになりました。
活用の仕方でいうと、新型コロナウイルス感染症の影響で、東京オフィスには在宅勤務の従業員が多いので、ロボパットをリモートで動かせるようにしています。オフィスに置いてあるロボパット用のパソコンを、自宅のパソコンから遠隔操作して、在宅勤務をしながら業務を自動化できていますね。
損益計算を行うロボットから、メールアプリを開くロボットまで、種類はさまざま。「どの時間に誰がロボパットを使うのか」とスケジュールを組んで、無駄なくスムーズに動かせています。
松本興産株式会社では、練習用から実際に稼働しているロボットまで含めて、既に30以上のロボが作られてきた。 東京事務所では、自宅からリモートでロボパットを活用する社員もいるそう。 ロボパットを活用し、これまで人の手で行っていた業務を効率化し、 会社が成長していくための『攻め』の部分への取り組みを強化していきたいと考えている。
世の中で働き方改革の推進が加速し、業界的にも高いレベルの安全性や品質管理が求められるなか、弊社も生産性を上げなければならないとDXを進めていました。ビジネスコミュニケーションツールや経費精算システムなどにトライする流れで、「自動化は業種としても相性が良いだろう」と感じ、ロボパットをDXプロジェクトの一施策として導入したんです。
実際、ロボパットを導入してから、生産性の向上が実現しています。驚いたのは、夜遅くまで淡々と仕事をしてくれること。あるとき、夜遅くに業務完了のメール報告が入り「こんな遅くまで仕事をしているのは誰だ?」と確認してみると、「ロボパット」の名前が書かれていたんです。
何も言わなくても、毎日夜中までミスなく業務をこなしてくれていて「ロボパットくんはなんていい子なんだろう」と感動しました。決められた仕事をしっかりとこなす誠実さには、いつも助けられています。頼りになるロボパットくんは、私たちにとって最高のパートナーです。
積極的な声かけが今につながった。ロボパット活用までの道のり
懇意にしている企業の方に、弊社の取締役がロボパットを紹介してもらい、まず代表・取締役・経理部の従業員3名・私で説明会に行きました。そしてデモを見るなかで「経理の業務をメインに自動化できるのではないか」と考え、経理部門の責任者である取締役が音頭を取りながら導入することに。
導入後は、まず全社的に認知してもらうため、従業員を集めて「ロボパット説明会」を開きました。ただ「これからロボパットを活用していく」と話したものの、従業員のRPAに対するイメージがはっきりしないうえ、それぞれ抱えている業務があって忙しく、自動化したい業務がほとんど挙がりませんでした。「ロボットが来たら、自分の仕事がなくなるのではないか」という不安すらあったと思います。
そこで、まずは総務人事部と経理部で成果を出してから、ほかの部署に展開することにしました。当時入社したばかりの坂井が、右も左もわからないなかで動画を見ながらロボパットについて勉強し、努力してくれたことが今の成果につながっています。
私が総務人事部に所属していることもあり、まずは総務人事部の業務を自動化してみました。
そこで、経理や人事部の仕事で他部署に行くとき、ついでに「ロボパットでこんな作業を自動化できたのですが、この部署で自動化できそうな仕事はありますか?」と頻繁に声をかけて回ったんです。
最初は数人にひとりくらいのペースで意見が出てきましたが、どんどんロボットを作って実績を積み重ねていくうちに、「うちの部署の作業、自動化できませんか?」と意見が集まるようになりました。
ロボパットを使い始めた当初は「入社したての人が難しそうなパソコン作業をしている」というイメージをもたれていましたが、地道に声をかけていくことで、少しずつ社内に浸透してきた感覚があります。
私が入社したてで、第三者目線をもてたことがポイントだったと思います。
日々同じ仕事をしていると、その業務は当たり前となり、何も疑問をもたずに続ける方が多いでしょう。もしくは、「もっと効率の良い進め方はあるけれど、上司や先輩に教えてもらった仕事だから」と自分の意見を押し込んでしまうこともあるかもしれません。
しかし、入社したばかりの私には「ロボパットで業務を自動化していく」というミッションを遂行する必要がありました。スムーズにロボットを作るには、業務工程をできるだけシンプルにしなければなりません。そのため、業務フローを洗い出して「ロボットを作るには、ここの動きを削ったほうが良いと思います」と業務改善の目線をもちながら進められました。
「ロボパットが業務を代行してくれて、気持ちが軽くなった」と意見をもらいました。簡単なロボットを作って見せたときは「いつもの業務が5分で終わっちゃうの⁉」と驚きの声も挙がりましたね。
単純作業は、同じことを繰り返さなければならず、ストレスが溜まりやすいものです。「あの作業をやらないといけない」と考えながら出社するのと、すべての単純作業をロボパットが終えてくれているオフィスに出社するのでは、感じるストレスが大きく変わるでしょう。心が軽くなると、会社に出社する足取りも軽くなり、より仕事を楽しむ余裕が生まれてくると思います。
「チャンピオン制度」でゴールドメダルを贈呈。従業員のモチベーションアップの秘密
はい。取締役・経理部の6名・総務人事部の坂井が毎月1回「ZOOM」に集まっています。発表会までにひとりひとつのロボットを作るようノルマを決めていて、作ってきたロボットをそれぞれが発表しているんです。
発表会を開くことにしたのは、忙しい経理部がロボパットを計画的に活用するためです。「この日までにロボットを作らなければならない」とスケジューリングすることで、やらざるを得ない状況を作っています。部署全体で導入を進めていくことで、うまくロボットを作っている従業員を見て「自分も頑張ろう」とやる気アップにもつながっています。
発表会を開催しながら、スムーズにロボパットの活用を進めていくため、週1回ロボパット担当者のサポートをオンラインで受けています。「ロボット作りでつまづいた点を質問できる場」を設けることで、疑問をそのままにせずコンスタントに解決できる環境を実現しています。
取締役が、発表会に「チャンピオン制度」を取り入れました。全員の発表を聞き終わったあと、最も優れたロボットを作った従業員に毎回、ゴールドメダルを贈呈しています。ゴールドメダルは仮想のものですが、ひとつ1万円の価値があります。ゲットしたゴールドメダルの数だけ、半年ごとの賞与にプラスされるんです。
「チャンピオン制度」を導入したことで、従業員のロボット作りに対するモチベーションアップにつながりました。
限られた人数で生産性を上げていく。ロボパットを活用した先にある未来
今回お話した工夫をしてきたことで、導入前に問題視してきた課題が解消しつつあります。
弊社は秩父という土地柄、人員がなかなか集まらず、人手不足という悩みを抱えていました。募集をかけても人が来ないし、ましてやExcelを使える人はさらにいない。技術が日々進化していく業界において、限られた従業員数で、より効率的に業務を回さなければならなかったんです。
無人の工場を現実のものにするには、ロボパット以外のシステムと連携させることが必須です。そこで、ほかのシステムを導入することで発生した集計などの業務も、ロボパットで自動化していこうと考えています。すべてのシステムとロボパットをワンセットと捉えながら、引き続きDXを進めていきたいです。
与えられた業務をこなすのではなく、高品質を追求したり技術力を上げたり、『川上』の仕事を遂行できる人材を育成していけたらと思います。そのためにも、ロボパットで時間を捻出して、今より『一歩先』の業務を任せていくことは必須だと考えています。
こうして積み重ねる川上の仕事が、最終的にお客様に喜んでいただけることにつながれば、うれしいことこの上ありません。
そんな背景のなか、弊社の新たなチャレンジのひとつとして導入したロボパット。これまで人の手で行っていた業務をロボットが代行してくれることで、従業員の手が空くようになり、その分ほかの部署に人手を回すことができました。
ロボットが得意な仕事はロボットがやる、人にしかできない仕事は人がやる。こうして適材適所に労働力を再配置することで、限られた人数で業務をうまく回せており、社内に良い循環が生まれています。
目標は「工場の無人化」です。そこで今は、総務人事や経理といったバックオフィスの業務だけではなく、生産管理や品質保証といった製造業ならではの業務も含め、トータルで自動化できるよう進めている最中です。
梶原 淳司 執行役員・営業推進部・部長
ロボパット導入当初から、月に1回開催されているロボパット発表会に何度か参加をさせていただいているのですが、この仕組みが本当に素晴らしいです。 参加されている方々がそれぞれ1か月で作ったロボットを持ち寄って発表されるのですが、皆さん「すごい!」「それどうやって作ったんですか!」とお互いを尊重し、尊敬しあわれているので会の雰囲気がとてもいいのです。 毎回参加するごとに皆さんがどんどんDX(デジタル・トランスフォーメンション)化されているのを目の当たりにしています。